2004年09月15日

ヒロミちゃん 1

先週の火曜日、つまり台風18号が吹き荒れていた日のこと。
その日の日記に、家から一歩も出ずに退屈な時間を送っていた、ということを書いた。
物干し竿が乱舞していた午前中はともかく、午後からは本当に暇だった。
そこで、嫁さんに「なんか面白いことないか?」と聞いてみた。
休みの日は、一度は外に出ないと気がすまない嫁さんだから、きっと「思いつかん」と答えるだろうと思っていた。
ところが嫁さん、とっておきの企画をぼくに披露した。
それは、
「ヒロミに電話してみようや」
だった。

ヒロミとは嫁さんの高校時代の同級生である。
それと同時に、ぼくの元部下である。
顔立ちがよく且つ長身で、かなり目立つ女性だった。
当然上司からの受けもよく、たいがいのわがままを許してもらっていた。
決して、職場の華的な内輪美人ではない。
おそらくその美貌は全国的にも通用するだろう。
その証拠に、テレビにも出たことがある。
街を歩いている時に、突然レポーターから声をかけられたのだ。
その時の企画は『街角美人』だった。
それだけでも、職場によくいる『内輪美人』でないことがおわかりいただけるだろう。

ぼくが生まれてから今まで出会った女性の中でも、1,2位にランクされる美女である。
しかし、ぼくはヒロミを素直に美女とは認めているわけではない。
彼女を「美女」と呼ぶには、ひとつの前提が必要となるからだ。
つまりその前提条件を満たした時、初めてヒロミは美女となるのだ。
その条件とは何か?
それは「しゃべらなければ」ということである。
実はヒロミは、かなりの変わり者なのだ。
口を開くとおかしなことばかり言っている。
ぼくが生まれてから今までであった女性の中でも、1,2位にランクされる変わり者である。

ぼくの部門にいた頃の話である。
仕事中のことだった。
「しんたさん、トイレ行ってくるけ」と言うので、「ああ」と返事をすると「うんこやけねえ、長いよ」と言う。
それからいっときして帰ってきたのだが、帰って来るなり「ねえねえ、しんたさん。今ね、うんこが出かかっとたんよ。そしたらね、掃除のおばちゃんがトイレに入ってきたっちゃ」と言った。
「それがどうかしたんか?」
「そしたらね。途中まで出とったうんこが引っ込んだんよ。ああ、気持ち悪い」
気持ち悪いのはこちらである。
飯前なのに、うんこが出たり入ったりするのを想像してしまったじゃないか。
それ以前に、職場でする会話ではない。
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2004年09月16日

ヒロミちゃん2

ヒロミがぼくの配下になる前にいた部門でのこと。
仕事中、暇になると、ヒロミは決まってぼくの嫁さんに内線電話をかけていた。
ある日の午前中、いつもようにヒロミから嫁さんに電話がかかった。
『今日は何だろう?』と受話器を取ると、何の前置きもなく「悲しいことがあったんよ。帰るね」と言うだけ言って電話を切ったらしい。
心配した嫁さんがヒロミの売場に電話をしてみると、「悲しいこと…」の電話をかけた後、さっさと早退したという。
何があったのかとその売場の人に聞いてみると、どうもそこの主任が転勤するらしい。
家庭内で何があったわけではないので、帰った原因はそのことだと思われる。
しかし、上司の転勤は確かに彼女にとっては悲しいことかもしれないが、別に早退するほどのことはないだろう。
もしかしたらヒロミは、昔から悲しいことがあれば、早退する人間だったのかもしれない。

その頃はよくカラオケスナックに行っていたものだ。
何かにかこつけては、すぐに飲みに行く。
そのメンバーの中に、いつもヒロミはいた。
彼女は歌がうまかった。
が、一曲通して歌うことは希だった。
1番を歌い終わると、「はい、○○さん。2番歌って」などと言い、マイクを渡す。
マイクを渡されたほうが歌っている最中、ヒロミはその歌を聴くこともせずに、次の歌を探していた。
その歌が終わった時には、もう次の曲が入っている。
もちろんヒロミが入れたのだ。
そしてまた1番だけ歌って、次の曲を探していた。

ヒロミが、小林明子の『恋におちて〜Fall In Love〜』を歌った時のことだった。
うちの嫁さんに「いっしょに歌おうか」と言って誘った。
嫁さんが「いいよ」と言うと、ヒロミは「じゃあ私が1番歌うけ、あんた2番ね」と言った。
2番は英語である。
つまり自分は日本語の部分を歌い、嫁さんには英語の部分を歌わせてたわけである。
うちの嫁さんは、ぼくと同じく英語がだめなので、戸惑っているうちに曲は終わってしまった。
もちろん、すぐに次の曲が始まったのは言うまでもない。

さて、そういうヒロミといっしょに仕事をしていて面白かったのは、ヒロミはその美貌のせいか、小学生や中学生の男子を手なづけることがうまく、すぐに子分にしていたことだ。
子分にして何をしていたかというと、使い走りをさせていたのである。
ある時、小学生の子分がやってきた。
ヒロミはその子に「ねえねえ、角のスーパーに行って、158円のアーモンドグリコ買ってきてくれん?」と頼んでいた。
子分が嫌そうな顔をしたので、ヒロミは「ちゃんと、お釣りやるけ」と言った。
子分は「それならいいよ」と言う。
ヒロミは財布を開いて、子分に小銭を手渡した。
160円だった。
子分はそれを見て、「えっ!?」と言った。
ヒロミは何食わぬ顔で、「お願いね。お釣りはいらんけ」と言った。
子分は渋々買いに行った。
ヒロミには、そういうちゃっかりした面もあった。
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2004年09月17日

