2010年11月04日

ピロイニの財宝

きれいな夜景が見えるある山の山頂に
数名ずつのいくつかの団体があった。
みな『ピロイニの財宝』を探しているのだという。
それに目をつけたテレビ局がある企画を立てた。
その名も『ピロイニ宝探しツアー』だ。

「何月何日の満月の夜、某山山頂にて
『ピロイニ宝探しツアー』を開催。
君もこの夢の宝探しに乗り遅れるな!」
局の人間の誰もがこの企画に酔いしれ
その成功を信じて疑わなかった。

ところが何日経っても誰も応募してこない。
こんなにいい企画が失敗するはずがないと
当日の夜、山頂に行ってみると
そこには多くの人が集まっていた。
「なんだ、いるじゃないか」

テレビ局は、そこにいる人たちに
この企画がいかに素晴らしいものかを説明し
その進行を偉そうに説明した。そして
団体別にゼッケンを渡し、アナウンサーは
「さあ、スタートだ!」と言った。

そこにいた人たちは「スタートだ!」の
号令を聞くとすぐさま山を下りていった。
それを見てテレビ局人は「大成功」だと思った。
ところが朝になっても誰一人
山頂には戻ってこなかった。

実はその日山に集まった人たちは
他県から夜景を楽しみにやってきた人たちだった。
もちろんテレビ局の企画など知らなかったので
テレビ局人を名乗る偉そうな人たちを不審がり
夜景を満喫することもなく、山を下りたのだった。

『ピロイニの財宝』というのは
その山から見えるきれいな夜景のことで
その夜景を鑑賞することを『探す』と言うのだ。
地元の人の間ではそれは常識で、だから誰も
テレビ局の呼びかけに応募してこなかったのだ。

つまり『ピロイニ宝探しツアー』というのは
そのことを知らなかったテレビ局の
勘違い企画だったわけだ。
翌日、待ちぼうけを食わされたテレビ局人は
みな風邪を引いたという。
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2010年11月05日

『しんた』という名の薬

・・・あるアンケートサイトに
―『しんた』という名の薬を買ったら
高額の賞金を差し上げます。―
という記事が書いてあるのをみつけた。
そこでグーグルなんかを利用して
必死に探すのだが、見当たらない。
「そんなものないやん」と
再びそのサイトを開いてみると
そこには賞金をもらった人の名前が
いくつも連なっているではないか。
そこには知り合いの名前まで書いてあった。
「やっぱり『しんた』薬はあるんだ」
そこで今度は実際に薬局に行って
その『しんた』薬なるものを探し回る。
だけど見つからないんだな。最後には
外国の薬局にまで探しに行くのだが
そこでぼくは薬剤師と間違えられる。
ある大きな薬局にいた大富豪の黒人客から
「しんた薬はありませんか?」と
片言の英語で尋ねられた。
ところがぼくは慌てもせずに
「ああ、しんた薬ですね。
その薬ならここにありますよ」と
『しんた』と書いたポリ容器入りの薬を
埃だらけの棚の中から出してきて
その大富豪の黒人客に手渡した。
「へえ、わりと手は白いんだな。
それにしても品のいい顔をしている」
そんなことを思っていると
窓から光が差した。・・・
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2010年11月07日

個性

個人でやっている中古車屋的、かつ
屋台感覚的なライブハウスだった。
そこにぼくは一人で乗り込んでいった。
そこにはいかにもミュージシャンですよ
というような、長髪鼻髭の店主がいた。
「歌わせてもらえませんか?」
「えっ、歌ですか?」
「やっているんでしょ?」
「歌なら、OOとかXXでやってますよ。
そちらでやられたらいいじゃないですか」
「ここではやってないんですか?」
「ええ、やってませんよ」
「やっていると聞いてきたんですけどね」
「いや、正直言うと、おたく
こういう所に向いてないと思うんですよ」
「向いているとか、向いてないとか
やってみないとわからないじゃないですか」
「わからないって、あなたの場合個性がねぇ・・」
「個性って、そんなふうに髪を伸ばしたり
鼻髭を生やしたりすることが
あなたのいう個性なんですか?」
「そういうわけじゃないけど・・・」
「格好だけの個性を、個性と勘違いしている
人がいる店なんて、まっぴらだ!」
そう一喝して、ぼくは店を出た。
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2010年11月25日

蛇のような顔をした女

・・・ドライブ中にガソリンがなくなった。
あいにく現金の持ち合わせがなかったので
カード払いにすることにした。ところが、
この町にはカードの使えるスタンドが
なかなか、なかなか見つからない。
ようやく見つけたスタンドは、まるで
50年代のアメリカ映画に出てきそうな
古ぼけた造りのそれだった。・・・

