2022年08月12日

枯れた白

 20歳の頃だったか、Gパンセンターにシャツを買いに行った時の話である。
 店のお姉さんから、
「どういう色がよろしいですか?」と聞かれた。
 欲しい色はイメージしているのだが、その色の名前がわからない。さて、何と言ったらいいのかと考えているうちに、とっさに出た言葉が、
「枯れた白」だった。
「えっ、枯れた白?」
「はい」
 それ以上考えつかなかったのだ。
「枯れた白ねえ・・。ちょっとお待ちください」

 しばらくして、お姉さんが戻ってきて、
「枯れた白、これでよろしいですか?」と言った。
 お姉さんが手に持ったシャツは、ぼくがイメージした色そのものだった。
「これ、何という色なんですか?」
「薄いベージュですね」
 この時、ぼくは初めてベージュという色を知ったのだった。
 
 図画が嫌いだったぼくは、色にも疎く、例えばカーキ色やコバルト色などと言われても、頭に浮かぶのは、カーキ色は『柿色でなかったな』で、コバルトは鉄腕アトムの兄さんの名前だ。その色がどんな色なのかが出てこない。

 しかし「枯れた白」はよかったな。そのことを知らなくても、国語力さえあればなんとかなる、ということに気づかされた言葉だ。
posted by 新谷勝老 at 06:35 | 思い出 | 編集


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