2004年03月18日

アルバイトとのバトル

数日前から、アルバイトとバトルを繰り返している。
事の発端は、ぼくが「お前、高校どこやったん?」と、聞いたことに始まる。
彼女は「O女子高です」と答えた。
「ああ、O女か。うちの近くやのう」
「え、しんたさんって、あんな所から来ているんですか?」
「あんな所っちゃなんか?」
「田舎じゃないですか」
「お前、自分がどこに住んでいて、うちを田舎だと言うんか?」
「私は都会ですよ。T駅の近くだから」
「T駅ぃ? あそこのどこが都会なんか?」
「だって、サティは歩いてすぐだし、うちのマンションの横なんかパチンコ屋があるんですよ」
「お前ねえ、サティとかパチンコ屋が近くにあったら都会なんか?」
「だって、ネオンがギラギラしてるもん」
「うちの近くだって、大きなパチンコ屋が3軒あるし、夜はネオンギラギラしとるぞ」
「いや、うちは都会だから、輝きが違うんですよ」
「それは、周りが暗いけたい」
「そんなことないですよぉ」

「うちは近くにデパートがあるんやけど、お前んとこ近くにデパートはあるんか?」
「ありますよ」
「ほう、どこにあるんか?」
「うちの前にあります!」
「聞いたことないのう」
「あるじゃないですか、ベスト電器が!」
「アホか!ベスト電器のどこがデパートなんか!?」
「え、違うんですか?」
「大いに違う」

「でも、うちは都会ですよ。だって、駅まで歩いて行けるもん」
「悪いけど、うちだって歩いて行けるんぞ。それに、駅が近いからと言って都会だとは言わんぞ」
「じゃあ、何と言うんですか?」
「交通の便がいい、と言う」
「とにかく、うちは都会なんです!」
「だから、どこが都会なんか?」
こうやって、バトルは延々と続き、ぼくたちはいまだに闘っている。
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2004年05月31日

頑張るタマコ!21歳(上)

今年の3月18日の日記に、アルバイトとバトルをやっているということを書いた。
このアルバイト、名前をタマコという。
顔は天才バカボン似である。
いや、顔だけではなく、頭のほうもバカボン似である。

昨日の開店前、履き物コーナーのパートさんと話していたら、たまたまそこに置いてあった下駄の話題になった。
ぼくが「最近の若い人は、鼻緒という言葉を知っとるんですかねえ」と聞くと、パートさんは「そのくらい知っとうでしょう」と言う。
「じゃあ、聞いてみましょう」ということになり、ぼくは下駄を持ってタマコのいる売場に行った。

タマコを見つけると、さっそく「おい、これ何ち言うか知っとうか?」と、下駄の鼻緒を指さして聞いてみた。
タマコは「知ってますよぉ、そのくらい。バカにしないで下さい」と、息の抜けるような声で言った。
「そうか、知っとるんか。言うてみ」
「それはですねぇ。タビです」
「は?」
「タビです。タビ」
「おまえんとこは、これを『タビ』ち言うんか?」
「はい」
それを聞いて唖然としたぼくは、タマ子の横にいたパートのラーさん(久々の登場だ。詳しくは日記内検索で)と顔を見合わせた。
そして、ラーさんは笑い出した。

ぼくは笑いをかみ殺して、履き物コーナーに戻り、さっそくパートさんに報告した。
「ダメダメ。全然知らんですよ」
「知らんって、何と答えたと?」
「タビですよ、タビ」
「足袋ぃ?」
パートさんは、一瞬息を止めて、そして吹き出した。
「誰が言うたん?」
「タマコです。タ・マ・コ」

再びタマコのいる売場に行き、タマコに「おい、わかったか?」と聞くと、横からラーさんが「しんちゃん、だめよ。この子『春よこい』も知らんとやけ」と言った。
「え?」
「童謡の『春よこい』にも、それが出てくるよと言ったら、この子、『はーるよこい、はーやくこい』までしか知らんとよ」
「じゃあ、『じょじょ』も知らんやろうの」
「知るわけないやん。『みいちゃんって何ですか?』とか聞いてたくらいやけ」
ぼくたちの会話を聞いていたタマコは「だから、みいちゃんって何なんですか?」と、またラーさんに聞いた。
ラー「『何』って、物じゃないんよ」
タマコ「じゃあ何なんですか?」
ラー「人の名前」
タマコ「ああ、人の名前かぁ」

ちょうど開店となったため、ぼくはいったん売場に戻った。
すると2,3分後、タマコが嬉しそうな顔をして、ぼくのところにやってきた。
「しんたさん、わかりましたよ。答は3文字で、一番上は『は』でしょ?」
「おう。自分で考えたんか?」
「当たり前じゃないですか」
と、その時、売場の電話が鳴った。
出てみると、ラーさんからだった。
ラーさんはぼくに「しんちゃん、一番下の文字を聞いてみてん」と言った。
そこで、タマコに「おい、一番下の文字を言うてみ」と言うと、タマコはさも自信ありげに「簡単ですよ。『み』でしょ」と言った。
「『み』?『み』ちゃ何か。全部言うてみ」
「は・さ・み」
「・・・。アホか、おまえは」

タマコは今21歳。幼稚園の先生を目指している。
いちおう今年短大を卒業したので、保母の資格は持っているらしいのだが、就職先がなく、しかたなく、学生時代からやっているうちのバイトを継続しているのだ。
しかし、幼稚園の先生になる人間が、こういう基本的なことを知らないと困る。
そう思ったぼくは、タマコを鍛えることを決意した。
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2004年06月01日

頑張るタマコ!21歳(下)