ヒロミちゃん3

ヒロミがぼくの部下になったのは、昭和61年9月のことだった。
店の改装でヒロミの売場がぼくの部門の隣になり、ぼくがいっしょにその部門を見ることになったのである。
翌年の2月にヒロミは寿退社するので、ぼくの部下だった期間は約半年だったことになる。

その頃、クレジット会社からオータグロという新入社員が派遣されていた。
気障な感じの男だった。
いつも暇をもてあまして、仕事もせずに店内をブラついていた。
そのブラつく姿が変だった。
何かリズムをとっているのか、体を左右に振り、指パッチンをしながら歩いているのだ。
ぼくがそれを見て「あの歩き方が悔しいのう」とヒロミに言うと、ヒロミは「そうやろ。あいつ変やろ」と言った。
「あいつをブラつかせんようにせないけん」
「そうやねえ」
「どうしようかのう」
「何かギャフンと言わせたいねえ」
いろいろと考えたあげく、電話作戦を採ることにした。

作戦とはいうものの、大したことをやったわけではない。
オータグロが持ち場を離れた時に、オータグロのカウンターに電話をかけるだけである。
そして受話器を取った時に切るのだ。
ばれると困るので、あらかじめこちらの電話はカウンターの中に入れておいた。
そして、ぼくもヒロミもオータグロからよく見える位置に立ち、他のことをやっているふりをする。
どちらかの指が、電話機のボタンを押していた。
何度もやるとばれるので、当初は日に3度までにとどめることにしていた。
だが、その慌てぶりがおかしかったので、その後だんだんエスカレートしていき、何度もやることになる。
そのうちオータグロは警戒して、持ち場を離れないようになった。

「しんたさん、最近オータグロ、持ち場を離れんようになったねえ」
「そうっちゃ。面白くないのう」
「また何かしたいねえ」
「おう」
ぼくたちは次の作戦を練った。
そしてとった作戦は、友だち作戦だった。
とりあえずオータグロと仲良くなり、こちらに遊びに来させるようにするのだ。
「オータグロくーん」
「はーい」
これを何度かやっているうちに、こちらに対して警戒心を持たなくなる。
そこで電話作戦を再開する。というものだった。
もちろん何度もやっているとばれるので、今回はほどほどにしておくことにした。

案の定、オータグロはこの作戦に引っかかった。
しかし、そのうちオータグロも気がついたのか、すぐに電話には出ないようになった。
そこでぼくが、「この間オータグロ君がおらん時に電話が鳴りよったんよ。出らんと悪いけ、とってみたらお客さんからやった。『何で、すぐに出らんのか』とえらい剣幕で怒られたんよ」と言った。
するとヒロミも、間をおかずに「そうそう。わたしも電話とったことあるんやけど、同じこと言われたよ」と言った。
それが効いたのか、オータグロはまた慌てて電話まで走ることになった。
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2004年09月18日

ヒロミちゃん4

さて、ヒロミが辞めてからこちら、会ったのは1,2度しかない。
一度目はヒロミが子供を産んでからすぐの頃だった。
子供を見せに会社にやってきたのだ。
どうも自分の子が気に入らないらしく、「かわいくない、かわいくない」を連発していた。
「ね、しんたさん。私に似てないやろ?」
「そうかのう。目元は似とるんやないんか」
「そんなことないっちゃ。この子旦那似なんよ。全然かわいくないっちゃね」
「まあ、そのうち似てくるやろ」
「似てくるわけないやん。じゃあ、帰るけ」
そう言ってさっさと帰って行った。
滞在時間は3分ほどだった。

もう一度は、今から10年ほど前、今の会社に移ってからのことだった。
ある日のこと、前の会社の後輩がやってきた。
何でも今度結婚するらしく、ぼくに「披露宴に出席してくれ」と頼みにきたのだ。
そこで、「おまえ、前はヒロミと同じ売場やったろ。ヒロミは呼んだんか?」と尋ねてみた。
後輩は「もちろんです。ちゃんと呼んでます」と言った。
そして当日、ぼくたち夫婦と久々の対面となったわけだ。
もちろん同じテーブルだったので、いろいろな思い出話に花が咲いた。
その中で、一番多く名前が出たのが、オータグロだった。

その後、ヒロミとは音信不通になってしまった。
最初はぼくたち夫婦間でも、ヒロミのことが話題になっていたが、それもそのうちなくなってしまった。

先月のこと、嫁さんの携帯にショートメールが入った。
文面には『お元気ですか(絵文字)』と書いてあった。
嫁さんは「誰やろうか。この電話番号に心当たりがない」と言う。
ぼくが「電話してみたら」と言うと、「いやよ。知らん人やったら困るやん」と言う。
そこでこちらから、『誰ですか?』と書いたショートメールを送ることにした。
それからしばらくして、嫁さんの携帯が鳴った。
嫁さんが、着信番号を見てみると、先ほどのショートメールと同じ番号だった。
嫁さんは「気味が悪い」と言って出ようとしない。
「出れ。変なやつやったら代わってやるけ」
ぼくがそう言うと、嫁さんは恐る恐る電話に出た。
「もしもし」
「・・・」
「はい、そうですけど…」
「・・・」
「いえ、違います」
「・・・」
「えっ、ヒロミ!?」
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2004年09月19日

ヒロミちゃん5

ショートメールの送り主はヒロミだった。
どうして音信不通だった嫁さんの携帯番号がわかったのかというと、7月の参院選の時、嫁さんに「公○党をお願いします」と電話をかけてきた嫁さんの同級生がヒロミに教えたからだった。

嫁さんとヒロミは、かなり長い時間電話で話していた。
途中嫁さんがぼくに「代わろう」と言ってきたが、遠慮しておいた。
照れとかではなく、ぼくに代わると話が長くなるからだ。
嫁さんが電話を切った後、今度はぼくの携帯にショートメールが入った。
ヒロミだった。
メールアドレスを教えろと言ってきたのだ。
別に断る理由もなかったので、「ここだ」と書いてメールを送った。

