2004年04月24日

夫婦の何気ない会話

「ねえ、この家、何かおるような気がせん?」
「おる? 何がおるんか? ネズミか? イタチか? ヘビか?」
「いや、そんなんじゃなくて…」
「そんなんじゃない? じゃあ、何か?」
「うん、幽霊とか…」
「幽霊? 何でこんなところにおるんか。ここはマンションの6階ぞ」
「そうよねえ。6階に幽霊なんかおらんよねえ」
「おう。幽霊っちゃ、地縛霊がほとんどなんやろ。6階は元々空間やないか。そこで人が死んだなんて考えにくい」
「そうよねえ」

「でも、何でそう思うんか?」
「いや、時々、寝ている時に、何かが窓から出て行くような気配があるんよねえ…」
「寝ている時っちゃ、何時頃か?」
「夜中やけど…。3時頃かねえ…」
「夜中の3時か」
「うん」
「それはおれやの」
「えっ?」
「それはおれっちゃ」
「はっ?」
「いつも、その時間になったら幽体離脱しよるけのう」
「幽体離脱したら、窓から出ると?」
「おう。体から抜け出した後に、窓から出ることあるのう」
「どこに行くと?」
「どこに行くかは決まってない。いつも意思とは違う方向に飛んで行くけ。この間行った所は、どこかの墓地やった」
「気味悪いねえ」
「墓地がか?」
「いや、幽体離脱とか」
「そんなことはない。誰でも知らんうちに幽体離脱しよると言うし」
「そういえば、そう聞くねえ」

「この間、寝とる時に、何かがおれの上をまたいで行ったけど、あれはきっとお前やろう」
「そうなん?」
「おう、間違いない」
「でも、そんな記憶ないけど」
「そんなもんなんよ。幽体離脱を自覚する人もおれば、せん人もおる、と言うことたい」
「そういうことか。でも、心配して損した。あれはしんちゃんやったんか」
「そういうこと」
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2004年04月26日

急患センター(前)

嫁さんは姿勢が悪いせいか、時々変な歩き方になっている。
その影響からかどうかは知らないが、今朝、新聞を取りに行く時に足をくじいたらしい。
今日はお互い休みだったため、前々から計画していた、生鮮食品の即売に行き、近くのお寺に藤棚を見に行ったのだが、その時は別に変わったところはなかった。

ところが、夕方のこと。
突然「足が痛い」と言い出した。
ぼくが「どうしたんか?」と聞くと、「朝くじいたところが痛くなった」と言った。
「昼間はどうもなかったやん」
「うん、だんだん痛くなって」
とりあえず、湿布を貼って様子を見ることにした。

ぼくが風呂から上がった頃、いよいよひどくなったようで、立つことも出来なくなっていた。
「何なら、医者に行くか?」
「別に医者に行くほどのことは‥‥。いや、やっぱり連れて行って」
時間は8時を過ぎたところだった。
「この時間、開いとる病院あるかのう?」
「産業医大は開いとうよ」
「そうか」
ということで、家からさほど離れてない場所にある産業医大に向かった。

産業医大に着き、受付に行った。
事情を説明すると、受付の人は「通院されている方ですか?」と聞いた。
「いいえ、初めてですけど」
「すいませんが、ここは通院されている方だけしか診てないもので」
「じゃあ、どこに行ったらいいんですか?」
「急患センターの本部の電話番号を教えますから、そこで聞いて下さい」
受付の人から、電話番号を書いた紙を受け取り、病院を出てからそこに電話をかけた。

「どちらにお住まいですか?」
「八幡西区ですけど」
「ああ、八幡なら、市民病院で受け付けてますので、そちらに行って下さい」
市民病院は、八幡駅の近くにある。
産業医大からだと、車で20分はかかる。
ぼくは『足をくじいたくらいなんやけ、ここで診てくれればいいのに』と思いながら、市民病院に向かった。

市民病院に着き、受付に行くと、先方から「どうされましたか?」と聞いてきた。
さすがに急患慣れした対応だった。
嫁さんが事情を説明すると、受付の人は「では、こちらの書類に必要事項を書いて下さい」と言った。
嫁さんが書類を書いている時、受付が「あ、ご主人、奥様は立っているのが辛そうなので、入口にある車いすを持ってきて下さい」と言った。
「えっ、車いすですか?」
「ええ」
『足をくじいたぐらいで大げさな』と思いながらも、ぼくは車いすを持ってき、嫁さんをそこに座らせた。
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2004年04月27日

急患センター(中)

さすがに、30万以上の人口を抱える区の急患センターだけあって、かなりの人が来ている。
特に多いのが赤ちゃん連れだった。
待合室、診察室、レントゲン室など、至る所から赤ちゃんの泣き声がする。

次に多いのが、老人だった。
ぼくたちが座っているところに、老人の夫婦連れがやって来た。
じいさんのほうが悪いようで、待合室に置いてある血圧計で、何度も血圧を測っていたのだが、そのたびに文句を言っていた。
「あっ、また上が5上がっとる。おれは、だいたい血圧が低いんやけ、5も上がったらフラフラするやないか。何ですぐに診察してくれんとか!」
フラフラするならジッとしていればいいのに、血圧を測るたびに立ち上がって、待合室の中を「診察はまだか!?」と文句を言いながら歩き回っている。
見かねた看護婦が「今、一人診てますから、もう少しお待ち下さい。それが終わってから診察しますので。ね、そこに座って」となだめた。
じいさんは、その言葉で大人しくなった。
が、看護婦がいなくなると、また同じように「診察はまだか」と怒鳴りながら、待合室の中を歩き回っていた。