まず手始めに、基本的なことからというので、メモ用紙に九州地図を描き、そこに県名を入れさせることにした。
「おい、ここが福岡県。じゃあ、ここは何県か?」
と、福岡の左横を指さした。
「わかりますよ、そのくらい。佐賀でしょ」
「お、わかるやないか。じゃあ、ここは?」
「バカにしないで下さい。長崎じゃないですか」
「じゃあ、ここは?」
と、ぼくは福岡の右下を指さした。
「こういうのは得意なんです。そこはですねえ、岡山県です」
ぼくは笑うのを必死に堪え、「じゃあ、ここは?」と、その下を指さした。
「岡山の南だから…、ああ、広島県です」

それを見ていたラーさんが、長崎の左横に彼女の出身地である五島列島を描き加えて、「タマコちゃん、ここは?」と聞いた。
タマコはいかにも自信ありげに、「そこは、島根県です」と答えた。
ラーさんは腹を抱えて笑い出した。
「おまえ、知っとる県名を並べよるだけやないか。ちゃんと勉強してこい」
と、ぼくは売場に戻った。

それから一時して、「しんたさん、わかりましたよ」とタマコがやってきた。
手に先ほどのメモ用紙を持っている。
それを見ると、そこには正しい県名が書かれていた。
「ちゃんと自分で考えたんか?」
「当たり前じゃないですか。任せて下さい」
ところがよく見ると、その県名、所々ひらがなで書かれている。
そこでぼくが「おまえは『大分』という漢字も書ききらんとか?」と聞いくと、タマコは「ちゃんと書けますよ」と言う。
「じゃあ、書いてみろ」
さすがタマコである。
期待通り書いてくれましたわい。
【大痛】
「じゃあ、鹿児島はどう書くんか?」と聞くと、【鹿ご鳥】と書く。
「おまえは、漢字から勉強せないけんのう」

最後にこの質問をしてみた。
「おまえは都道府県というのを知っとるか?」
「知ってますよ、そのくらい」
「じゃあ、東京は東京何と言うんか?」
「東京県」
「東京けん?ラーメン屋やないんぞ。じゃあ大阪は?」
「大阪県」
「北海道は?」
「北海道県」

さすがにバカボン似である。
これでは幼稚園の先生どころではない。
もし今タマコが幼稚園の先生になったら、「浴衣着てお祭りに行ったんやけど、その時下駄のタビが切れて困ったっちゃね」とか、「この間、東京県に行った時、ナンパされたんよ。『田舎どこ?』と聞かれたけ、『福岡県。岡山県の上の』と教えてやったっちゃ」とかいう会話がまかり通るようになってしまう。
「おまえねえ、幼稚園の先生になる前に、園児からやり直せ」とぼくが言うと、バカボン似のタマコは、人ごとのような顔をして、口をぽかーんと開けていた。

タマコは今21歳。幼稚園の先生を目指している。
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2004年06月03日

『タンスヨウゴミヨウカン』

先日、2日間かけてタマコのことを書いた。
ラーさんがアルバイトの高校生に見せたところ、大受けだったらしい。
しかし一番受けていたのは当の本人、タマコだったということだ。
そのくせ、「何これ、そのまんま書いとうだけやん」と言ってうそぶいていたそうだ。

さて、今日タマコは、午後6時から8時までの2時間勤務だった。
タマコを書いた日から、ぼくはタマコに会ってないので、今日は4日ぶりの顔合わせとなった。
タマコはぼくの顔を見るなり、逃げた。
「おまえ、何で逃げよるんか?」
「またいろいろと書くでしょう」
「おまえがまともになったら書かん」
「私はまともです」
「どこがまともか!」
「ねえ、どうしてタマコなんですか?私は珠○なのに」
「タマコで充分たい」
その後もタマコは逃げ回って、なかなか隙を見せようとはしなかった。

ところが7時過ぎた頃だったか、タマコがヘラヘラ笑ってぼくの売場にやってきた。
「ねえ、しんたさん」
「何か?」
「小学生のタンスヨウゴミヨウカンってありますか」
「タンスヨウゴミヨウカン?何するものか?」
「いや、お客さんから電話なんですよぉ」
「それを先に言え!待たせとるんか?」
「はあ」
「じゃあ、『調べまして、こちらから折り返し電話します』と言っていったん切れ。あ、名前と電話番号をちゃんと聞いとけよ」

『さて、小学生用のタンスゴミヨウカンとは何だろう?』
こんなことを考えているところに、電話を終えたタマコがやってきた。
「わかりましたかあ?」
「わからん。何する物なんかのう?」
「もしかしたら、タンスのゴミをまとめて捨てる缶かもしれませんよ」
「そんなのがあるんか?」
「さあ?」
「知らんなら言うな!『学校の引き出し』というのがあるけど、その類のものかのう?」
「あ!」
「何か?」
「羊羹ですよ」
「え?」
「タンスヨウゴミという羊羹ですよ」
「そんなのあるか!それなら食品に電話するやろう。もういい、取引先に聞いてみる」

[あ、もしもし、しんたですが]
[お世話になっています]
[ねえ、タンスヨウゴミヨウカンち知っとう?]
[何ですか、それ]
[わからんけ、聞きよるんやないね]
[さあ、知らんですねえ。聞いたこともない]

やはり駄目か。
こうなったら、恥を忍んでお客さんに聞くしかない。
「タマコ、さっきのメモ」
「はい。これです」

[もしもし、○○店ですが、お世話になっています]
[はい]
[先ほど電話頂いたそうなんですが、よくわからなかったので電話差し上げたんですけど…]
[ええ!?あのですねえ…。知りませんかねえ、小学生用の『算数用5ミリ方眼紙』]
[ああ、方眼紙ですか]
やっとわかった。