それからだった。
毎日少ない時で2,3回、多い時は10回以上、メールが送ってくるようになったのだ。
それも写真入りで。
その写真というのは、ヒロミの身内の写真に落書きしたものだったり、ヒロミが今パートで働いている会社にいる人だったり、家に飾ってあるグッズだったりする。
あいかわらず、ヒロミは自分の世界で生きている。
例えば、ヒロミの会社に勤めている人なんて、ぼくはまったく知らないのだ。
それも特徴のある人ならともかく、普通のおばさんがボーリングしている写真とか、糖尿持ちが飲み会で歌っている写真なのだ。
また、家に飾ってあるグッズと言っても、送ってくるのは自分の気に入らない物の写真ばかりなのだ。
一度、変な壁掛けの写真を送ってきたのだが、写真の横には『済州島のお土産もらったけど、いらないから しんたさんに見せます!』と書いてあった。

とはいえ、ぼくも送られっぱなしではない。
ちゃんと、それ相応の写真を送っている。
汚れたコルゲンのカエル人形だとか、2年前の飴が入ったままの『なっちゃん』の容器だとか、食べかけの弁当だとかである。
一度、バッタの写真を送ったことがある。
その時、ヒロミは何を思ったか、『カマキリ君』というタイトルのメールを送ってきた。
メールを見ると、ぼくが送った写真に「カマキリ♪♪♪」などと落書きしている。
「ああ、こいつバッタをカマキリと勘違いしたんだ」と思ったぼくは、ひと言「バッタだ」と書いて送ってやった。
なぜかそれがヒロミに大ウケしたらしく、そのメールを笑いながら娘に見せたらしい。
もちろん娘は何のことかわからない。
「これのどこがおかしいと?」と聞いたらしい。
するとヒロミは、「これはねえ。ママとしんたさんにしかわからんギャグなんよ」と言ったという。

話は元に戻る。
台風18号の日、嫁さんはヒロミに電話をかけた。
その電話の中で、ここまで書いたような話が出てきたわけだ。
その日も嫁さんとヒロミは、結構長い時間話していた。
そこでぼくは、嫁さんが変な格好で電話しているところや、熱弁している嫁さんの表情を撮り、ヒロミに送っておいた。
あとから写真付きの返事が着たのは言うまでもない。

さて今日のこと。
ヒロミからまたメールが届いた。
そこには犬の写真が貼ってあり、『最近実家で飼った犬』と書いてあった。
そこでぼくは、風呂から上がったばかりの嫁さんを撮り、『最近うちで飼ったブタ』と書いて送った。
先ほど、その返事がきた。
そこには、「まだ真夏の格好やん」と書いてあった。
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2004年09月26日

ヒロミちゃん(今日もネタにさせてもらったぞの巻)

9月に入ってからずっと面白くない。
毎日毎日面白くない。
何が面白くないのかと問われても、「これだ」と答えることは出来ない。
毎日そのメニューが違っているからだ。

過去の失敗が妙に引っかかる日もある。
それも、「何であんなことをやったのだろう?」という後悔ではなく、今ここにその過去があるような錯覚に陥り、その失敗がどうしても埋まらない、というもどかしさを感じているのだ。

ちょっとしたミスにこだわる日もある。
例えば今日、昨日の日記に誤記があったのを見つけたのだが、会社にいるため、それを書き直すことが出来ない。
ここは諦めて、家に帰ってから書き直せばいいものを、一生懸命、ケータイで書き直せないものかと悪あがきをやっている。
しかし、結局書き直すことは出来ない。
おかげで、イライラは募るわ、パケット代は遣うわで、さんざんな目にあってしまった。

今日はもう一つのイライラもあった。
それは、見たこともない『逃亡者』の予告編を見て、「いったい犯人は誰なんだろう?」と悩んでいたのだ。
もちろん見たことがないのだから、出演者もわからない。
それでも、一生懸命考えている。
ふと我に帰った時、「何で、こんなことを必死に考えているのだろうか?」と思ったものだった。

その見たこともないドラマの犯人捜しをやっている、バカな自分を見つけた時だった。
面白いことがやってきた。
先日この日記に書いたヒロミからメールが届いたのだ。
そのメールには、
『暇やけしんたさんのホームページ読んだよ(絵文字)
ヒロミちゃんのコーナー笑えるけ、トモダチにも紹介したいんだけど、“ヒロミちゃん1”は誰にも見せられんやん(絵文字)』(原文一部修正)
と書いてあった。

“ヒロミちゃん1”と言われても、何を書いたのか忘れてしまっている。
普段なら躊躇せずにケータイを見るのだが、日記修正に挑んだため、今日でパケットの限度額を超えたはずだ。
そこで、ぼくの日記を毎日読んでくれているパートさんに、事情を言って聞いてみた。
するとそのパートさんは、「そりゃそうやろうね。あれは見せられんやろう」と言う。
「おれ、何か書いとったかねえ?」と聞くと、「うんこの話よ」と言う。
そうか、あれは見せられないだろう。
ウソならともかく、本当のことなんだから。

その後、ヒロミと何度かメールのやりとりをしていたのだが、最後に『“ヒロミ1”をミサ(娘)といとこに読ませたら、爆笑でした』というメールが着た。
何とか言いながらも、ヒロミは読ませたのだ。
早く『トモダチ』にも読ませてもらいたいものだ。
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2005年04月30日

ヒロミちゃん(同窓会編)

日記にも書いたとおり昨日29日は、ぼくは休みだった。
で、嫁ブーはというと、仕事だった。
こういうパターンの日は、嫁ブーを会社まで送って行くことになっている。
そのため、せっかくの休みなのにゆっくり寝ることが出来ない。
いつもと同じ時間に起き、いつもと同じ時刻に家を出る。