さて、嫁さんのほうだが、レントゲンを撮った後、待合室に戻り、診察を待っていた。
しかし、ぼくは面白くなかった。
赤ん坊の泣き声と、じいさんの怒号、異様に辛気くさい待合室。
元々病院嫌いなので、こういうことに耐えきれなかった。
そこで、遊ぶことにした。

ぼくは立ち上がって、おもむろに嫁さんの車いすのハンドルをとり、ゆっくりと壁際まで運んで行った。
嫁さんが「どこ行くと?」と聞いたので、ぼくは「今にわかる」と答えた。
そして、嫁さんを壁向きに置き、ぼくは元の席に戻った。
「何、これ。戻して」
「だめ」
「ねえ」
「うるさい。人様に顔をさらすんじゃねえ。しばらくそうしてろ」
「嫌っちゃ、戻して」
「病院内では静かにしろ」
そう言ってぼくは、入口にあった自動販売機まで、ジュースを買いに行った。

待合室に戻ってくると、嫁さんの後ろに看護婦が立って、「どうしたんですか?」などと聞いていた。
嫁さんは「主人がここに持ってきたんです」と言った。
看護婦はぼくの方を向き、「どうかしたんですか?」と聞いた。
そこでぼくは、「普段の行いが悪いから、反省させているんですよ」と答えた。
「かわいそうに。戻してやって下さいよ」
「いや、孤独が好きだから、そのままにしといてやって下さい」
すると、看護婦が、嫁さんの耳元で何か囁いた。
嫁さんは小声で、「いや、いつもこうなんですよ。意地が悪いから」と言っていた。
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2004年04月28日

急患センター(後)

そうこうしているうちに、嫁さんの番が来た。
「お待たせしました。お入り下さい」
そこで医師は、通り一遍の診察をした後に言った。
「レントゲンを見る限り、骨には異常はないようですね」
整形外科医は、何かあると、すぐに骨折に結びつけたがるものである。
ところが、次の言葉に驚いた。
レントゲンで骨には異常がないと自分で言っているくせに、「では、『骨折の疑いがある』ということにしておきますので、整形外科に行って、その旨を話し、もう一度レントゲンを撮ってもらって下さい」と言ったのだ。
それを聞いて、ぼくは『こいつ自信がないのか』と思ったものだった。

医者が「どこか、かかりつけの整形外科はありますか?」と聞いた。
「いいえ」
かかりつけの整形外科があるほど、嫁さんは怪我をすることはない。
もちろんぼくにもない。
「いずれにしろ、明日整形外科に行って、レントゲンを撮ってもらって下さい。では、今日はギプスをしておきますので」
足をくじいたくらいでギプスはないだろう。
嫁さんが「ギプスをしないといけないんですか?」と聞くと、医者は「いちおう骨折の疑いがあるので、今日はこれで固定しておかないと。明日病院に行って、骨折でなければ外してけっこうです」

それを命じられた看護婦は、すぐにギプスを持ってきた。
ギプスをはめながら看護婦は言った。
「奥さんは松葉杖を突いたことありますか?」
「いいえ」
「ギプスをしていると不便でしょうから、松葉杖を3千円でお貸ししますので…。ああ、これは保証金です。松葉杖を返してもらったら、もちろんお金はお返ししますよ」

ギプスをし終わった後、看護婦は松葉杖を持ってきて、演技指導を始めた。
「こうやって、こうですね。じゃあ、やってみましょう」
嫁さんがやると、「ああ、お上手ですねえ。それでいいです。じゃあ、骨折の疑いが晴れるまで、これを使って下さい。いらなくなったら、持ってきて下さい。お金をお返ししますので」

その後手続きを終え、ぼくたちは急患センターを出た。
着いたのが9時前、出たのが11時だったので、およそ2時間急患センターにいたことになる。
帰りの車中、その2時間のことをいろいろ思い起こしていたのだが、その時、あることに気がついた。
それは、嫁さんは診察は受けたものの治療を受けてない、ということだった。
ギプスをして、松葉杖の指導を受けた以外、マッサージをするわけでも、湿布をするわけでもなかった。
あげくに「治療は整形外科で受けてくれ」と言う。
一体何のための急患センターなんだろうか。
あれでは、赤ん坊は泣きやまないし、じいさんの血圧は下がらないだろう。
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2004年08月01日

『ヨン様』と呼ぶな!