『タンスヨウゴミヨウカン』は、タマコの聞き違いだったのだ。
当のタマコ、聞き違いとわかるや、「あー、違(ちご)たー」と言って、頭を抱えて逃げて行った。
電話が終わった後、ぼくがタマコを探しに行くと、タマコは商品の陰に隠れていた。
「コラー!何が『タンスヨウゴミヨウカン』か!おまえはどういう耳をしとるんか!?」
「だって、そう聞こえたんですよぉ」
「おまえは、電話番もしきらんとか!?」
ぼくはタマコにさんざん文句を言った。

そしてその後、思うところがあって彼女を日用品の売場に連れて行った。
そこには急須が置いてあった。
ぼくはその急須を指さして、「おい、これは何か?言うてみ」と言った。
タマコは「そのくらい知ってますよ。『湯飲み』でしょ」と自信ありげに答えた。
「これが湯飲みかっ!」
「ええっ、違うんですかっ!?自信あったのになあ」

次に傘の売場に連れて行った。
ぼくは傘の柄を指さし、「じゃあ、これは?」と聞いた。
「これは、『カサモチ』です」
・・・、勘弁してほしい。

タマコは今21歳。幼稚園の先生を目指している。
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2004年06月08日

頑張るタマコ!21歳(国語編)

先日、お客さんが少なかったので、暇つぶしにタマコに国語のテストをさせた。
メモ紙に、
『梨』『蛍』『西瓜』『南瓜』『蜜柑』
と書き、
「この漢字に読み仮名をつけてみ」
とタマコに言った。
さっそくタマコはボールペンを持ってきて、問題を解きだした。
「これは『なし』、これは『ほたる』…」
「おっ、タマコ出来るやないか」
「あたりまえじゃないですか、このくらい」
「じゃあ、次のは何か?」
「これは『にし』だから…、ああ『にしづめ』じゃないですか。で、次のは『みなみづめ』でしょ」
「『うり』やろが。それにそんな読み方はせん」
「えっ、違うんですか?」
「違う。次のは何と言うんか?」
「みっこん」
「『みっこん』ちゃ何か?」
「みっこんです」

これを見ていたラーさんが、
「三つとも食べるもんよ」
とヒントを与えた。
「ああ、食べるもんですか。じゃあ簡単じゃないですか」
と、『にしづめ』を消して『つけもの』と書き、『みなみづめ』を消して『なすび』と書いた。
「おい、何でこれが『つけもの』で、これが『なすび』になるんか?」
とぼくが言うと、タマコは
「だって、わたし、なすびが好きなんです」
と言う。
「好きやけと言って、勝手に字を変えるな。じゃあ、『みっこん』は何なんか?」
「ああ、『みっこん』は間違いです。これは『みつまめ』です」
いよいよアホである。

続いてラーさんが、
『閑かさや ○○にしみ入る 蝉の声』
『古池や ○○○飛び込む 水の音』
『雀の子 そこのけそこのけ ○○○が通る』
と書き、
「○の中、埋めてみてん」
と言った。
「蝉だから、これは『夏』ですよ」
確かに、蝉は夏の季語ではあるが…。
「えーっと、これは…、水の音だから『サカナ』、いや『イルカ』です」
タマコの中では、イルカは池の中に住んでいるらしい。
「そこのけそこのけ…、雀だから、これは『ネズミ』です」
わけがわからない。

あと、
「おまえ、『くだもの』を漢字で書ききるか?」とぼくが言うと、
ちゃんと『果物』と書いた。
「おお、書けるやないか」
「当たり前じゃないですか。馬鹿にしないで下さい」
「じゃあ、『やおや』は?」と言うと、
『八尾屋』と書いた後、
「あっ、違った」と言い、
『八屋八』と書き換えた。
「やっぱりタマコやのう」

ということで、国語は、
 1,『蛍』=『ほたる』で、○
 2,『梨』=『なし』で、○
 3,『西瓜』=『つけもの』で、×
 4,『南瓜』=『なすび』で、×
 5,『蜜柑』=『みつまめ』で、×
 6,『(なつ)にしみいる』で、×
 7,『(イルカ)飛び込む』で、×
 8,『(ネズミ)が通る』で、×
 9,『くだもの=果物』で、○
10,『やおや=八屋八』で、×
10問中3問正解で、3点という結果になった。
100点満点だと30点になるから、ぼくの行った高校では、欠点をぎりぎり免れる点数(当時)だ。

タマコは今21歳。幼稚園の先生を目指している。
・・・道は険しい。
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2004年06月09日

頑張るタマコ!21歳(算数編)

今日、タマコは知恵熱を出して、バイトを休むと言ってきた。
ラーさん曰く「しんちゃんが、いろいろと詰め込むけよ」
が、ラーさん。それは違う。
はっきり言って、この間はラーさんの問題のほうが難しかった。

最近、夕方から極端に暇になる。
ほとんど接客をすることがないのだ。
以前は何本か電話もかかっていたのだが、最近はそれもない。
売り出し準備でもすれば気も紛れるのだが、今週は売り出しがない。
それに加えて、今日はタマコもいなければ、暇つぶし仲間のH先生もいない。
『今日は面白くないのう。どうやって過ごそうか。それにしてもタマコの奴、あの程度で知恵熱とは情けない』と思っていた時だった。
『あ、もしかしたら…』と思い当たることがあった。
あの日、ぼくはタマコに、国語の問題を出した後、続けて算数の問題を出したのだった。