出がけのことだった。
嫁ブーは普段より多くの荷物を持っている。
「何か、その荷物は?」とぼくが聞くと、「言うとったやん、今日は飲み会」と嫁ブーが言った。
「それは知っとる。その荷物のことを聞きよるんたい」
「ああ、荷物ね。飲み会の時に着て行く服と靴。会社から飲み会に直行するけ」
「制服のままでいいやないか」
「いやよ」

前々から嫁ブーは、夜高校の同級生たちと飲み会をすると言っていた。
総勢6名で集まるらしく、その中にはあのヒロミ(昨年9月の日記参照)がいるということだった。
嫁ブーの会社に向かう車の中でも、そのヒロミの話題が出た。
ぼくが「飲み会の間、またヒロミからメールが来るやろうのう」と言うと、嫁ブーは「ヒロミのことやけ、たぶんそうするやろうね」と言った。

ヒロミからのメールが届いたのは、午後8時過ぎだった。
それから、ぼくとヒロミのメールのやりとりが始まった。

20:11)ヒロミ「ボリ(嫁ブーのニックネーム)到着」写真付。
20:13)しんた「適当にあしらっとって」
20:15)ヒロミ「(嫁ブーは)かなり食べるのが早い」
20:17)しんた「うちでもそうやの」
20:17)ヒロミ「わかる」
20:19)しんた「ちゃんと靴下をはきかえて行っとるかのう?」
20:20)ヒロミ「今は臭くないらしいけど。たまらんよ」
20:24)しんた「足の蒸れそうな靴を持って行きよったけのう。気をつけとけよ」
20:24)ヒロミ「なんかスプレーまきよる」
20:26)しんた「いつものことやのう」
20:27)ヒロミ「何か食べた?貴黄卵、ボリが買ってくれるって」
20:29)しんた「今から食べる」

20:46)ヒロミ「ふとしの手品が始まった」
20:47)しんた「ふとしちゃ誰か?」
20:51)ヒロミ「店のオーナー。あとでムービー送るね」
21:01)ヒロミより『ふとし』のムービーが送られてくるが、何をやっている映像なのかわからない。
21:02)しんた「わからん」

21:08)ヒロミ「S田(メンバーの一人)が、しんたさんのサイト、毎日みたいらしいから、サイト(URL)教えて」
21:11)しんた「パソコンと携帯、どっちがいいんか?」
21:13)ヒロミ「携帯」
21:17)しんた、URL送る。

22:38)ヒロミよりカラオケボックス内のムービーが送ってくる。嫁ブーが歌っている。
22:40)しんた「アホ顔やのう」
23:02)ヒロミ「また歌った」ムービー付、嫁ブー熱唱中。
23:04)ヒロミより嫁ブーとの2ショットの写真が送られてくる。
23:10)しんた、以前撮っていた嫁ブーの足の写真を送る。

25:06)ヒロミ「ボリ、もうすぐつきます。お疲れさま」
25:08)しんた「了解。あ、今着いた」
25:14)ヒロミ「(無事着いて)安心しました。私はお風呂です。ボリも入るように強く言ってね!寝そうやけ。貴黄卵のお金あずけました」
25:16)しんた「ボリは朝入るみたい」
25:17)ヒロミ「汚いけ、入らせんと」
25:18)しんた「足だけは洗うみたいぞ」
25:20)ヒロミ「よかった。臭いけね」
25:22)しんた「なにせ、蒸れ靴やけのう」
25:24)ヒロミ「今日は臭わんかったけど。タバコ吸う人が多かったけ、わからんだけやね。私はこれから寝るね。ボリちゃん、また逢おうね」

以上、カッコ内はしんた補足。

足の写真の反応がなかったので、嫁ブーが帰ってから聞いてみた。
「突然みんなが『これ、誰の足?』とか言うけ、何やろうかと思って見てみたら、私の足やん。ヒロミがみんなに転送したんよ」
ということで、けっこうウケていたらしい。

さて、そういうヒロミとぼくのやりとりを見ていたメンバーの一人が、嫁ブーに「ボリ、旦那が他の女性とメールしていて気にならんと?」と聞いたらしい。
嫁ブーが「別に気にならんよ」と答えると、ヒロミは「そうよ。私としんたさんの仲やけねえ」と言ったという。
ぼくはヒロミのメル友になっているらしい。
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2005年05月18日

ヒロミちゃんと再会する

ぼくの家からヒロミの家まで、渋滞してなくても車で4,50分はかかる。
ぼくの家が北九州市の西の端であるのに対して、ヒロミの家は東の端にあるからだ。
それを考えると、北九州市は広い。

実は昨日、そのヒロミの家に、嫁ブーと二人で行ったのだ。
嫁ブーがヒロミから頼まれていた物があって、それを届けたのだが、ぼくとしては10数年ぶりの再会となったわけだ。
夕方6時頃に家を出たため、当然市内の道は渋滞している。
そのため所要時間4,50分が、1時間半以上かかることだってありうる。
ということで、昨日は都市高速を利用した。
そのおかげで、ヒロミの家の付近でちょっと迷ったものの、30分程度で着くことができた。

さて、ヒロミとの久しぶりのご対面である。
ぼくたちが着くと、ヒロミは玄関を開けて出てきた。
10数年前に会った時のヒロミが、そのままそこにいた。
相変わらず若くてきれいな顔をしていた。
誰が見ても、まさか高校生の子を持つ母親だとは思わないだろう。
「おお、ヒロミやないか」
「しんたさん、久しぶりやねえ」
「ヒロミは全然変わってないのう」
「しんたさんだって変わってないやん」
「いや、白髪が増えた」
「‥‥」