会社の帰り、ぼくはいつも実家に寄っている。
嫁さんの帰りがいつも遅いから、そこで時間をつぶしているのだ。
実家に行けば、晩飯のおかずを調達できるし、少なくともジュースは出るので空腹を紛らわせることが出来る。
実に重宝である。

ところで、なぜぼくが嫁さんを迎えに行っているのかだが、嫁さんの会社の周りには駅やバス停がない。
しかも、嫁さんは運転免許を持っていない。
だからぼくがいつも迎えに行っているのだ。

普通は9時半頃に電話が入り、それから迎えに行くことになる。
家に戻るのは、だいたい10時過ぎになる。
昨日は特別遅かったから、家に着いたのは11時を過ぎていた。

今日は昨日とうって変わり、ぼくが実家に戻ってからすぐに電話が入った。
「仕事終わりました。お迎えお願いします」
さっそくぼくは迎えに行った。
まだ、おかずの調達をしてなかったので、嫁さんを連れてもう一度実家に行った。

母と嫁さんは、割と仲がいい。
基本的によく似た性格をしているので、きっと分かり合える部分があるのだろう。
が、一番大きな要因は、母が男のぼくを見限っているというところにある。
ぼくが独身時代、よく母は「子供は女に限る。男は何も役に立たん」と、母の友人たちにこぼしていた。
そのため、ぼくが結婚した時の喜びようと言ったらなかった。
それ以来、母は何かあると、嫁さんだけを呼んで食事したり、買い物に行ったりしている。
母は嫁さんのことを人に紹介する時、決して「息子の嫁です」とは言わない。
「娘です」と言って紹介しているのだ。

さて、今日のこと。
実家に戻ってから、ぼくは腹が痛かったので、すぐにトイレに駆け込んだ。
しばらくして、トイレから出てくると、母と嫁さんが何やら盛り上がっている。
何の話かと思って聞き耳を立てていると、どうやら『冬のソナタ』の話のようだった。
母と嫁さんは、二人とも冬ソナにハマっているのだが、一度冬ソナを見ている嫁さんが、母にその後の展開を教えていたのだ。

「ちっ、また冬ソナか」
話について行けないぼくとしては面白くない。
そこで、試しに「あんな松尾貴史みたいな顔した奴が出とるドラマのどこがいいんね」と言ってみた。
すると、二人は声を荒げて「ヨン様のどこが松尾貴史ね」と言った。
「何が『ヨン様』か。『ペ』で充分たい。『ペ』で」
「ヨン様はヨン様やんねえ」と二人は顔を見合わせて言った。
もはや二人は、冷静さを失っているようである。

どうでもいいけど、早くしてほしい。
ぼくは腹が減ってたまらないのだ。
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2004年08月04日

韓流

とにかく最近は、すぐに時間が経ってしまう。
今日も晩飯が終わってからパソコンの前に座り、ブログのデザインを変えたりしていたのだが、2時間経っても日記の方はまったく手つかずで、気がつけばもう翌日になってしまっていた。
今0時36分だが、これから日記を書く。

さて、ぼくがパソコンに向かっている時に嫁さんは何をしているのかというと、全然パソコンに興味のない人だから、もちろんぼくの部屋にいるわけではない。
だいたい居間で寝ころんで、テレビを見ている。

ここ数週間、嫁さんはBSでやっている『美しき日々』を見ていた。
ぼくが「また韓国のドラマ見よるんか?」と聞くと、嫁さんは「うん。これ面白いんよ」と言う。
「そんなドラマばかり見ていたら、キムチ臭くなってくるぞ」
「だって、『イ・ビョンホン』カッコいいんやもん」
「『ペ』よりもか?」
「わたし、ヨン様好きじゃないもん」
好きじゃないなら、『ヨン様』などと呼ばないでほしいものだ。
何度も言うようだが、『ペ』で充分である。

「前に中尾彬が言っていたけど、韓国のドラマは日本の30年前のドラマと同じらしいぞ」
「そうやろね。だってこれ、ヒロインが白血病なんよ」
「えっ? ということは、山口百恵の『赤い衝撃』と同じやないか」
「うん」
「だから、その頃青春やったおばさまに受けるんやのう。おばさまに」
「うるさいねえ」
「そういえば、ニュースで『韓国では日本のドラマの視聴率が悪い』とか言ってたけど、30年前のドラマが普通やけ、きっと30年先のドラマがわからんのやろうのう。それ考えると、日本のトレンディドラマを理解するために、韓国はあと20年の年月がいるということか」
「そうやろうね」

嫁さんによると、『美しき日々』は今日で終わったらしい。
ということは、明日からは韓国ドラマを見なくてすむわけだ。
これで録りだめしていたビデオが見られる。
この間スカパー!でやっていた『ゲロッパ』、先月の『朝まで生テレビ』、昨日の『ウォーターボーイズ2』…。
ところが、である。
「これで、ようやく普通の生活に戻れる」と思っていると、嫁さんが「ねえ、しんちゃん。明日からまた新しいドラマが始まるっちゃね」と言った。
「ええっー!? また韓国かっ?」
「うん」
「・・・」
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2004年12月14日

夫婦生活

2,3日前のことだが、朝ぼくがパソコンでニュースを見ていると、嫁ブーが「目の下が腫れてない?」と言って部屋に入ってきた。
見てみると、なるほど目の下が腫れている。
「おう、腫れとるのう。どうしたんか?」
「心当たりがないんよ」
「食うちゃ寝、食うちゃ寝しよるけ、そうなるんたい」
「いや、それは違うと思うけど…」
「大いにある」
「もう…。ねえ、どうしたらいいかねえ?」
「この間、おれが買った目薬があったやろ?あれ差してみ。けっこう効くぞ」
「ああ、あったねえ。それ差してみよう」
そう言って、嫁ブーは部屋を出て行った。
しかし、向かった先は、目薬を入れてある冷蔵庫ではなく、トイレだった。
相変わらず緊張感のない女である。