【問題1】
はたしてタマコは九九が出来るのか、と思ったぼくは、タマコに問題を出してみた。
「おい、タマコ。8掛ける9はいくつか?」
タマコは自信ありげに、
「そのくらい書けますよ」
と言った。
「書ける?」
「ええ」
そういうとタマコはメモ用紙に、
『八×九』
と書いた。
「おい、8×9はいくつかと聞いたんぞ」
「ああ、計算するんですか」
「そう」
「簡単じゃないですか」
「そうやのう。簡単やのう。で、いくつか?」
「63」

【問題2】
『お父さんは280円のタバコを5個、タマコさんは270円のタバコを10個買いました。これらを合わせて買う時、6000円のお釣りをもらうためには、レジでいくら払ったらいいでしょう』
この問題を紙に書いて、タマコに渡した。
さっそくタマコは計算を始めたが、何せ九九が出来ない。
そこで電卓を持ってきた。
5分ほどして、タマコは
「しんたさん、出来ました」
と言ってきた。
「いくらか?」
「4000円です」
「何でそうなるんか?」
「えっ、違うんですか?」
「4000円払って6000円のお釣りがもらえる店があったら、行ってみたいわい」

その後、タマコはその問題に手を付けなかった。
理由は、「頭がこんがらがる」ということだった。
『そうか、あれが原因やったんかもなあ。ということは、次からはもっとレベルを下げるしかないのう』
しかし、漢字の読み書きや、九九は基本だし、それ以上レベルを下げるとしたら、それこそ幼稚園のレベルに落とすしかない。
いったい、今、幼稚園ではどんなことを教えているのだろうか?
今度タマコに聞いてみよう。

6時前のこと。
ちょうどぼくがオナカ君と話をしている時だった。
何と休むはずのタマコが、ヘラヘラと笑って現れた。
「おい、タマコ。おまえ、今日は知恵熱出したけ休むんやなかったんか?」
「昼間は気分が悪かったけど…」
「もういいんか?」
「はい」
もちろんオナカ君に、タマコを紹介した。
そしてオナカ君に、
「何か質問してみろ」
と言った。
が、オナカ君は何も質問しなかった。

オナカ君が帰った後、タマコを鍛えてやろうと思い、タマコのところに何度か行った。
しかし、また知恵熱を出されたら困るので、何も問題を出さなかった。

タマコは今21歳。幼稚園の先生を目指している。
8×9は72だよ、タマコ君。
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2004年06月15日

タマコの日記

【1】
『皆さん初めまして、タマコです。
しんたさんが変な事ばかり書いていますが、あれはウソです。
本当の事は、幼稚園の先生をめざしている事だけです。
私は本当はIQ200ぐらいの天才で、都会育ちやし、全くパーフェクトの女なんで、しんたさんが言ってる事は信じないで下さいね。
タマちゃん』

算数や国語のテストの後、ぼくはタマコの文章力を見てやろうと思い、タマコに、
「これから毎日日記を書いてこい」
と言った。
「日記書いてどうするんですか?」
とタマコが聞くので、ぼくは、
「ホームページに載せて、おまえの馬鹿さ加減を、全国の人に知らせてやる」
と言った。
その結果が、上の日記である。

そうか。
これが、「IQ200ぐらいの天才」が書く文章なのか。
見習わなくてはいけない。
天才の文章は、「都会育ちやし」などと標準語の中にさりげなく方言を入れていくのか。
これは勉強になるわい。
ちなみにタマコの言う「都会」というのは、パチンコ屋のネオンがギラギラしているところである。

【2】
『6月12日
今日は1:30〜20までのバイトでした。
T子さんと一緒に働きました。
T子さんは、はっきり言っておかしい人です。
私とかマジでまともです。
T子さんは、いきなり「あっ、そうそう」などと言い出したり、時々変な事を真顔で話したりします。
だから、私より大先輩だけど、一緒に働いている時は、私がT子さんをまとめています。
だけど、そんなおかしなT子さんは、私は好きです』

「1:30」と書いているくらいだから、「20」というのは、おそらく「20:00」ということなのだろう。
ということは、彼女は1時半から20時まで仕事をしたことになる。
6月12日と言えば、先週の土曜日だが、あの日タマコはいつ寝たのだろう。
まあ、タマコは元気いっぱい油を売っていたから、きっと2,3日寝なくても大丈夫なんだろう。
しかし、ぼくの会社では、こんな長時間の労働は認めていない。
というより、店の営業時間は「10:00〜20:00」なので、当然「1:30」に店は開いてない。
いったい、タマコは1時半から10時までの8時間半、どこで仕事をしていたのだろう。

【3】
ところで、先日、「七夕の飾り付けをするので、短冊に何か書いてくれ」と頼まれた。
別に、ぼくは願い事があるわけでもない。
いったんは「書くことがない」と辞退したのだが、「数が足りない」としつこく頼むので、渋々短冊書きを引き受けた。
「さて、何を書こうか?」と、いろいろ悩んだ末、あることを思いついた。
「ああ、あれがあった!」
ということで、「あれ」を書いた。
『タマコが無事幼稚園に入園出来ますように』

タマコは今21歳。幼稚園の先生を目指している。
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2004年06月24日

タマコの日記2

【6月15日、16日】
『こんばんみ〜。タマコの日記でぇ〜す。二日分の日記を書いちゃいます。
15日はバイトが14時〜20時までの勤務でしたぁ。
この日はしんた兄ちゃん(しんたさん)は休みだったので平和な一日でした。だけど、この日はかなり調子悪くて、テンションダウンでしたぁ。イライラの日でしたぁ。
16日今日は、私は朝学校に行ってピアノのレッスンをしましたよ。
ピアノは本当に難しいので大変だけど〜私は天才なので楽勝ですっっ(笑)バイトは五時半からで、相変わらずしんた兄ちゃんは私の事バカにしてる感じがするのですが、一番変な人はしんたさんなので…私はそれを理解してるんで大変です。まぁ今日はこんな感じです!!
以上タマコの日記でしたぁ。 ーおしまいー』