・・・「すいません」と何度か叫んでみた。
が、なかなか係員が出てこない。
「他を探してみようか」と思った時だった。
「はーい」という低い声がした。
出てきたのは蛇のような顔をした
40歳前後の女性だった。
彼女はぼくの注文を聞くでなく
一人で勝手にしゃべり出した。
「お待ちしておりました」
「えっ?」
「少し胴体が短くなったような気がします」
「何のことですか?」
「これもあなたのせいですよ」
「何でぼくのせいなんです?」
「あなたがなかなか来なかったからです」
蛇女はそう言ってニヤッと笑った。・・・
posted by 新谷雅老 at 22:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 夢見録 | 編集

2013年04月17日

電柱

あれは隣の会社の駐車場に電柱が
転がっているのを見つけた時だった。
その時、なぜかぼくはその電柱が
無性に欲しくなり、その持ち主と
交渉して、退職金と引換えで
一本だけ買うことにしたのだった。

そして仕事を辞めた日にお金を払い
「後日取りに来る」と言って電柱は
そのままにしておいた。ところが
数日後取りに行ってみると、電柱が
なくなっているではないか。そこの
社員に聞くと「見たことない」と言う。

「いやいやそんなことはないでしょう。
けっこう大きな電柱だったんですよ。
見たことないことないでしょう」
「見たことないものは見たことないです。
当社で取扱っている物でもないですし」
結局電柱は見つからないままだった。

あれから何年経つのだろう。
いまだに電柱は見つかっていない。
まあ、それは今となってはどうでもいい。
問題は『持ち主は一体何者だったのか』
ということと『何であの時ぼくは電柱が
欲しくなったのか』ということにある。
posted by 新谷雅老 at 06:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 夢見録 | 編集

2017年01月26日

おぼろげな部屋

おぼろげな部屋の片隅にある
深いブラウン色の机に向かい
赤い色のボールペンのシンと
黒い色のボールペンのシンを
取り出しては入れ換えながら、
七つの石橋でつながっている
七〇〇ヤードのレンガ通りで
七時から会う約束をしている
初見の人のことを調べている。
posted by 新谷雅老 at 04:04 | 夢見録 | 編集

2017年01月29日

ドライブの朝

綿密に計画を立てたドライブだったけど
車を出すはずのあいつが予定時間を過ぎても来ない。
何度電話をかけても出ない。
一時間経ってもあいつは来ないので
仕方なくぼくの車を出すことにした。

とりあえず集まったメンバーを車に乗せて
ぼくは家の戸締まりをしていたのだが
その間に色々と野暮用が入ってしまい
なかなか車までたどり着かない。
ここでも三十分程時間がかかってしまった。

「一時間半の遅れだ」と焦ったのがいけなかった。
文庫用の書棚に足がぶつかってしまい
安定感のない書棚がゆっくりと倒れてきた。
とっさに手で押さえ倒れるのは食い止めた。
だが、かなりの量の本が落ちてしまった。
本を戻すためにまたもや時間を食ってしまう。
ようやく文庫本の片付けが終わった時
トイレを我慢していたのに気づく。

トイレを終えて駐車場へ行こうとした時だった
なぜか出発が遅れているのを知らないはずの
あいつが予定時間から二時間近く遅れて現れた。
「ちょっと用があって、今日は行けなくなった」
行けなくなったのなら、わざわざ来なくていい。
電話一本で済む話じゃないか。もっと早い時間にな。

困ったことにこいつは言い訳魔だったのだ。
連絡が遅れた理由をクドクドとしだした。
そのためにまた時間を食ってしまう。
『本当に間の悪い奴だ』
そう思いながらぼくは目を開いた。
posted by 新谷雅老 at 00:45 | 夢見録 | 編集

2017年02月15日

異星人事情

わが星人は星を見て生きている。
占いなどをしているのではなく
星を見てないと生きていけない
特殊な体質を持っているからだ。
それゆえに星の出が悪い日には
体調をくずすことだってあるし、
六十日以上星を見ないでいると
死にいたることだってあるのだ。

健康のため星見力を高めようと
高額ヨガ教室に週三回通ったり、
一錠服用で星見力が十倍になる
高価なサプリを買いもとめたり、
住むだけで星を見る効果がある
超高級な健康住宅を購入したり。
わが星人はその費用を稼ぐため
星も見ないで必死に働いている。
posted by 新谷雅老 at 01:49 | 夢見録 | 編集

2017年02月17日

風習

新聞配達のおいちゃんは、
赤の塗料を塗っていった。
牛乳配達のおばちゃんは、
銀の塗料を塗っていった。
宅配業者のにいちゃんは、
青の塗料を塗っていった。

ここでは何か運ぶたびに
色塗る風習があるそうだ。
その事を知っているのか
空を行く鳥がぼくの肩に
白い塗料を落していった。
一体何を運んできたのか?
posted by 新谷雅老 at 01:58 | 夢見録 | 編集