ヒロミはさっそくぼくたちをリビングに案内してくれた。
うちのリビングよりも、はるかに広く感じた。
「ここ何畳あるんか?」
「16畳くらい」
「うちは14畳やけど、ここはかなり広く感じるのう」
すると嫁ブーが「ああ、ここはキッチンが別になっとるけよ。うちはキッチン込みやん」と言った。
「そうか、それでの」

それからソファーに座り、思い出話に花が咲いた。
しばらくして、ヒロミが「コーヒー、ちょっと薄いけど、いつも豆は変えよるけね」と言って、コーヒーを出してくれた。
確かに薄かった。
が、別に気にはならなかった。
それよりも、「いつも豆は変えよるけね」に笑ってしまった。
結婚しても、子供が出来ても、ヒロミはヒロミだった。

思い出話といえば、ヒロミはえらく古い話をした。
それは24年前のことだった。
会社のオープンに伴って、ぼくたちは研修を受けていたのだが、その時ぼくはヒロミと同じグループだったのだ。
ヒロミはなぜかその時のことを覚えていた。
「ねえねえ、しんたさん。あの研修の時にビクターに行ったやん」
「そうやったかのう?」
「うん、行ったっちゃ」
「そうか」
「でね、あの時天丼食べたやろう」
「えっ、食べたかのう?」
「食べたっちゃ。あの天丼、どこの天丼かねえ」
「知るわけないやん」
「あれ、そーとーおいしかったんよね。あの味が今でも忘れられんのよ」
「よく覚えとるのう」
「今度調べとってね」
「だから、わからんっちゃ」
「あ、そうか。探偵ナイトスクープに頼んだらいいんか」
「‥‥」

ヒロミは近所のことにやたら詳しかった。
どこどこの家の子は九大に行ったとか、あそこの長男は小倉高校とか言って、その人たちのことをまったく知らないぼくたちに、口泡を飛ばし説明していた。
しかし、その一人一人の説明をしたあと必ず、「でも、どの学校にいったなんか関係ないよね。東大行ってもバカはバカやもんね」と付け加えていた。
確かに学歴は関係ないと思うが、それにしては、近所に住む成績のいい子のことをヒロミはよく知っている。

ヒロミによると、「関門橋のめかりパーキングエリアのソフトクリームがそーとーおいしい」らしい。
ぼくが「壇ノ浦パーキングエリアのはどうなんか?」と聞くと、「あそこはだめ!」とあっさり言った。
ということで、今度ソフトクリームを食べるだけのために、関門自動車道に乗り、めかりパーキングエリアに行く約束をした。
しかし、その際、どこのインターで降りたらいいのだろうか?
めかりは市内であるが、その先の降り口は、下関市なのである。

ヒロミの家には2時間ほどいた。
帰る間際、ヒロミは「Mリーン」と言って、2階にいた娘を呼んだ。
降りてきた娘は、かわいくて感じのいい子だった。
Mリンはぼくたちを見ると、「こんにちはー」と言って挨拶した。
Mリンは、ぼくがいつも嫁ブーの変な写真をヒロミに送っているので、嫁ブーのことを変な人だと思っていたらしい。
嫁ブーは、必死に「そうじゃない」と否定していた。

靴を履いている時だった。
突然、ヒロミがMリンに「あんたうんこする時に読むために、トイレにマンガを置いとるやろ」と言った。
出ました、ヒロミ得意のうんこネタである。
ヒロミは最後の最後まで、いっしょに仕事をしていた頃とまったく変わってなかった。
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2005年05月19日

ヒロミちゃんと再会する2

そうそう、忘れていた。
一昨日の日記『ヒロミちゃんと再会する』のことだが、昨日ヒロミ本人からクレームがきた。
いっしょに飲みに行く約束と、うちに泊まって(嫁ブーの持っている美顔器で)エステする約束をしたのだが、それを書くのを「忘れとるやん」ということだった。

ヒロミちゃん、これでよろしゅうございますか?
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2005年05月28日

高校時代のヒロミちゃん

昨日、野暮用のため、歯痛をおして嫁ブーの実家に行った。
そこでいろいろとごちそうを出してもてなしてくれたのだが、歯が痛いので当然食欲もなく、さらに味もわからないときている。
そのため早々と食事を終え、テレビで野球を見ながら一人暇をもてあましていた。
歯は痛いし、嫁ブー実家の話題について行けないし、おまけにソフトバンクも途中から逆転されるし、でクソ面白くない。
と、その時だった。
20年近くも忘れていた、あることを思い出したのだ。
それは、ヒロミの高校時代の写真を見ることだった。

20年近く前に、一度ヒロミから高校の卒業アルバムを見せてもらったことがある。
が、そこには肝心のヒロミの顔はなかった。
ヒロミは、そこに載っている自分の顔が気に入らないといって、その部分だけをマジックで黒く塗りつぶしていたのだ。
「これじゃヒロミの顔が見れんやないか」
「いいやん、ボリ(後の嫁ブー)見とったら」
「ボリの顔だけ見とっても面白くないやろ」
「今度、違うの持って来ちゃるけ」
「それならしかたない。ボリから見せてもらおう」
最後にぼくはそう言ったのだが、以降そのことを忘れていたのだ。

20年ぶりにそのことを思い出したぼくは、さっそく嫁ブーに高校の卒業アルバムを持ってこさせた。
「で、ヒロミはどこに載っとるんか?」
「ここよ」
そう言って嫁ブーは、ヒロミの載っているページを開いた。
そのページの中央付近に、ヒロミは載っていた。
ぼくが「きれいやん」と言うと、嫁ブーは「そうやろ」と同意する。
「何でヒロミはこの写真が気に入らんとか?」
「知らんよー。ヒロミ、このアルバムをもらって、すぐに自分の顔を消したんやけ」
「そういえば、ヒロミはこの間のメールで、『卒業写真の顔、死んどるけ』と書いとったのう。そうは見えんけど」
「本人はこの顔が嫌いなんやろね」