『こんばんみ〜』っちゃ何かのう?
こんな言葉が流行っているのか?
もしくはタマコ語なのか?
後日そのことをタマコに聞いてみた。
正解はタマコ語だった。
友だちへのメールは、いつも『こんばんみ〜』から始めているらしい。
これをもらった友だちは、「やっぱりタマコって…」と思っていることだろう。

あ、そうだった!
この日記はメールでぼく宛に届いたものである。
ということは、タマコはぼくのことを『友だち』と思っているのだろうか?
それは困る。大いに困る。
いや、別に若い子からメールが届くのが困るのではない。
タマコがぼくのことを、友だちと同等に扱っていることが困るのである。
もしかたらタマコは、ぼくも『こんばんみ〜』などと言っていると思っているのではないだろうか?

ところで、ピアノのレッスンで学校に行くのはいいけど、先生に迷惑かけてないだろうか。
それが心配である。
あ、もしかしたら、ピアノの先生もぼくたちみたいに、タマコに「これなんて読むか知ってる?」などと言っているのかもしれない。


【6月19日】
『こんにちは。タマコです。台風が近ずいて来てますねぇ。今日は14〜20までのバイトだったのですが、かなりひまでした。客さんはすくないし、、、。だけん、日記も書くことがあんまし無いです。
なので、、、今日はおしまい、、、。
IQ200タマちん
     本当はIQ200以上☆
   {天才の中の天才}』

「ず」は、「づ」やろうが!
しかし、前日の日記で、ようやくタマコは24時間の使い方を覚えたのかと思っていたのに、またこの日は『14〜20』と書いている。
これでは、初めて読んだ人には、この数字が何なのかよくわからないだろう。

ところで、この子はいったい何の天才なんだろう?
おそらく天才の意味も知らないで使っているのだろう。
ついでにIQの意味も。


【6月20日】
『今日は、10:00〜14までの勤務でした。明日には台風が来るみたいだけど、バイトが14〜あるので大変。
今日は、バイト終わって、ピアノの練習します。
ベートーベン並みにプロ級なので練習する必要ないけど、今日はヒマAなのでします。
皆さん台風には注意して下さいね。。』

ベートーベン並みのプロ級なら、何も幼稚園の先生を目指さなくても、ピアノや作曲だけで充分に食っていけるはずである。
それにそれだけうまいのなら、逆に先生を教えているはずだ。
タマコ、だんだんボロを出す。
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2004年06月25日

タマコの日記3

こんばんみ〜。
今日は昨日の続きで〜す。

【6月22日『タマコの伝言』】
『「ORさんから皆さんへ」
まだ決まってはないみたいなんですけど、親戚の方が亡くなるみたいで、22日23日24日3日間(他の日になるかも…)休むそうです。
タマコが出たかったんですが、休みの日は用事が入ってるんで出れないんで、すみません。
またORさんから電話するみたいなので、、、。』
ORとは、タマコと同じ部門でバイトするタマコよりは九九が出来る分何ぼかマシな女子高生である。

この伝言はもちろんタマコが書いたのだが、普通なら『ORさんから、皆さんへ伝言でーす』などと書くはずである。
さすがにタマコでも、こういうことは真面目に書かないといけないと思ったのだろう。

が、それにしても変な伝言である。
『まだ決まってはないみたいなんですけど…』と、まるで旅行にでも行くような軽いノリ、それに加えて『親戚の方が亡くなるみたいで…』、おそらくタマコのことだから『危篤』という言葉を知らなかったのだろうが、すでに死ぬことを見通しているような書き方である。
捉えようによっては、予言とも思える。
ということは、タマコは会ったこともない、ORの親戚の方の死を予言していることになる。しかも日にち指定で。
天才タマコは予言者でもあったのだ。

さて、タマコが言っている『休みの日は用事が入ってる』ということだが、いったい何の用事だったのだろう。
翌日タマコにそのことを聞いてみると、何とその日はデートだったらしいのだ。
彼氏が家に遊びに来たらしい。
だが、疲れていたらしく、すぐに寝てしまったというのだ。
面白くないタマコは、しばらく一人でビデオを見ていたのだが、それも飽きて、眠っている彼氏にちょっかいをかけた。
ところが、それが原因でけんかになったという。
一時は別れ話まで出たらしいが、ほどなく仲直りしたらしい。
「よく彼氏が許してくれたのう。で、おまえ、何と言って仲直りしたんか?」
「何も言うてないよ。ただチューしただけ」
タマコには、『チュー』という言葉は似合わない。


【タマコの弱点】
タマコには弱点がある。
いや、脳が弱いということではない。
実は、タマコの鼻の下に、ニキビを潰した跡があるのだ。
最近潰したらしいのだが、タマコはそれを気にしている。

ぼくがその部分を見つけた時、なぜかタマコがソワソワしだした。
「もしかしたら」とぼくは思い、別の折に、その部分を見ていると、やはりタマコの様子がおかしい。
そこで、ぼくはタマコに聞いてみた。
「お前、そこどうしたんか?」
すると、タマコは急に真っ赤な顔をして「クーン」と犬の鳴くような声を上げて、逃げていった。
『これはいいことを知った』と思ったぼくは、それ以来タマコが大きな口を叩くたびに、その部分を凝視するようになった。
案の定タマコは大口を叩くのをやめ、頬を真っ赤に染め、何ともむず痒そうな顔をして逃げていく。
そろそろそのニキビの跡も目立たなくなってきているが、なるべくこちらが治ってないように振る舞って、タマコ・カードが途切れないようにしなければならない。
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2004年10月15日

