2007年08月17日

猫が鳴いている

猫が鳴いている
猫が鳴いている
今日の区切りを告げた寂しさか
届かぬ恋のいらだちか
実らぬ夢のむなしさか
彼らの一日は夜始まる
彼らの一日は夜始まる
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2010年04月11日

コロとタマ

小学校二年生の頃
近くにコロという犬がいて
よくぼくの家に遊びに来ていた。
とりあえず家の前に座って
愛想よく尻尾を振っていたが
彼の魂胆は見え見えで
確実に餌をねだりに来ていたのだ。
そこで給食のパンの残りを
あげていたのだが
彼はそれを食べ終わると
それまでの愛想のよさを一変させ
振り向きもせずに
無愛想に帰って行った。

同じく小学校二年生の頃
近くにタマという猫がいて
よくぼくの家に遊びに来ていた。
別に餌をねだるわけではなく
いたずらをするわけではなく
家の前に行儀よく座って
「ミャー」とぼくを呼んだ。
ぼくが顔を見せても
別に喜んだふうではなかったが
彼女はぼくの顔を見るのが
日課だったようで
しばらくすると「ミャ」と言って
満足そうに帰って行った。

ぼくの記憶の中では、この二匹が
同時に登場したことはない。
いつも交互に来ていた。
最初は生き物はかわいいな
程度の意識しかなかったが
長くつきあっていくうちに
二匹の差が現れた。
行儀の良いタマの存在があるせいで
コロの態度の悪さが
目につくようになったのだ。
そのうち「犬は好かん」
という意識が芽生え、徐々に
コロとの距離を置くようになった。

ある時こういうことがあった。
ぼくが大切にしていたオバQのグッズを
コロはぼくの手から取り上げ
グチャグチャに噛んでしまった。
それまでの経緯もあって、ぼくは
コロを許すことが出来なかった。
ぼくは思わずコロの頭を叩きつけた。
その日を最後にコロは来なくなった。

一方のタマは相変わらずだった。
雨の日も風の日も
ぼくの顔を見に来ていた。
だがその翌年、突然来なくなった。
飼い主にその事情を聞いてみると
「突然いなくなった。おそらくどこかで
死んでいるんだろう」ということだった。
以来ぼくの家に動物は来なくなった。

ま、それはそれでいいのだが
この二匹のおかげで
一つだけ決定的になったことがある。
それは犬が大嫌いになり
猫が大好きになったということだ。
後日親戚が犬を飼うようになるのだが
いちおうかわいがってはいたものの
好きにはなれなかった。
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2010年04月13日

ライバル

ぼくが中学生の頃
親戚にクリという犬がいた。
横須賀の久里浜生まれということで
その名をつけられたのだった。
お米屋さんやガス屋さんを噛みつくわ
そのくせ不審者が来ても吠えないわ
まったく役に立たないアホな犬だった。
ただ子作りだけは励んでいたようで
彼の死後、親戚の家の周りで
クリによく似た犬を
ぼくは何匹も見たことがある。

ぼくが高校生を卒業する頃
その親戚がロクという猫をもらってきた。
鎖につながれた生活を強いられ
運動不足になっていたらしく
自分の首を掻く足が空振りするほど
丸々と肥えていた。
人に飼われていたくせに人に懐かなかった。
もしかしたら自分の飼い主はあくまでも
自分を鎖につないだ前の飼い主であり
自由にしてくれた親戚は、自分の中の
飼い主ではなかったのかもしれない。

ロクとクリはすこぶる仲が悪かった。
ロクは親戚に住むようになってから
鎖でつながれることもなく
家の内外でのびのびと暮らしていた。
一方のクリは人を噛むので
庭の隅に鎖でつながれていた。

クリはその待遇の差が気に入らなかった。
が、そのことを飼い主に訴えることも出来ず
そのストレスのはけ口をロクに向けていた。
とにかくロクの姿を見るとクリは
気が狂ったように吠えまくった。

