2022年05月29日

最初で最後の思い出

 関門橋が開通した頃だったか、友人と門司港に遊びに行ったことがある。
 門司港は市の東の端に位置し、西の端にあるぼくたちの住むの街からは、およそ30キロ離れている。それだけ離れていれば、国鉄(当時)を利用するのが普通だが、ぼくたちはその方法をとらなかった。チンチン電車に乗って行くことにしたのだ。
 その理由は、友だちもぼくも、チンチン電車で終点まで行ったことがなかったからだ。もちろん幼い頃からチンチン電車はしょっ中利用していたが、利用するのはいつも2、3キロ離れた繁華街までだった。

 その日は、最寄り駅の二つ手前にある始発駅から乗った。せっかくだから始発駅から終着駅まで乗ることにしたのだ。その所要時間は、並行して走る国鉄(普通電車で40分程度)の4、5倍かかったような気がする。国鉄のように専用軌道ではなく、道路上を走るので、時速制限があったり、信号待ちにかかってしまったりして時間を食うのだ。
 ということで、「ノロノロ走るチンチン電車は、繁華街に遊びに行くのには都合がいいが、遠く離れた場所に行くのには適してない乗り物だ」と、その時思ったものだった。

 とはいえ、あの時チンチン電車を使ってよかった。なぜならそれからおよそ30年後にチンチン電車が廃止になるまで、それを利用して門司港に行くことはなかったからだ。つまりその時が、始発駅から終着駅までチンチン電車に乗った最初で最後だったというわけだ。
posted by 新谷勝老 at 06:42 | 日記 | 編集


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