2022年05月22日

お客様、それはないでしょう

 某家電専門店に勤める知り合いから、こういう話を聞いた。
 初老の男性が販売員に声をかけた。
「このテレビを届けてくれ」
「ありがとうございます。では、こちらにお届け先の住所をお書き下さい」
「何で書かんとならんのか」
「えっ、配達されるんでしょ?」
「何を聞いとるんだ。そう言っとるじゃないか」
「だから、こちらにご住所をお書き下さい」
「だから、何で君に個人情報を教える必要があるんだ。ちゃんと法律で教えんでいいようになっとるだろうが」
「・・・・・・・」
「こんな非常識な店では買えん」
 そう言い捨てて、そのお客は帰ったそうだ。

 かつて、ぼくも似たような仕事をしていたことがあるのだが、その頃、こういうことがあった。
「明日X時に、この商品をここに届けて下さい」
「ありがとうございます。お支払いはどうされますか?」
「代金引換にして下さい」
「かしこまりました」
 翌日X時、配送の人から連絡が入った。
「この住所、存在しないんですけど・・・」
「えっ、地図で確認して行ったんでしょ?」
「載ってないから、直接来たんですよ。住所は間違ってないでしょうね?」
 そこでそのお客が書いた販売伝票を確認したのだが、配達票と寸分の狂いもない。電話をかけてみても出ない。仕方なくお客からの連絡待ちということにしておいた。
 あれから二十年近く経つが、いまだにそのお客からの連絡はない。
posted by 新谷雅老 at 06:26 | 日記 | 編集


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