2022年05月16日

花の首飾り

 昭和43年はグループサウンズの絶頂期で、タイガース、テンプターズ、スパイダース、オックス、カーナビーツ、ゴールデンカップス・・・。小学5年生のぼくの目に、彼らはまぶしく映っていた。
 一番心を奪われたのは、ジュリーやピーのいたタイガースで、ファンレターなんかも送っていた。

 そのタイガースの『花の首飾り』が大ヒットした、その年の5月のことだった。母の会社の慰安会に、クレージーキャッツが来るということで、家族で見に行こうということになった。
 ところがその日は、市民会館でタイガースのコンサートがあったのだ。そこでそちらの方に行きたいと、しつこく母に頼み込んだ。
「タイガースのどこがいいんね。どうせ市民会館に集まるのは、ミーちゃんハーちゃんばかりやないね。クレージーでいいやろう」
 結局母に振り切られ、渋々クレージーを見に行った。

 植木等がステージの上で、『スーダラ節』を唄っている。ぼくはそれを打ち消しながら、心の中で『花の首飾り』を唄っていた。
posted by 新谷雅老 at 16:16 | 日記 | 編集

カメレオン

 会社の帰りにスーパーに寄ったら、見ず知らずの人から、
「納豆はどこですか?」と聞かれた。
「店の人間ではないですよ」と言うと、
「あっすいません」と言って、その人は向こうに行った。

 こういうことはよくあることで、電気屋でラジカセの説明を求められたり、書店のコミックコーナーで宗教書のありかを尋ねられたり、銀行のATM前で機械が壊れていると文句を言われたり、初めて行ったスナックでマスターと呼ばれたり、通りがかりの葬儀屋の前で葬儀の時間を聞かれたりする。
 これはきっと、ぼくの風貌がカメレオンのごとく、その場に溶け込んでしまうせいだろう。

 だが、お役所、税務署、学校などでは、その能力は発揮されないようで、一度も声をかけられたことはない。それはきっと、そこが自分の興味のない場所だからなのだろう。
 しかし、その解釈でいけば、ぼくは葬儀に興味を持っているということになるわけか。
 案外心のどこかに、そういうものへの憧れがあるのかも知れないな。ちょっと複雑な気分だ。
posted by 新谷雅老 at 06:02 | 日記 | 編集


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