「ところで、ヒロミは高校時代も、あんなふうやったんか?」
「うん、全然変わってないよ」
「何か面白いエピソードあるか?」
「エピソードねえ…。あ、そういえば…」
「何かあるんか?」
「一時期ねえ、ヒロミ、駅前で売っていたドラえもんのどら焼きに凝ったことがあるんよ」
「そうか」
「それでね、あんまり食べ過ぎて太ったんよ」
「うん」
「普通なら、食べるの控えるやん」
「うん」
「でもヒロミは違ったけね」
「どうしたんか?」
「あいつねえ、食べるだけ食べて、すぐに下剤飲んで出しよったんよ」
「えっ、食べたものを、すぐに垂れ流しか?」
「うん」
「ヒロミらしいのう」
「ヒロミ、一度下剤飲んで試験受けたことがあったんよ。それで途中で催したみたいでね。青い顔して『先生、トイレ』と言って、教室を出て行ったんよ。そのまま帰って来んかったけね」
「おお、こういうネタを待っていた。さすがヒロミやのう」

ぼくはさっそくその話を書いて、ヒロミにメールした。
ところが、ヒロミの話はちょっと違っていた。
『山崎の肉マンやない? バロンてパン屋さんで売ってたんよ。家ではおはぎばかり食べてて、みるみる太ってきたから、毎日ヨーグルト、パイン、西瓜、蒸しパンとか食べよったら、便秘になってしまったけ、一週間分を土曜にコーラック飲んでだしよったんよ。そしたら2ヵ月で10キロ痩せたんよ。まわりの痩せたい友達から毎日電話がきて、その日のメニューを聞かれたんよ』ということだった。

嫁ブーとヒロミの話は、どうも違う時期の話のようである。
が、いずれにしても笑える話である。
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2005年05月29日

続・高校時代のヒロミちゃん

さて、昨日の続きである。
意地の悪いぼくは、さっそく嫁ブーの持ってきた高校の卒業アルバムの中から、ヒロミの写っている写真をピックアップして、カメラに収めた。
そして、試しにその中から一枚選んでヒロミに送ってみた。
すると、ヒロミからすぐに返事が来た。
 >いま焼鳥屋にきとるんやけど、(あの写真を見た友だちから)笑われたやんね。
「なるほど、今焼鳥屋で飲みよるんか。それなら酒の肴が必要やのう」と思ったぼくは、次から次に写真を送ってやった。
その都度ヒロミから、
 >(写真を見た)友だちが爆笑したやん!いま、何しよん?
 >まだ(他の写真を)探しよるやろっ?
 >(写真を見て)友だちがこけたやん!へんなの探しよるやろ。
 >かわいいって言われたよ。
 >やばいやん。やめてください。
 >たまらん。25才の子が(写真を見て)笑いよる。今いったい何しよるんね?
などという返事が返ってきた。

ぼくは、ヒロミに写真を送りながらも、一つ腑に落ちないことがあった。
それは、『見られて困る写真なら、友だちなんかに見せなければいいのに、どうしてヒロミは見せるのだろう?』ということだ。
そこで嫁ブーにそのことを聞いてみた。
「そんなこと知らんよー」
高校時代からの親友である嫁ブーも、さすがにそこまではわからないらしい。
結局わけがわからないまま、ぼくは家に帰ったのだった。

ちょうど家に着いた頃だった。
ヒロミからメールが届いたのだ。
それを読んで、ようやく先ほどの疑問が解けた。
実は、ヒロミはぼくが最初の写真を送る直前に、娘のMリンにメールを送っていたらしい。
それを送ったあと、すぐにメールが届いたので、てっきりMリンからのものと思い、友だちの前で開いたのだという。

そのメールを読みながら、その時の状況をぼくは自分の中で再現してみた。
「あ、Mリンから返事が来たよ」
「えらく早いねえ」
「Mリン打つの早いけね」
「何て言ってきたの?」
「ちょっと待ってね」
そう言って、ヒロミは友だちの前で受信画面を開いた。
「あっ!」
「えっ、何これー?見せて」
「見らんでいいっちゃ」
友だちは、ヒロミから携帯を取り上げた。
そこには、誰にも見せたくない、高校時代のヒロミの写真があった。
「あー、これってヒロミちゃん?」
「…うん」
「ぷっ、ぷぁはっはっはっはっは」
「‥‥」
「あー、腹いてぇー」
「‥‥(汗)」

ぼくが写真を送りつけている間、ヒロミはいったいどんな顔をしていたのだろうか?
ずっと黙っていたのだろうか?
それとも、しかたなくいっしょになって笑っていたのだろうか?
それを考えている間、ぼくは歯の痛みも忘れていた。
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2005年06月24日

ヒロミちゃんがやってきた(その1)

昨日の日記の更新は遅れに遅れて、今日の夕方になってしまった。
その理由は、昨日の夜からヒロミがうちに遊びに来ていたためである。

昨日の夜は、仕事が終わってから、門司までヒロミを迎えに行ってき、その足で嫁ブーを迎えに行き、家にいったん戻ってから、居酒屋に行く予定にしていた。

ところが、最初からつまずいてしまった。
そのヒロミの家である。
先月行っているので、まだその付近のイメージが残っていたし、番地もしっかりと覚えていた。
そのため、地図などを確認せずに行った。
それが間違いだったのだ。

その付近には予定通りより早く、8時40分頃に着いた。
「ちょっと早く着きすぎたかなあ」と思いながら、ぼくは記憶をたどってヒロミの家まで行こうとした。
ところがである。
その場所がわからなくなっていた。
小学校の近くというのは覚えていたが、同じような道、同じような家がいくつもある。
点滅信号から入るのは知っていたが、そこには点滅信号がいくつもあるのだ。
しかも、その点滅信号から曲がって、何番目の道に家があるのかがわからない。
番地を確認してみたが、夜なのでそれがまったく見えない。
車を降りて一軒一軒当たる方法もあったが、道が狭い割に、車の行き来が多いところなので、車を停めるわけもいかない。
結局、同じところをグルグルグルグル回ることになってしまった。