しばらくして、嫁ブーはトイレから出てきた。
そして、冷蔵庫の所に行き、目薬を取り出してきた。
「これやったよねえ?」
「二つあったやろ?」
「うん」
「抗菌と書いてある方」
「ああ、これでいいんやね」
そう言うと、嫁ブーは目薬を差しだした。
その姿を見て、ぼくはおかしくてたまらなかった。
目薬を差す時、どうして口を開けるのだろう。
これも牛乳を飲む時と同じで、バランスをとるためだろうか?
口を開けていたほうが上を向きやすいのは確かだが、その姿を端で見ると滑稽なものである。

嫁ブーが目薬を差し終わった後に、ぼくは言った。
「いいか、目が治るまで、おれに触るなよ」
「え、何で?」
「うつるやないか。ただでさえ歯が悪いのに、これ以上悪いところが出来たら困るわい」
「うつらんっちゃ」
「そんなことわかるか。とにかく触るな」
ぼくがそう言うと、嫁ブーはわざとぼくのそばに寄ってきた。
「こっちに来るな。向こう行け」と言って、ぼくは嫁ブーを部屋から追い出した。

その後、会社に着いてから、左目に違和感を感じた。
何となくだるいのだ。
「やっぱり、うつったやないか」
このまま放っておいたら、眼医者行きである。
嫌々歯医者に行っているのに、この上眼医者になんかに行きたくはない。
そこでさっそく目薬である。
だが、その日は目薬を買うほどのお金を持っていなかった。
「そういえば…」
ロッカーに目薬を置いているのを思い出した。

ぼくはさっそくロッカーに行った。
「あった!」
前に目が悪くなった時に買ったもので、ちゃんと箱に入ったままであった。
その箱を見ると、まだ有効期限内である。
「これでいいや」
そう思って、その目薬を差すことにした。

休憩室に行き、手を洗ってから目薬のふたを開けた。
その時、朝の嫁ブーの姿を思い出した。
口を開けて目薬を差していると、笑われること必至である。
そこでぼくは、口を開かずに目薬を差すことにした。
しかし、口を閉じたままだと、上を向きにくい。
幸いそこに人はいなかったので、大きな口を開けて目薬を差すことにした。
ほどなく、目の違和感はなくなった。

夜、嫁ブーを迎えに行った。
嫁ブーが車に乗り込んだ時に、ぼくは言った。
「おかげで、えらい目にあったわい」
「え?」
「うつったんよ」
「目?」
「おう。でもすぐ治ったけど。で、おまえはどうなんか?」
「治ってない」
「おまえ、会社で目薬差したんか?」
「持って行くの忘れたんよ」
「アホか。後ろに座れ」
「何で?」
「またうつるやないか」
「大丈夫っちゃ」
「大丈夫やないけ、うつったんやろ」
「・・・」

家に帰ってから、嫁ブーはまた口を開けて目薬を差していた。
朝と同じく、間抜けな顔をしていた。
その日、ぼくは嫁ブーからなるべく遠ざかっていた。
寝る時も、普段より50センチばかり離れて寝た。
おかげで、何とかうつらなくてすんだ。
一方の嫁ブーは、口を開けた甲斐あって、翌朝は少し腫れが引いていたようで、その日の夜には完治していた。
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2004年12月22日

アンチ韓流

今、嫁ブーはテレビを見ている。
時々この部屋に音が漏れてくる。
最初は気にしてなかったのだが、物音一つたてずに見ているので、よほどおもしろいものを見ているのだろうと思い、耳を傾けてみた。
ところが、何かおかしい。
言葉が理解できないのだ。
言葉を聞くタイミングを誤ったのかと思い、今度はじっくり聞いてみた。
しかし、やはり理解できない。
しばらく聞いていると、ようやくその理由がわかった。
時々「アンニョン」という言葉が入っているのだ。
韓国語じゃないか。
嫁ブーは、またしても韓国ドラマを見ていたのだ。

そこで、ぼくは部屋を出て、嫁ブーに言った。
「おい、また韓流か?」
「うん」
「今度は何か?」
「冬ソナ」
「え?この間、見よったやないか」
「うん」
「おまえはバカか。何回同じものを見たら気がすむんか!?」
「今回のは違うんよ」
「何が違うんか?今見よるのは『冬ソナ2』なんか?」
「『冬ソナ2』とかないよ」
「じゃあ、この間やっとったやつと同じやないか」
「うん。でもね、今回のは前のと違うんよ」
「どこが違うんか?」
「今回のはね、完全版なんよ」
「完全版とかあるんか?」
「うん」
「じゃあ、この間やったのはダイジェスト版ということか?」
「まあ、そんなところやね」
「そうか。ということは、今回のは日の丸を燃やしたり、日本大使館の前で従軍慰安婦騒ぎやったりする場面でも入っとるんか?」
ぼくがそう言うと、嫁ブーは、
「そんな場面ない」と言い、『あんたにつき合っとる暇はない』と言うような顔をして、再びテレビに集中しだした。