ロクはというと、そんなクリの感情を
逆なですることばかりやっていた。
クリの目につく所に座ってみたり
クリの耳に届く所で猫なで声を上げてみたり
クリの目の前で飼い主に抱かれてみたり…。
とにかくクリに意地悪しているとしか
思えないような行動をロクは取っていた。

ぼくが二十歳を過ぎた頃
ロクは親戚宅には住んでいなかった。
どうやら家出したらしい。
案外クリの存在がストレスになっていて
それが原因の家出だったのかもしれない。
一方のクリはというと
そのストレスの原因が取り除かれたことで
安心したのだろう、それから数年生きていた。
posted by 新谷勝老 at 03:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 動物録 | 編集

2010年04月20日

ベンチネコ

あっ、また二本足が来た。
今度は白い髪のおっさんだ。
奴らはオレの姿を見ると
なぜか襲いかかってくるんだ。
若い女は「キャー、キャー」と
甲高い声をあげて襲ってくるし
バアさんは「チッチッチ」と
舌を鳴らして襲ってくる。
ガキまでもがオレを見ると
大声を上げて襲いかかろうとする。
一度ガキから尻尾をつかまれて
往生したことがある。
オレが何をしたというんだ。
何もしてないじゃないか。
オレはただこのベンチに
座っているだけなんだ。
そのことで二本足たちに
迷惑をかけた覚えなんかない。
久しぶりのポカポカ陽気なのに
寝入りばなを襲ってくるので
ゆっくり昼寝もできないじゃないか。


b-neko.jpg
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2010年05月01日

猫に好かれない日

自他共に認める猫好きではある。
だが、猫を飼うほどの甲斐性を
ぼくは持ち合わせてはいない。
猫の方もそれを察しているのか
ぼくの猫可愛がりに対して
曖昧にグルグル言うだけで
心からの愛情表現をしてこない。

ノラなんかは特に敏感で、きっと
「こいつに媚びを売っても、何の
得もない」とでも思っているのだろう。
「チ、チ、チ」と呼んでも
立ち止まろうともしない。
今日なんかは偉そうに、「フー」
などと威嚇してくるヤツもいた。

まあ、眺めているだけでも
充分に楽しめるヤツらではある。
しかしせっかく、せっかく
同じ場所にいるのだから
少しは袖触れ合ったって
少しは会話があったって
いいじゃないか。

ぼくはいつもヤツらに
そのへんを察してもらいたいのだ。
少しは心を開いてほしいのだ・
まあ、今日のことは許してやろう。
だけど次回だけは餌を持っていても
やらんからな。とりあえずそれを
今日のバツということにしておくぞ。
posted by 新谷勝老 at 01:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 動物録 | 編集

2010年06月07日

笑う猫

二十年ほど前のことだが
嫁さんと通りを歩いていると
丘の上にある禅寺から
何か不思議な気配を感じた。
見上げてみると
その丘の中腹に一匹の猫がいて
こちらをジッと見つめている。
目を合わすと猫はニコッと笑った。
体全体がふくよかで
えらく品のある雉猫だった。
その笑いも余裕を感じる笑いで
猫アレルギーのうちの嫁さんも
なぜかその猫は怖くなかったらしく
ニコッと笑いを返していた。
嫁さんはその時「あの猫
あの禅寺で修行を積んで
悟りを開いたのかもしれんね」
と言っていた。

禅に「南泉斬猫」という
坊さんが猫を斬る話がある。
南泉というのは高僧で
弟子たちに悟りを開かせるために
猫を斬ったわけだが
それと同時に猫にも
悟りを与えたに違いない。
おそらく猫はその瞬間に
悟りを見たことだろう。
そして安心を得たことだろう。

その猫を見て、ぼくはふと
その話を思い出した。
笑う猫、実は斬られた猫の
生まれ変わりだったのかもしれないな。
いや案外、南泉の生まれ変わりかもしれぬ。
喝!
posted by 新谷勝老 at 03:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 動物録 | 編集