たぶんこの辺だったと思うところは、一方通行になっていて進入が出来ない。
さらに、一方通行が故に、Uターンが出来ない。
そこで、いったん幹線まで戻って、もう一度記憶をたどりながら、行ってみた。
が、先ほどと同じ場所に出る。
こんなことを繰り返しているうちに、時間は9時20分になっていた。
携帯で地図を確認したものの、細かい道までは載っていない。

こういう時は、先方に電話して道を聞けばいいのだが、それをやるとカッコ悪い気がしたので、最後の手段に残していた。
が、こうなっては、カッコ悪いなどと言っている暇はない。
歩道に乗り上げて車を停め、そこからヒロミに電話した。
ぼくが電話すると、ヒロミは待ってましたというようにすぐに出た。
「しんたさん?」
「おう。今○○というところにおるんやけど、ここからどう行ったらいいんか?」
「えっ、道忘れたと?」
「覚えとるつもりやったんやけど、同じような道とか家があって、わからんようになった」
「すぐに電話すればよかったのに」
「‥‥」
「そこからずっと坂道を上って、点滅信号を左に曲がったらいいんよ」
「点滅信号はいくつもあるぞ。どの点滅信号で曲がったらいいんか?」
「2つ目」
「ああ、2つ目か。そこを左折してどう行ったらいいんか?」
「すぐに右に曲がる」
「左折してすぐに右折か」
「うん」
「わかった、すぐに行く」

そこからヒロミの家までは、1分もかからなかった。
そこは、先ほど何度も通った道だった。
「やっぱりこの道でよかったんか」と思っていると、ヒロミがやってきた。
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2005年06月25日

ヒロミちゃんがやってきた(その2)

ぼくは車にヒロミを乗せると、さっそく嫁ブーの会社へと向かった。
一般道を通って行くことも考えたが、ヒロミ宅に到着したのが大幅に遅れたため、都市高速を利用することにした。

ところで、ぼくは、ヒロミを車に乗せるのは初めてである。
ヒロミ宅に行く途中で、『いくら10数年前に同じ職場で馬鹿をやっていた仲とはいえ、こういう隔離された場所で二人っきりになったら、お互いに躊躇して言葉も弾まないんじゃないか』などと心配していた。
が、そういう心配はまったく無用で、ぼくたちは相変わらず、普通に馬鹿やっているのだった。
それにしても、車の中のヒロミは、よくしゃべる。
いっしょに働いていた頃の話題から、町内会の話題まで、次から次に出てくるのだ。

さて、そのヒロミの一連の話に嫁ブーのことが出てきた。
前にも言ったが、ヒロミは嫁ブーのことを『ボリ』と呼んでいる。
「前に沖縄におったボリのお姉さんに、そーとー(かなり)良くしてもらったけね」
「そうか」
「そういえば、ボリのお兄さんの子がおったやろ?」
「おう」
「どうしよると?」
「去年、自衛隊に入ったぞ」
「ふーん。ねえ、ボリは二人兄弟よねえ?」
「えっ…?」

たった今、お姉さんとお兄さんの話が出てきたばかりである。
それだけでも三人兄弟じゃないか。
「違う。六人兄弟」
「えっ、6人もおると?」
「おう。男3人と女3人たい」
ヒロミは嫁ブーと高校から就職までずっといっしょで、実家に何度も遊びに行っているくせに、今さら何を言っているのだろう。
しかし、それこそが『愉快な隣人ヒロミ』のヒロミたる由縁である。

そういえば、その時に思い出したことがある。
先月ヒロミの家に行った時のことだが、ヒロミが嫁ブーに娘のビデオをダビングしてくれと頼んでいた。
嫁ブーが「じゃあ、テープ貸して」と言うと、ヒロミは「今ここにないけ、後で送るね」と言い、嫁ブーに住所を聞いていた。
今月に入って、ようやくそのテープが送られてきたのだが、その封筒を見て、ぼくたち夫婦は目が点になった。
住所は嫁ブーが教えたとおり、正しく書かれていた。
問題は宛名にあった。
苗字はちゃんと結婚後のものになっていた。
が、名前が違うのだ。
嫁ブーは『由紀』という名前なのに、宛名は『由記』となっていた。
それだけなら、「きっと字を間違ったんだろう」で片付けただろうが、ヒロミはそれで終わらないのだ。
なんと、その『由記』の下に、ご丁寧にも『子』を付けていたのだ。
つまり、宛名が『しろげ由記子』になっていたのだ。

「おい、おまえは高校まで『由記子』という名前やったんか?」
「違うよぅ」
「ということは、おまえとヒロミは、友だちじゃなかったんか?」
「友だちやったよ」
「じゃあ、何で友だちの名前を間違えるんか?」
「それは…。ああ、あの人、私のこと『ボリ』としか呼んだことがないけ、きっと下の名前まで知らんかったんやろう」
いや、きっとヒロミは、嫁ブーの旧姓も知らないだろう。
苗字はぼくと同じだから、ちゃんと書けたのだと思う。

嫁ブーが言うことにも一理ある。
ぼくも、昔から、ヒロミが嫁ブーのことを呼ぶ時は、「ボリ」以外の名前で呼んでいることを聞いたことがない。
だが、いくらニックネームで呼び慣れているとはいえ、普通の人なら名前もちゃんと覚えているだろう。
いったい、ヒロミは嫁ブーのことを、どうインプットしているのだろうか。
まあ、このへんが、いかにもヒロミらしいと言える。
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2005年06月26日