夏にやっていた『冬のソナタ』が終わった時、「ようやく土曜日の『すぽると』が見れるわい」と思っていた。
ところが嫁ブーは、続けて始まった『美しき日々』を見だしたのだ。
それも終わったのでホッとしていた時だった。
何と嫁ブーは、見終わったばかりの『美しき日々』のビデオ全8巻を会社の人から借りてきて、それを見だしたのだ。
最近ようやくそのビデオを見終わったようで、「やれやれ」と思っていると、また『冬のソナタ』である。
年も明けることだし、いいかげんに韓流はやめてもらいたいものだ。

そういえば、昨日実家に行った時、母から、「ねえ、冬ソナ録画したいんやけど、予約してくれん?」と言われた。
ぼくが呆れて「また見るんね」と聞くと、
「いや、K子(いとこ)が『録画しとって』と言うもんやけ…」と言う。
ついに、いとこのせいにしてしまった。
まったく、うちの女どもは何を考えているのだろう。
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2005年03月31日

嫁ブー腰痛に泣く

昨日検索ワードの話をしたが、今日もいつもと同じように『背中痛』が上位に来ている。
ということで、今日も謝っておく。
「せっかくお出でいただきましたが、このサイトは『痛み』のサイトではありません。『痛み』はあくまでもネタに過ぎません。実にくだらない内容でございます。お詫びに、もし背中痛に効く療法などが見つかったら、ここでお知らせ致しますので、ご容赦下さい」

さて、背中痛のことを書いたせいかどうかは知らないが、今日痛みにからんだ事件が起きた。
仕事を終わって家に帰ると、嫁ブーが青い顔をしてソファーに座っていた。
「どうしたんか?」と聞くと、「またいつものが出た」と答えた。
「いつもの…?いつものっちゃ何か?」
「腰痛めたんよ」
「えっ、どうしてまた」
「昼間洗濯しよる時に、くしゃみが出たんよ。その拍子に腰が『グキッ』となって…」
「ギックリ腰か?」
「そのようなもの」
「じゃあ、急患センターに連れて行ってやろうか?」
「ご遠慮します」
「遠慮せんでいい。夫婦やないか」
「何が夫婦ね。また私を車いすに乗せて遊ぼうと思っているくせに」
「誰がそんなことをしたんか?」
「しんちゃん」
「愛する嫁さんに、そんな酷いことをするわけないやないか」
「よく言うよ」

忘れていた。
昨年の4月末、嫁が足を痛めたことがあった。
その時ぼくはあまりに暇だったので、「人様に顔をさらすんじゃねえ」などと言って、車いすに乗った嫁ブーを壁に向けて座らせたりして遊んでいたのだった。
そうか、あれから間もなく1年がたつのか。
早いものである。
しかし、女は前のことをよく覚えているなあ。
ぼくなんか、嫁ブー言われなければ思い出さなかったのだから。

幸い明日は休みである。
そこで嫁ブーに、「明日歯医者が終わったら、即効性のある整体院に連れて行ってやろうか?」と言ってみた。
すると、嫁ブーは「いや」と言って拒んだ。
「何で行かんのか。早く治しとかな、治りが遅くなるぞ」
「整体はいや」
「じゃあ、やっぱり急患センターやの。早く準備せ」
「だから、いいっちゃや。もうよくなりよるんやけ」
「おまえ足の時もそう言うたけど、その結果が松葉杖やったんやないか」
「あの時は、足やったけよ」
「腰なら行かんでいいんか?」
「そういうわけじゃないけど、ほら、腰痛はいつものことやん。今まではしばらく放っておいたら治ったんやけ、今回もそれで治るっちゃ」
「そんなことはない。そうやって放ったらかしにしとるけ、何回もギックリ腰になるんよ。おれなんか、ちゃんと自分でケアしよるけ、ギックリ腰なんかになることがないやろうが」
「そりゃそうやけど…」

嫁ブーが「整体はいや」と言った理由は、あの「ボキボキ」がだめだかららしい。
だめならなおさら行かせたくなる。
「ヒーヒー」言っている嫁ブーの姿を動画にでも納めて、あとで酒の肴にするのも一興である。
こうなりゃ、意地でも連れて行ってやるわい。

ところで、今日の日記のタイトルだが、こういうタイトルにすると、これがまた検索に引っかかって、腰痛の人が飛んでくるんだろなあ…。
重ねて言います。
ここは、「痛み」のサイトではありません。
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2005年09月07日

妻と親しむ

昨日は講習に行けず、結局家で過ごすことになった。
元々博多に行くつもりにしていたので、他に何の予定も立てていなかった。
しかし暇である。
たとえ予定を立てていなくても、晴れていたら、買い物に行ったりプチドライブに行ったりで、さほど退屈さも感じなかったのだろう。
だが、外は「大雨、洪水、暴風、波浪、高潮」警報の真っ最中で、とても出られる状態ではない。
しかたなく、ネットを見たり、ギターを弾いたり、それも飽きると本を読んだり、とダラダラ時間をつぶしていた。