2017年02月20日

鏡に描いた指導者

よくわかったか、お前も
ああなりたくなかったら
余計なことは言わないで
余計な考えは持たないで
我々の言うことに服従し
鏡に描いた指導者として
死ぬまで生きていくのだ。

ここから逃げても無駄だ。
今回の事で世間はお前を
悪者と認知したのだから
捕獲することが善となる。
抹殺することが善となる。
つまりここにいることが
お前にとっての善なのだ。

たとえば爺さんのような
変死を望みたくないなら
たとえばオヤジのような
急死を望みたくないなら
我々の言うことに服従し
鏡に描いた指導者として
死ぬまで生きていくのだ。
posted by 新谷雅老 at 09:53 | 夢見録 | 編集

2019年07月20日

昨夜の夢

 昨夜、夢に神様が出てきた。ぼくはいろいろと現状を訴えたあげく、「この状況から脱出させてください」と願った。
 それを聞いた神様は、「では願いを叶えてあげるから、どうなりたいのか漢字二文字で書きなさい」と言う。さて何と書こうか。漢字三文字なら思い浮かぶのだが、二文字だとなかなか出てこない。
 散々迷ったあげく書いた漢字二文字は、なぜか『和狸』だった。一体ぼくは何を考えているのだろう。とっさに目標が出てこないなんて、どうも具体性が足りてないようだ。
posted by 新谷雅老 at 00:15 | 夢見録 | 編集

2019年08月09日

遠い灯りの夢

 街からちょっと離れた場所に、えらくキラキラときらめいている平屋の建物がある。普通の体育館の、二倍程の大きさがあり、駐車場も広くとってある。それが何の施設かを、ぼくはまったく知らなかった。

 ある晩のこと、そこが何か知りたくて、仕事帰りにぼくはそこに行ってみた。いくつもの大きな窓が四方を囲み、そこから光が漏れている。キラキラはその光だったのだ。
 建物の中に入ってみるとかなり広く、たくさんの人がいた。そこには幾人かの知った人もいる。そこでぼくはその中の一人を捕まえ、この建物が何なのかを聞いてみた。すると彼は、
「え?何にも知らないのか」と言う。
「ああ。遠くからここを見ると、いつもキラキラしている。それが気になって来てみたんだ」
「おまえ大丈夫か?」
「え、何が?」
「ここは斎場だよ」
「斎場って?」
「そう、火葬場だよ」
「ええっ?」
 ぼくは慌ててそこを出た。そして少し離れた場所からその建物を見たのだが、なぜかキラキラは消えていて、人の気配もなかった。
posted by 新谷雅老 at 00:03 | 夢見録 | 編集

2020年03月19日

 両腕に呪文のような古代文字が書かれている夢を見た。気になって夢占いを調べてみたのだが、吉夢か凶夢かよくわからない。仕方ない、吉夢ということにしておくか。
posted by 新谷雅老 at 15:53 | 夢見録 | 編集

2020年04月21日

猫に生まれ変わった夢

ということで猫になったわけだが・・
「えっ?」
どうしてぼくは、
猫になったなんて思うんだろう。
元々猫だったよなぁ。

そういえば昔、いや、
ついこの間までだったか。
もっと目線の高い所で、
今みたいな地を這う生活とは違った生活を
ぼくはしていたような気がするんだけど。
あれは何だったんだろう。
夢だったのかなぁ。妄想だったのかなぁ。

それにしても腹が減った。
コンビニでなんか買ってこようかな・・
「ん?」
コンビニって何だったっけ。
思い出せない。
posted by 新谷雅老 at 09:05 | 夢見録 | 編集

2020年05月26日

雨の臭いのこもる教室

雨の臭いのこもる教室で、ぼくは授業を受けていた。
授業の内容はおろか、その科目が何であるのかすら
わからないまま、その場所に置かれていたのだった。

「何でこんな場所にいるんだ。雨の臭いのこもった
教室の時代は、何十年も昔に終わってるはずなのに。
今さらこんな場所にいる必要なんてないじゃないか。
一刻も早くこの湿気った場所から逃げ出さなければ。
このままこの教室に居続けると人生が狂ってしまう。
授業が終わったら直ぐにこの教室から出てしまおう」

雨の臭いのこもる教室で、ぼくは机の上に肘をつき、
講義を聞くふりをしながらノートの角に地図を書き、
教室の時代から抜け出す計画を立てていたのだった。
posted by 新谷雅老 at 08:00 | 夢見録 | 編集


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