ヒロミちゃんがやってきた(その3)

嫁ブーの会社に着く頃、タイミングよく嫁ブーから仕事が終わったと連絡があった。
嫁ブーを乗せたあと、車を置きに帰ることにした。
居酒屋に行くためである。
ところが、家の駐車場に着いた時、時間はもう10時を回っていた。
「おい、居酒屋のオーダーストップは何時か?」
「普通の店は10時半やないと」
「10時半か。じゃあ、もう店に入れんのう」
「ああ、そうやねえ」
「どうしようか、腹減ったしのう…。あっ、おまえ『dug』に電話してみ。もしかしたら、今からでも食べさせてくれるかもしれん」
「あ、そうか。dugがあったねえ」
dugというのは、ぼくたちの行きつけの喫茶店で、地元では焼きカレーで有名なところである。(※dugに関しては、2001年2月4日の日記に書いているので、そちらをご参照下さい)

さっそく嫁ブーはdugに電話を入れた。
「もしもし、ゆきですが、今からいいですか?」
「焼きカレーでいいと?」
「それで充分です」
ということで、居酒屋での酒盛りは急遽中止になり、ぼくたちはそのまま車でdugに向かった。

dugでのヒロミは、いつもと違って大人しかった。
マスターとぼくたち夫婦の会話を、薄ら笑いを浮かべて聞いていただけだった。
マスターの前で何かおかしなことを言ってくれることを期待していたのだが、肩すかしを食らってしまった。

しかし、その日はそれで終わらなかった。
家に帰ってから、ヒロミはその本領を発揮したのだ。
dugでビールも飲めなかったぼくたちは、近くのコンビニに行ってビールを買い、家で酒盛りを始めた。

ヒロミはそこでずっとガンの話をしていた。
父親をガンで亡くしているので、自分もそうなるのではないかと心配しているようなのだ。
話の中で、ヒロミは二度ガン検診を受けたと言っていた。
一度は肺あたりが痛くなって、「これはガンかもしれない」と思い、医学書を買い込んだと言う。
それを見ていると、どうも自分がガンのように思えてきた。
そこで、医者に駆け込んで、こういう症状なので検査して欲しいと言った。
医者は笑って「ガンじゃないですよ」と言ったが、ヒロミは強く「検査してください」と頼み込んだ。
医者は渋々検査をしたという。
「検査の結果は、どうやったんか?」とぼくが聞くと、ヒロミはその結果が気に入らなかったのか、怒った顔をして「なーんともなかったけね」と言った。

もう一度は胃に違和感を感じ、「これはガンかもしれない」と思い、前に買った医学書を読んだ。
そして、また医者に行った。
その時も医者は笑って受け付けようとしなかった。
そこでヒロミは、医学書に書いていた症状を全部言って、無理矢理検査をさせたらしい。
しかし結果は、「なーんともなかったけね」である。
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2005年06月27日

ヒロミちゃんがやってきた(その4)

そういえば、その日の前日、ヒロミは差し歯が取れたそうである。
しかし、歯医者には行ってないと言っていた。
どうしたのかというと、瞬間接着剤でつけたのだという。
つける時には、差し歯をよく洗ってドライヤーで乾かす。
一方、土台になっている歯は、きれいに磨いた後に、ティッシュで水分を取り除く。
そうしないとつかないそうである。
ヒロミはそういったことを、身振り手振りを添えて説明していた。
ぼくが「そんなことしたら、よくないんやないんか?」と聞くと、ヒロミは「前もそうした後に歯医者に行ったんよ。そしたらねえ、先生に叱られた」と言っていた。

そういう話が終わった後、ヒロミは嫁ブーの美顔器を取り出して遊びだした。
ぼくはというと、一度はパソコンに向かったものの、疲れと久々のビールで眠たくなってしまい、そのままその部屋で横になった。

翌朝、ぼくは誰よりも早く起き、パソコンに向かった。
日記の構想がまとまらないまま、無為に時間をつぶしていた。
そういう時にヒロミが起きてきた。
ヒロミはぼくを見つけると言った。
「しんたさん、私が目を覚まして伸びをした時、手に当たるものがあったんよ。何かと思ってそれを手に取ってみたら、楳図かずお怖いマンガやん。何であんなところに楳図かずおがあるんかねえ。私、楳図かずおの怖いマンガ、そーとー(とても)好きなんよ」

ヒロミは、ぼくたち夫婦がそれで寝ると腰が痛くなるという理由で使わなくなった、ダブルベッドで寝ていた。
そういえば、ぼくは昨年、休みの日にそこで楳図かずおを読んだ記憶がある。
あまり行かない部屋なので、楳図かずおがそこにあるというのも忘れていたのだ。
それをヒロミが見つけてきたわけである。

「ねえ、他に楳図かずおの怖い本ないと?」
「いや、あったと思うけど」
ぼくはさっそく本棚を探してみた。
そこに2,3冊、楳図かずおはあった。
他にコンビニで買った怪談もののマンガを取り出して、ヒロミに手渡した。

その後ヒロミは、リビングで大人しくそれらの本を見ていた。
ところが、ぼくがトイレに行こうとして部屋を出てみると、ヒロミがいない。
おそらくベッドに戻って寝ているのだろうと思っていた。
トイレから戻って、ふとリビング横の和室に目をやると、大口を開けて寝ている嫁ブー横に寄り添うようにして、ヒロミが寝っ転がっていた。
「いつの間にここに来たんか?」
「だって、ボリが気持ちよさそうに寝とるんやもん」
そう言いながらもヒロミは、楳図かずおの怖いマンガを読んでいた。
結局、その日は外に出かけた時以外は、テレビを見ながら居眠りしながらも、ヒロミは楳図かずおの怖い本を読んでいたのだった。
posted by 新谷雅老 at 09:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ヒロミちゃん | 編集


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