嫁ブーはというと、することがないせいか、ずっと寝ている。
昼になったので、昼食の用意をしてもらおうと起こしたが、またすぐに目を閉じてしまう。
耳のそばで「腹減ったー」と叫んでみたが、やはり起きない。
そこで、ぼくは奥の手を使うことにした。
携帯電話を持ってきて、カメラを構え、「おい、写真撮るぞ」と言った。
こうやると、嫁ブーは反射的に起きるのだ。
実は、これまで散々嫁ブーの寝相を撮っている。
撮った写真はどうするのかというと、いつもヒロミに送っている。
ヒロミは嫁ブーの寝相が好きなのだ。
前に嫁ブーがヒロミに電話した時、ヒロミから「ボリ(嫁ブーのニックネーム)、すごい寝相やね」と言ってからかわれた。
「えーっ、何でわたしの寝相のこと知っとると?」
「だって、しんたさんがいつも写真送ってくれるもん」
「あのじじい、油断も隙もないんやけ」
それ以来嫁ブーは、カメラに神経質になっている。

しかし、昨日はちょっと勝手が違った。
「撮るぞ」と言っても起きなかったのだ。
ちょっと間をおいて、もう一度「撮るぞ」と言ってみた。
しかし、それでも反応がない。
そこで、携帯を嫁ブーの耳のそばに持っていき、「カシャッ!」というシャッター音を聞かせた。
「えっ!?」と言って嫁ブーは飛び起きた。
「いま撮ったやろ?」
「何のことか?」
「いま、シャッターの音がしたんやけど」
「知らんぞ」
「うそ、撮ったやろ」
「撮ってない」
「また、ヒロミちゃんにその写真送るつもりやろう」
「何も撮ってないっちゃ」
「もう…」
「それよりも腹減ったけ、何か作れ」
「あっ、もうお昼やん」

それから嫁ブーは昼食の用意をした。
そして、腹が減ってから1時間後、カメラを向けてから30分後に、ようやくぼくは昼食にありつけたのだった。

食事中も嫁ブーは居眠りをしていた。
ぼくが話しかけても上の空である。
しかし、食事が終わってからは目が覚めたのか、テレビを見だした。
また韓流である。
面白くないので、ぼくはまたネット、ギター、本に戻った。
外は相変わらず、「大雨、洪水、暴風、波浪、高潮」である。
暇な一日だった。
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2005年09月11日

嫁ブーの帰りが遅いために、遅くなった日記

嫁ブーは今日も遅く帰ってきた。
昨日は午前2時、今日は午前1時半で、明日も遅くなるのだそうだ。
こんなに遅い時間まで何をやっているのかというと、棚卸しである。
営業時間が終わってから始めるため、こんな時間になるのだそうだ。
いくら慎重かつ正確さが要求される作業だとはいえ、これはやり過ぎである。
ここまで遅くやったら、集中力がとぎれてしまって、いい結果が出ないのではないだろうか。

ぼくがいた頃も同じく営業時間後にやっていたのだが、翌日にずれ込むようなことは、まずなかった。
なるべく早く終わろうと、社員全員が工夫して棚卸しに取り組んでいたものである。
しかも、女子社員は午後10時をめどに帰らせていたのだ。

今のトップは、よほど時間の観念がないか、遅くまで残って仕事をするのが美徳だという考えを持っている人なんだろう。
もうちょっと家族のことを考えてもらいたいものである。
おかげで、日記が遅くなったじゃないか。
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2005年11月07日

嫁ブー顔を腫らす

昨夜もいつもと同じく、仕事が終わったあとで嫁ブーを迎えに行った。
従業員の専用門の前に車を停め、さっそく携帯で電話をかけた。
「着いたぞ」
「すぐ行きます」

しばらくしてから、嫁ブーが出てきた。
しかし、いつもと様子が違うのだ。
嫁ブーが顔を上げた瞬間、ぼくは「えっ?」と声を上げた。
左のあごのところに白い湿布のようなものを貼っているのだ。
ぼくは「もしかしたら…」と思った。

車に乗り込んだ嫁ブーに、ぼくは言った。
「おまえ、まさか虫歯じゃないんか?」
「ああ、これやろ」
そう言って、嫁ブーは湿布のようなものと指さした。
「昨日寝る時からおかしかったんよね」
「朝はどうもなかったやないか」
「うん、朝はね。昼頃からなんよ。あごがだんだん重くなってきて、それでこんなになったんよ」
「痛むんか?」
「いや、痛くはないんやけどね」
「明日、歯医者に行った方がいいぞ」
「うーん…」
「おれが行きよったS歯科がいいぞ」
「うーん…」

嫁ブーは歯医者行きに気が進まないようだ。
そこで、
「おまえ、そのまま放っといたら、脳に菌が入って大変なことになるぞ」と言って、脅しをかけた。
「えっ、大変なこと?」
「パーになるんたい」
「パーになると?」
「おう。元々パーのに、それ以上パーになったら面倒見きれんけの。さっさと実家に帰ってもらうわい」
「‥‥」
「いいか、明日は医者に行けよ」
「うん、わかった」
ぼくも、嫁ブーには『パー』が効くということが、よくわかった。

家に着くなり、ぼくは言った。
「じゃあ、さっそく撮ろうかの」
「えっ、何を」
「写真たい」
「写真!?」
「おう。その美しい顔を写真に納めとかなの」
「何が、『納めとかなの』ね。どうせその写真を、またヒロミに送るつもりやろ」
「決まっとるやないか。美しい顔は共有せなの」
「しんちゃんといい、ヒロミといい、ホントあんたたちよく似とるねえ」
「よけいなことは言わんでいい。はいポーズ」
ぼくはすぐさま、その写真をヒロミに送った。