タマコその後

久しくタマコのことを書いてないので、彼女がどうなったか、気になっている方もおられると思う。

実はもう、タマコはぼくの会社にはいない。
7月に就職が決まったので、辞めたのだ。
まあ、アルバイトだったから、ぼくのような男の下でずっとからかわれながらフリーターをやっていくよりも、ちゃんとした会社の正社員として働いたほうが本人のためである。

で、どこに就職したのかというと、これが地場の大手デパートなのだ。
最近は知らないが、ぼくが小さい頃は、そのデパートで働くことにあこがれを持っている女子が何人もいたものだ。
しかし、そういうところは競争率も高いから、そう易々と入ることは出来ない。
それをあのタマコは易々と入社したのだ。

「まんざら馬鹿でもないやん」と思われる方もいるだろう。
しかし、タマコがそのデパートに入社できたのは、試験よりも面接で好印象を得たからだった。
面接の時、試験官が、
「特に女性の多い会社ですから、人間関係の難しさもありますが、そういう場合、あなたはどうやって対処しますか?」とタマコに聞いた。
するとタマコは、
「わたし、家で犬を飼ってるんです。悩みがある時はその犬に打ち明けています」と答えたそうだ。
それが試験官に受けたらしく、晴れて入社と相成ったわけだ。

あれから2ヶ月半になる。
ぼくは毎月一度そのデパートに行くので、そのついでにタマコの制服姿を見に行くのだが、そのたびにタマコはいない。
その売場の人に聞いてみようかとも思ったが、ぼくはタマコのことをいつも「たま」とか「タマコ」とか呼んでいたので、すぐに名字が出てこなかった。
そのため、いつも聞けないでいた。

今日のこと、たまたまそのデパートにおつかい物を買いに行く用があった。
そのついでに、タマコのいる売場を訪れてみた。
いるいる。
例のごとく、タマコは口を開けて、売場の中を牛のようにノソノソと歩いていた。
ぼくはタマコに気づかれないように背後から近づいて、「こらっ!」と言った。
タマコはその声に動じることもなく、ゆっくりをぼくのほうを振り返った。

「あっ、お父さん」
「おれはおまえのお父さんやない」
「ちょうどいいところにきた。今日の予算は15万やけど、あと2万足りんけ、何か買って」
「今日は他の物を買いに来た。おまえんとこで買うもんなんかないわい」
「そう言わんで買って」
「そんな金はない」
「じゃあ、紳士服作って」
「いらん」
「お願いですから」
そう言うと、タマコはぼくに紳士服の紹介カードを手渡した。
「こんなのいらん。それよりも、ここはカードのノルマとかないんか?」
「あるけど」
「じゃあ、申込書をくれ。それなら入ってやるけ」
「それは上の階に行ってもらって下さい」
「普通、ノルマがあるなら持っとくべきやろ」
「うーん…」
タマコは情けない声を上げた。
「まあいい。今度来た時に用意しとけよ」
「それはそうと、まだ歓迎会やってもらってない」
「え?」
「辞める時、してくれると言ったやん」
「誰も歓迎会をしてやるとか言ってない」
「えー、約束したやん」
「約束してない。何でおれがおまえの歓迎会をしてやらないけんとか。歓迎会なら、ここの人にしてもらえ」
歓迎会と送別会の区別もつかないとは、相変わらずの大馬鹿者である。

そのあと、ぼくはその売場を離れ、他の売場に行った。
そこから、タマコの売場を見てみると、タマコはまた口を開けて売場の中をノソノソと歩いていた。
たまにお客さんが来ると、不器用に頭を下げていた。
ぼくはそれを見て、「ここに来る楽しみが出来たわい」と思っていた。
posted by 新谷勝老 at 02:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | タマコ | 編集

2005年08月04日

アイツがやってきた

今日は、そこそこ忙しく、そこそこ暇な一日だった。
何が忙しかったのかというと、今日は一括納品の日で、その整理に追われていたのだ。
店内と倉庫を往ったり来たりでだったのだが、店内と倉庫の温度差が大きく、そのために酷く疲れた。
しかも、店内作業は小物商品しか出さないので、さほど力を使わないですむが、倉庫は何10キロもあるような商品を抱えなければならない。
そのため、ぼくは普段あまり汗をかかないのだが、今日は珍しく頭からポタポタと汗が流れてきた。
ところが、普段汗をかかないものだから、汗を拭くタオルなどを用意してない。
それが裏目に出た。
店内に戻ると、汗が冷えてしまって、それがまた疲れを呼んだ。

とはいえ、その作業は断続的なものなので、どうしても暇な時間が出来てしまう。
まあ、昼間はお客さんも多いので、それなりに暇を紛らわせることが出来る。
が、問題は夕方以降(6〜8時)である。
その頃には、作業はほとんど終わっている。
それに加えて、お客さんの数も極端に減るのだ。
そのため、完全に暇になってしまう。
この2時間をどう過ごすか、ということが、いつもぼくの課題になっている。

「さて、今日はどうやって過ごそうか?」
と考えていた時だった。
アイツがやってきた。
tamako.jpg

上の写真が誰かというと、これがあのタマコである。
タマコとは、昨年この日記に数多く登場した、あのバカ女である。
リンクを張るには量が多すぎるので、興味ある方は記事検索で検索してみて下さい。

