吹く風ねっと

一生は未来の記憶を散りばめた一本の道。人生は未来の記憶をひろいながら歩く旅。

2016年10月

数年前の同窓会のことを
冷静になって考えていた。
彼女はぼくとしゃべる時、
目を合わせようとせずに
なぜかオドオドしていた。
その後街で出会った時も
やはり彼女はそうだった。

雑誌でたまたま見かけた
心理記事を読んでいたら
男と話す女のオドオドは
苦手意識があるんだとか。
その一方で好意の裏返し
などとも書いているのだ。
著者の心理がわからない。

元来彼女がぼくに対して
苦手と感じていたのなら
数年前の同窓会の会話で
更に苦手になっただろう。
好意の裏返しだとしても
想定外の緊張感に気づき
苦手意識が生れただろう。

冷静なはずの心理状態は
実は冷静ではないのです。

真夜中いよいよ眠ろうとした時
パシっというラップ音が聞こえ
幽体の離脱が始まったのだった。
肉体から出たぼくは玄関に行き
扉を開けて外に出ようと試みた。
だけど幽体、もし見つかったら
まずいかなと思い、覗き穴から
外を覗いてみた。さすが夜中だ
外を歩く人などひとりもいない。

それで鍵を開けようとしたんだ。
いや待てよ、離脱中なんだから
この扉をすり抜けることくらい
簡単に出来るだろうと思ってね
思い切って手を伸ばしてみたら
手は扉を突き抜け、その勢いで
ぼくの体は扉の外に飛び出した。
ぼくは外を見回しそれが現実の
景色と違わないことを確認した。

「さてこれからどうしよう」と
思っていたら寝床にある本体が
必死にぼくを戻そうとしている。
もう少しそのままの幽体状態で
空を飛んだり海に潜ったりして
色々な風景を見たかったのだが
本体からの引きがえらく強くて
強くてついには怖くなったんだ。
次の瞬間ぼくは布団の上にいた。

もう10月に入っているのに
なぜかクマゼミが鳴いている
既に秋蝉は終わっているのに
ワシワシワシワシ鳴いている
台風の風を夏だと感じたのか
季節のとらえ方を変えたのか
もしや地磁気が変動したのか
なぜかクマゼミが鳴いている
ワシワシワシワシ鳴いている
ワシワシワシワシ鳴いている

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