さて、今日のこと。
嫁ブーは、朝一番に歯医者に行った。
10時半頃だったろうか、ぼくの携帯が鳴った。
嫁ブーからだった。
「今終わったけ」
「どうやった?」
「最高に腫れるまで治療できんらしいんよ」
「えっ、まだ腫れるんか?」
「うん。昔治療した歯のどれかの神経が、まだ残っていて、それが炎症を起こしとるらしいんよ。それで、腫れきらんと、どの歯か特定できんらしい」
「そうか、それは楽しみやのう」
「何が楽しみなんね」
「腫れあがった顔に決まっとるやろ」
「もう、人ごとかと思って」
「いいか、帰ったら、また写真やけの」

電話を切ったあと、再びぼくはヒロミにメールを送った。
『ボリ(嫁ブーのこと)の顔は、まだ腫れるらしい。帰ったら写真撮って送る』
すると、ヒロミからこんなメールが届いた。
『あの焼き鳥が、歯にはさまっとるんよ!腫れがとれたら抜歯やね。抜歯の会を作らんとね』
どうやらヒロミは、嫁ブーの腫れた顔よりも、抜歯のほうを期待しているようだ。
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2005年11月17日

嫁ブー

何ヶ月か前のことになるが、嫁ブーから面白いことを聞いた。
嫁ブーの会社に、ネット好きの人がいて、よくブログなどを見て回っているらしい。
その人が嫁ブーに、
「最近面白いブログを見つけたんですよ」と言った。
嫁ブーが「どんなの?」と聞いてみると、
「いろんなジャンルのことを書いているみたいなんだけど、けっこう笑えるんですよ。でね、その人、奥さんのことを『嫁ブー』と呼んでいるんですよ。このへんに住んでいる人みたいなんだけど」と言った。
『嫁ブー』、その言葉を聞いて、嫁ブーはドキッとしたらしい。
「嫁ブーが主役なん?」
「いや、嫁ブーは時々出てくる程度ですけどね」
「鬼嫁みたいなの?」
「いや、逆に嫁さんをバカにしているような感じなんです」

その日の夜にぼくはその話を聞き、さっそく『嫁ブー』検索をしてみた。
きっと他の人のブログだろうと思ったのだ。
ところが、『嫁ブー』でヒットするのはぼくのサイトだけしか出てこないではないか。
「おい、それ、おれのブログみたいぞ」
「えっ…」
嫁ブーは一瞬沈黙した。

「ねえ、しんちゃん、変なこと書いてないやろうね」
「書くわけないやん。おまえが足をくじいた時に病院に連れて行ったこととか、おまえがぎっくり腰になったとか、休みの日にはしょっちゅう寝とるということくらいしか書いてないぞ」
「病院に連れて行ったこと? まさか車いすに私を乗せて遊んだこととか書いたんやないやろうね?」
「もちろん書いた」
「えーっ、何でそんなことまで書くんね?」
「日記というのはありのままを書かんとの。でも安心しろ。翌日のことは書かんかったけ」
「えっ?」
「おまえ翌日には治っていたくせに、わざとらしく松葉杖ついて会社に行ったろうが」
「‥‥」

「うそやろ。困るやん」
「何で困るんか?」
「嫁ブーが私ということがバレたら、変な人と思われるやん」
「変な人やないか。ヒロミの友だちなんやけ」
「‥‥」
「でも、心配せんでいいぞ」
「何で?」
「もしバレたら、その人に『主人のサインもらってきてやろうか』と言ってやればいいやないか」
「ブログ書いとるぐらいで、サインを欲しがるわけないやん」
「そんなことはない。『主人は作詞や作曲して歌も歌いよるんよ』と言って、『本来なら有料やけど、今回は特別にタダにしてやる』と言えば、おまえの価値も上がるやろ?」
「あっ、そうか」

相変わらず、単純な女である。
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2005年11月18日

嫁ブー2

【1】
「ところで、何で『嫁ブー』なんね? 私そんなに太ってないよ」
「アホか、おまえは。『嫁ブー』ということにしとったら、日記読んでいる人は誰もが『ブー』と思うやろ?」
「うん」
「そしたら、『嫁ブーのいびきがうるさくて眠れなかった』と日記に書いたって、おまえは『ブー』やないんやけ、絶対にバレんやろうが」
「ああ、そうか」

【2】
先月の日記で、占いの人に見てもらったことを書いた。
その時、ぼくたち夫婦の相性はすこぶるいいということも書いた。
その後日談である。

「おまえ、占いの人に見てもらった時、おれたちの相性がいいとか言いよったのう」
「うん」
「どういうふうにいいんか?」
「あの時ねえ、『ご主人は、あなた以外の人だったら結婚してないでしょうね』と言われたんよ」
「どういう意味か?」
「しんちゃん、元々結婚に向いてないらしいんよ」
「そうか」
「家庭内で気を遣うのが苦手なんだって」
「じゃあ、何でおまえと結婚したんか?」
「わたしには気を遣わんらしいんよ」
「そうやのう。おまえには気を遣わんのう」