さて、そのタマコはぼくを見つけると、ノシノシとやってきた。
そしていきなり、
「お父さん、香水買うからまけて下さい」と言った。
「誰がおまえのお父さんなんか?」
「しんたさん」
「おまえみたいな、でかい子はおらんわい」
「ねえ、香水まけてー」
「おまえは、香水なんかつけんでいい」
「つけないけんしー」
「香水は臭い奴がつけるんぞ」
「臭くないしー」
「じゃあ、つけんでいいやないか」
「つけるしー」
「『しーしー』うるさいのう。おまえは京都人か?」
「違うしー」
相変わらずである。

結局、タマコは香水を買って帰った。
また暇になった。
そこで、先ほど撮ったタマコの写真で遊ぶことにした。
6月に携帯を買って以来、ぼくは写真の編集というものをやったことがなかったのだが、わけのわからないまま触っていると、けっこう面白い画像が出来た。
tamako2.jpg

それを見て笑っている時だった。
帰ったものと思っていたタマコが、またしてもぼくのところにやってきたのだ。
「お父さん、おなかすいたー」
「おまえ、まだおったんか。香水買ったんやけ、さっさと帰れ」
「帰らんしー。ねえ、なんかおごってー」
「隣のパン屋に行って、試食してこい」
「パンじゃ、おなかいっぱいにならんしー」
「じゃあ、香水まけてやった分で、何か買えばいいやろ」
「買わんしー」
「どうでもいいけ、早よ帰れ。忙しいんやけ」
「わかったしー」
タマコはそう言うと帰って行った。

それから1時間ほどして、ぼくが閉店の準備をしてると、後ろから「お父さん、帰るしー」という声が聞こえた。
「えっ」と思って振り向くと、そこにはタマコがいた。
何とバカ女は帰ってなかったのだ。
閉店までいたから、少なくとも2時間はいたことになる。
ぼく以上の暇人である。
posted by 新谷勝老 at 09:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | タマコ | 編集

2006年02月21日

今日のターゲットは…

(1)
今日は給料日後初めての休みだった。
ということで、例のごとく銀行回りをした。
いつものようにデパートに車を駐めたのだが、いつものように銀行を回ったあとに本屋に行くことをしなかった。
それには理由があって、デパート内にあるレストランに、ぼくが凝っている食べ物があるからだ。
つまり、早くそれを食べたかったということだ。
そこで、さっさと銀行を回り、さっさとデパートに戻ってきた。

その食べ物が何かというと、焼きそばである。
焼きそばなら、わざわざデパートで食べなくてもよさそうなものだが、そこの焼きそばはちょっと違う。
見た目は、普通の焼きそばと変わらないのだが、ソースを使ってないのだ。
そこでついた名前が『塩焼きそば』。
ソースを使わない分、嫌みがなく、実にあっさりしている。
それが今のぼくの舌に合うのだ。

昨年の11月に、そのメニューを知ってから、街に出るたびにいつもそれを食べている。
先月などは、銀行を回る前にまずラーメンを食べ、銀行を回り終わった後にそこで焼きそばを食べたほどだ。
おそらく来月も食べることだろう。

(2)
食後、デパート内をウロウロしていると、目の前をノソノソ歩いている女がいた。
誰あろう、タマコである。
タマコは、このデパートで働いているのだ。
「こら、何ウソウソしよるんか!」
タマコはびっくりしてこちらを向いた。
「あっ」
「『あっ』じゃない。ちゃんと自分の持ち場について仕事せんか!」
「トイレに行きよるんやもん」

と、タマコのネームプレートがぼくの目にとまった。
「おい」
「あ?」
「おまえ、名前が違うやないか」
「ああ」
「忘れたけ、他の人のネームプレートでもしとるんか?」
「違うよう。わたしねえ、結婚したんよ」
「えっ、結婚したんか?」
「うん」
「ダンナは、あの彼氏か?」
「うん」
「彼氏は早まったことしたのう」
「何で?」
「おまえが馬鹿ということ知らんやろうもん」
「わたし天才よ」
「ああ、そうやった。天才的なバカやったのう」
「バカやないしー」

「そりゃそうと、にいちゃん、転勤になるらしいけど、どこに行くと?」
「転勤せんぞ」
「えっ、でもそう聞いたよ」
「転勤はせん。仕事辞めて、歌手になるんよ」
すると、タマコは嫁ブーのほうを向き、真面目な顔をして「止めたほうがいいですよ」と言った。
それを聞いて、嫁ブーは「ホントに歌手になるんよ」と言って笑っていた。

「あっ、そうやった。にいちゃん、お祝いちょうだい」
「えっ、10円でいいか?」
「もっとちょうだい」
「おまえにやるお祝いなんかないぞ」
「何で?」
「おまえは、おれたちが結婚する時、何もしてくれんかったやないか」
「その時、わたしまだ、にいちゃんのこと知らんかったもん」
「いいか、世間は持ちつ持たれつなんぞ。さかのぼってお祝い持ってこい。そしたら、お祝いやるわい」

「ところで、まだ日記書きようと?」
「書きようよ」
「今は、誰がターゲットなん?」
「昨日はユリちゃんやったのう」
「ああ、カラオケ好きのおばちゃんやね。かわいそうに」
「かわいそうやないぞ」
「でも、無茶苦茶書くやん」
「何が無茶苦茶か。ありのままを書きよるだけやろ。カラオケ好きはカラオケ好きなりに、バカはバカなりに」
「いいや、無茶苦茶やん」
「じゃあ、今日は久しぶりにタマコのことを書こうかのう」
「もうやめてー」
「大丈夫。ありのままを書いてやるけ」
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2006年10月19日