2010年07月05日

コンビニのネコ

何ゆえに舌を鳴らして起こすですか。
何ゆえに鼻先に指を持ってくるですか。
何ゆえに汚い手で頭を触るですか。
何ゆえに指先で首をくすぐるですか。
何ゆえに勝手に肉球を押さえるですか。
せっかくいい気持ちで寝ているのに
食べ物くれんのなら
やめてくれんですか、鬱陶しい…
「ニャー」
posted by 新谷勝老 at 07:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | 動物録 | 編集

2010年09月26日

コーヒーのカンカン

駐車場の白い線の上に
コーヒーの缶が置いてある。
誰が置いたのかは知らないが
ご丁寧に真っ直ぐに立てている。
思うに、缶を投げ捨てないあなたは
缶を投げ捨てない程のいい人なんだ。
そんなにいい人なんだから
そこを歩く猫がつまずかないためにも
もう一歩だけいい人になって
ゴミ捨てに捨ててきて下さいな。
posted by 新谷勝老 at 08:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 動物録 | 編集

2010年10月05日

こんにちはー

「こんにちはー」
威勢よく親戚の家の玄関を開けると
真っ先に出てくるのはいつも猫だ。
小さな子供のいる家に行くと
真っ先に出てくるのがその子供
というのと同じだ。
結局、年を取っても猫の知能程度は
人間の幼児と同じくらいなのだろう。
しかし猫が出てくる時、柱の陰から
こそーっと覗き込む姿には笑ってしまう。
目が合うと目をそらし、他の所を見る。
で、こちらが知らん顔をしていると
またこそーっとこちらを覗き込む。
そこで再び目を合わせてやると
慌てて他の場所に目をやる。きっと
自分が目をそらせば、自分の姿が相手に
見えなくなるとでも思っているのだろう。
その行為が実に愛くるしい。
posted by 新谷勝老 at 06:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 動物録 | 編集

2010年12月27日

ああ、寒い

街がどこかに流れて行く
街がどこかに流れて行く
お前の夢の場所はここじゃない
お前の行き着く先はここじゃない
そうつぶやきながら
街がどこかに流れて行く

街がこんなにちんけだから
街がこんなにちんけだから
癒やしてくれる猫さえも
いなくなったじゃないか
おかげで人も減ったじゃないか
街がこんなにちんけだから

華やかな彩りのネオンは
見た目だけのイルミネーションに変わり
温かさのなくなった街を映し出す
夢も見られなくなった街を映し出す。
青と白だけの無機質な
寂しい街を映し出す

街はきっと凍えているんだ
街はきっと凍えているんだ
あの時の夢はいつか終わったんだ
だから今は現実の生活に思いを馳せるんだ
気がつかないうちに気温が少し下がったんだ
だから街が凍えているんだ
posted by 新谷勝老 at 00:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 動物録 | 編集

2011年02月25日

お猫のブルース

お猫にとって人間というのは
迷惑極まりない存在なのである。
だから空腹時以外の飼いお猫は
人間に近寄ってこないし
いついかなる時も野良お猫は
人間には近寄ってこない。

いったん人間に捕まると面倒だ。
のどをなでるし、鼻を押すし
肉球を触るし、腹をさするし
尻尾をつかむし、フラッシュたくし、
すぐに抱き抱えようとするし
好き勝手な名前で呼ぶし・・

お猫が必要としているのは
誰にも邪魔されずに
ゆっくり寝られる時間だ。
お猫が必要としているのは
誰にも干渉されずに
のんびり出来る空間だ。

だからオモチャ扱いにして
時間や空間を邪魔してくる
人間の子供を嫌うのだ。
だからいつもジッとしていて
時間や空間に干渉してこない
年寄りのそばが好きなのだ。

お猫にとって人間というのは
実に鬱陶しい存在なのである。
だから空腹時以外の飼い猫は
人間に近寄ってこないし
いついかなる時も野良猫は
人間には近寄ってこない。
posted by 新谷勝老 at 02:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | 動物録 | 編集