ある日、ぼくがこたつで寝ころんでいる時のことだった。
同じくこたつで寝ころんでいた嫁ブーに、「おい、そこの本を取ってくれ」と言った。
すると嫁ブーは、「そのくらい自分で取ればいいやろ」と言った。
「誰やけ頼むんか?おまえやけやろ。だから結婚したと占いの人も言いよったやないか」
「うっ…」
嫁ブーは、渋々起きあがって本を取った。

占いの人はいいことを言ってくれたものだ。

【3】
嫁ブーには変な癖がある。
何でも捨てる癖だ。

先日のことだった。
その二日前の新聞に、知り合いのことが載っていると聞き、家に帰って、さっそく新聞入れを探した。
ところが、どこを探しても見あたらない。
「おい、一昨日の新聞知らんか?」
「ああ、今日ゴミ出しやったけ捨てたよ」
「えっ、捨てた? でも、去年の新聞はあるやないか」
「上から順番に捨てようけ」
「おまえのう、古いのから先に捨てれ」
「だって、下の新聞出すの面倒やん」
「どこの世界に、新しい新聞から捨てる奴がおるか?」

【4】
初夏のことだったと思うが、シャボン玉石けんの本社に行き、固形シャンプーを3個買った。
使っているシャンプーがまだ残っていたので、買ったシャンプーは脱衣所の棚の上に置いていた。
さて、いよいよシャンプーがなくなったので、新しいシャンプーを使おうと、棚の上を見た。
ところが、ないのだ。

「おーい、この間買ったシャンプー知らんか?」
「そこにあるやろ?」
「ないけ、聞きよるんやないか」
「ない? そんなわけないやろ。他の棚に移したんやないんね?」
「おれは触った覚えはないぞ」
「私だって触ってないよ」
「ここを掃除するのは誰か?」
「それは私やけど…」
「じゃあ、触ったのはおまえしかおらんやないか」
「でも、触ってないもん」
と言って、嫁ブーは家捜しした。
だが、シャンプーは結局見つからなかった。

「おまえ、また捨てたやろ」
「捨ててないよう」
「でも、ないやないか」
「いや、そのうち出てくるっちゃ」

あれから3ヶ月ほど経つが、いまだシャンプーは出てこない。
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2005年11月30日

嫁ブー、はまる

一昨日の夜中のことだった。
日記が書き終わり居間に行ってみると、聞き飽きた歌が流れてきた。
「おまえ、またこれ見よるんか?」
「会社の人にDVD借りてきたんよ」
「去年、完全版も見たし、もういいやろうが」
「それが、何回見ても飽きんのよね」
「おれは、このドラマを見ているおまえのアホ面を見飽きたわい」
「そんなん言わんでいいやん」
「もういい、ごゆっくり見て下さい。私ゃもう寝ますんで」

聞き飽きた歌とは『マイメモリー』で、このドラマとは『冬のソナタ』である。
嫁ブーは、まだ韓流にはまっているのだ。
家には、『美しき日々』のDVDがあるし、ぼくがタイトルを知らないドラマのやつもある。
それに加えて、今回の『冬のソナタ』である。
そこにぼくのライブラリーなんて一つもない。
つまり、うちのテレビの周りには韓流が充満しているのだ。

嫁ブーはいつも何かにはまっている。
以前はSMAPものだった。
彼らの出ているドラマはすべて見ていた。
その後が、韓流。
一昨日のことがあって、「嫁ブーは、今年も韓流で終わりそう」と思っていたのだが、何とそれだけではなかった。
また新たなものにはまってしまっているのだ。

昨日、床屋から帰った後に街に出た。
給料後の恒例になっている銀行周りに行ったのだ。
その帰り、本屋に立ち寄った。
『20世紀少年』の新刊が出ていたので、それをレジに持って行くと、横で嫁ブーが何か買っている。
何を買っているのだろうと見てみると、コミックが何十冊もあるのだ。
「おまえ、何買いよるんか?」
「花より男子」
「何冊あるんか?」
「全部で39冊」
「えーっ、全巻か?」
「うん」
「ドラマで充分やろうが」
「ドラマは、ダイジェストに過ぎんもん。だいたい10回やそこらで、38巻分の内容を全部出来るわけないやん」
「そうか」
「買ったらいけんと?」
「いや、おまえのお金やけ、別に何に遣おうとかまわんけど。ただ条件がある」
「えっ、条件?」
「おう」
「何ね?」
「おまえが読んだら、次はおれが読むけ、絶対に人に貸したらいけんぞ」
「そんなことね。いいよ」
ということで、ぼくは39冊買うことを承認した。

しかしたまげた女である。
ぼくもコミックのまとめ買いをよくやるのだが、10冊が限度だ。
一度に39冊も買ったことなんかない。
第一、書棚はぼくの本でいっぱいなのに、いったいどこに置くつもりなのだろうか。
そこでぼくは、「おまえ、それどこに置くんか?」と聞いてみた。
「テレビのところ」
「あそこ、おまえのDVDでいっぱいやないか」
「ああ、あれね。あれはもう見たけ、クローゼットの中にでも入れておく」
「命よりも大切な韓流やないか」
「大切やないよ。こっちのほうが大切やもん」
そう言って、嫁ブーは嬉しそうな顔をして、39冊のコミックを抱えて帰ったのだった。
posted by 新谷雅老 at 00:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 嫁ブー | 編集


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