祝福

先日書いた知人の結婚式が明後日に迫っている。
他人の結婚式なんて別に興味はないだろうが、いちおうその人を紹介しておく。
なぜなら、このブログにその人のことを何度も書いているからだ。

その人は、天才バカボンのような顔をした女性で、いつもとんちんかんな言動で周りから失笑を買っていた。
そういう人でも結婚できるのだから、結婚というのは顔や頭の良し悪しでするものではなく、縁でするものだということがよくわかる。

で、その人とはいったい誰なのか。
それはタマコである。

tamako2.jpg

式は教会でやるらしく、小倉に朝10時半に集合しなければならない。
余裕を持って1時間前に家を出ようと思っているが、わざわざタマコのウェディングドレス姿を見るだけのために、朝早く家を出るのもねぇ…。
まあ、タマコのことだから、きっと何かやらかしてくれると思う。
今はそれだけが楽しみだ。
posted by 新谷勝老 at 02:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | タマコ | 編集

2006年10月21日

コングラチュレーション!

それが何であれ、『式』というものは常に緊張感を伴うものである。
だが、見方を変えると、それは可笑しいものになる。
今日の結婚式もそうだった。

まず見せられたのがこれ。

tamakon.jpg

昼間からいきなりのキスシーンである。
教会でやる結婚式に出席したのは初めてだったが、もちろん式中にキスシーンがあるというのは、映画やテレビなどで見たことがあるので知ってはいた。
だが、『口づけ』というのはあくまでもドラマの中の演出であって、一般的には額や頬にするものだと思っていた。
しかし現実はこうだった。
ここでBGMが変わったくらいだから、非常に感動的なシーンなのだろう。
特に女性にとってはそうだと思う。
だが、それをやっているのがタマコだと思うと、ぼくは可笑しくてならなかった。

教会の厳かな雰囲気の中、外国人神父の声が響き渡る。
会場にいる人は皆、緊張感を持ってそれを聞いている。
だがぼくの意識は、外国人神父の片言の日本語に注目する。
「神の愛」「夫婦の愛」
キリスト教はやたら「愛」を連発するものだが、この外国人神父は「愛」を「アーイ」と発音するのだ。
ぼくはそれがおかしくてたまらない。
しかし、厳粛な教会の中、笑うわけにはいかない。
が、笑ってしまった。

それにも増しておかしかったのは、タマコの声だった。
「タマコさーん」
「あい(はい)」
「…この祈りの席に、心から節操を守ることを誓いますか?」
「あい、誓いまーす」
緊張感のない間延びした声、まるでいつもの口調なのだ。

お色直しのたびにタマコは披露宴会場を退出する。
スポットライトはその姿を追い、MCはその姿を言葉で飾る。
ドレス姿のタマコ、ライトアップされたタマコ、ナレーション付きのタマコ、まるでファッションモデルのようだ。
そこに出席していたすべての人が、盛大な拍手でタマコを見送った。
しかし、もしこの演出がなかったとしたら…。
実は、タマコはいつものように、ノシノシと体を揺らしながら歩いていただけなのである。
ぼくはそれに気づいて、ひとりで笑っていた。

ということで、今日はタマコの結婚式の模様をお伝えしました。
posted by 新谷勝老 at 05:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | タマコ | 編集

2006年11月09日

職安で意外な奴と会った

ハローワークで意外な奴に会ってしまった。
今日は失業保険の認定日でハローワークに行ったわけだが、いすに座って順番を待っていると、向こうの方から「しんたさーん」と大きな声でおらびながらノシノシと歩いてくる奴がいるではないか。
先日結婚したタマコである。

「おまえはこんなところで何しよるんか?」
「私も会社辞めたんよ」
「えっ?辞めたんか?」
「うん」
「何であんないい会社辞めたんか?」
「よくなかった。好かん人が多かったしー」
「どこに行っても好かん人は多いわい」
「でも、しんたさんのところで働きよった時はおらんかったもん」
「おまえねぇ、バイトと社員じゃ違うやろ」
「そうなん?」
「社員の場合、その店だけじゃなくて、本社とか他の店とかと関係があるやろ。おれは、そこに好かん人がいっぱいおったわい」
「ふーん」

「しかし、こんなところで会うとは思わんかったの」
「前にも会ったよ」
「おれは知らんぞ」
「しんたさん、気がつかんでさっさと歩いていったやない」
「声かけんけよ。まさか、おまえがこんなところをうろつきよるとは思わんやろ」

「しかし、おまえ、あの結婚式は何か」
「良かったやろ?」
「おまえのキスシーン見に行ったわけじゃないんぞ」
「感動したやろ?」
「するわけないやないか」
「もしかして、笑いよったと?」
「当たり前やないか。おかしくてたまらんかったわい」
「信じられーん」
「それと、名前呼ばれたらちゃんと『はい』と言わんか」
「言ったやん」
「『はい』じゃなかったやろ。『あい』やったやないか」
「言うてないもん」
「神父が『誓いますか?』と言ったら、声を裏返して『あい、誓いまーす』とか言うし」
「‥‥」

結局今日は、タマコを家まで送ってやった。
しかし、タマコ、たかだか職安に行くだけなのに、えらく荷物が多かった。
別に買い物をしたわけでもなさそうだし、いったい何を持って行っていたのだろう?

それにしても、ぼくとタマコは認定日がまったく一緒の日なのだ。
ということは、次の認定日にも会うということである。
「食事に連れて行け」だの「酒おごれ」だのうるさいから、次回以降は早めに行って、さっさと帰ることにしよう。
posted by 新谷勝老 at 03:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | タマコ | 編集


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