2011年02月27日

取引先のノラ猫

取引先の駐車場に
数匹のノラ猫がいる。
フサフサとした
気持ちよさそうな
毛並みをしているのだが、
そこはノラなので
かなりすすけている。
その汚れ方からすると、
体に棲みついている
のみやダニの数は半端ではなく、
かなり痒い、痒い痒い人生を
彼らは過ごしているに違いない。

さて、そのノラたち、
別に取引先の人が
飼っているわけではない。
餌を与えているわけでもない。
だから人間には近寄ってこない。
とはいえ、人を見かけても、
人慣れしていないノラのように
ダッシュで逃げることはしない。
適当な距離を保っては
ジッとこちらを窺っている。
こちらが少し近づいても
逃げようとはしない。かといって
体を触らせることはしない。
ま、その汚さを見たら
痒さがうつりそうで
触る気も失せてしまうが。

ぼくは彼らと会った時は
とりあえずチチチと呼んで
彼らが足を止めたら
下手な猫語で語り
適当ににらめっこして、
時には写メに収めて、
それで終わりにするという
適度に迷惑な人間を演じている。
posted by 新谷勝老 at 00:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 動物録 | 編集

2011年09月21日

イメージ

うちの駐車場に数匹のネコがいる。
ペット禁止のマンションなので
もちろん彼らはノラである。
誰も餌を与えてないはずなのに
彼らは一様に人懐っこい。
そこに住んでいる常連さんはもちろん
営業でやって来る一見さんを見ても
逃げようとはしない。
きっと何かを期待して
愛想を振りまいているのだろう。

さてそんな数匹のネコは
肥ったヤツや痩せたヤツ
中肉中背まで揃っている。
同じ食生活をしているはずなのに
この差は一体何なのだろう。
もしかしたら肥ったヤツは
引き寄せの法則だとか
宇宙にお願いだとかを知っていて
餌をたんまり食べている自分を
イメージしているのかもしれないな。
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2012年05月25日

チッチとミーコ

日が暮れてしばらくすると
あいつが黒い箱からゆっくり
ゆっくり降りてくる。そして
おれを見つけると、決まって
『チッチ』と舌打ちしやがる。

舌打ちをした後あいつは決まって
『ミーコ』と言っている。どうやら
おれに付けた名前のようだ。
だけど、おれはおれであって
ミーコではない。絶対違う!

だけど何でおれがミーコなんだ。
ミーコ顔でもしてるんだろうか。
そんなヘンテコな名前はやめてくれ。
付けるならもっと気の利いた
英語の名前を付けてくれよ。

しかしこのままでは悔しいな。
そうだ、おれもあいつに変な
名前を付けてやろうじゃないか。
何にしようかな。やっぱり
チッチと言うからチッチがいい。

あ、チッチが帰ってきた。
いかん!見つかってしまった。
『ミーコ、ミーコ』と近づいてくる。
「馬鹿チッチ、糞チッチ。どっか行け。
ミーコなんて二度と呼ぶな!」

おれは声に出して言った。
間違いなくチッチは馬鹿だ。
おれの言うことがわかってない。
あっそこまで来た。わっ満面の笑みだ。
「失せろチッチ。気持ち悪い!!」
posted by 新谷勝老 at 01:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 動物録 | 編集

2012年06月04日

首根っこ

首根っこをつかまれると
私は何も出来なくなる。
だから彼の姿を見つけたら
私は一目散に逃げている。
そう彼は私の首根っこを
つかむのが上手なんだ。
息を殺して黙っていても
彼は私に気づいてしまう。
車の影に隠れていても
彼は私を見つけてしまう。
そしてしつこくしつこく
私の首を狙ってくる。
首をつかまれた私は彼の
なすがままになっている。
「コラ、鼻を押さえるな!!」
もういいかげんにしてほしい。
posted by 新谷勝老 at 02:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 動物録 | 編集


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