2007年07月11日

街に小さな風が吹いていた。
その時、何がどうなんだと、
酔っ払いの騒ぐ声が聞こえた。

酔っ払いは道行く人に向かって、
つばを飛ばし、身振り手振りで
支離滅裂な持論を展開していた。

予告なしの演説会は、
聞く人もいなければ、
振り向く人もいない。

それでも酔っ払いは、
声を詰まらせ、涙を流し、
懸命に演説をし続けた。

そして最後に酔っ払いは、
「天皇陛下万歳!」と叫んで、
演説のすべてを終わらせた。

一世一代の舞台を終えた酔っ払いは、
そのままその場に寝転がり、
ホッとした顔で眠ってしまった。

よほど緊張していたのか、
ビルの壁に映るその影は、
風よりもいくぶん速く揺れていた。
posted by 新谷勝老 at 13:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 街風景 | 編集
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