吹く風ねっと

一生は未来の記憶を散りばめた一本の道。人生は未来の記憶をひろいながら歩く旅。

2016年07月

盛夏、早朝の公園で
無数のお父さんたちが
必死に自分を主張する

時折お母さんの声もする

農家の人たちが寝静まった頃
お地蔵さんたちがやってきて
緑色の大きな玉や小さな玉に
せっせと黒い線を書いていく
「この玉の中は赤いんだって
「甘い汁が詰まっているって
「そろそろ腹も減ってきたな
「一つ割って食べてみようか
「よせよせ修行中なんだから
せっせと黒い線を書いていく

このアルバムを聴くと当時の店の
大音量のBGMと派手な装飾物と
そこでレコード盤を買う昂ぶりと
下腹からくるモゾモゾ感と喜びと
針を落とす時の緊張感とプチ音と
一曲目が始まる前のパチパチ音と
レーベルに描かれた妙なマークと
レコードスプレーのにおいが甦る。

今更ながら思う。ぼくの体の
数メートル数十メートル上で
数メートル数十メートル下で
数メートル数十メートル左で
数メートル数十メートル右で
顔もよく知らない赤の他人が
ゴロゴロと寝ているのである。

まさかあの日あそこで彼女に会えるとは
思ってもいなかったもんだから、ぼくは
本当にびっくりして焦ってしまったんだ。
彼女に会ったら絶対にこの想いを告げて
思春期からの胸のつかえを取り除こうと
いつもいつもぼくは思っていたんだけど、
実際に会ったら気持が凍りついてしまい
何をどうしていいのかわからなくなって
なぜかトイレの案内板ばかり眺めていた。
きっと彼女は変な奴と思ったことだろう。
突然の現実に、現実を失った一日だった。

私の背中の後ろには
諸事情がはびこって
密かに人生狂わせる

私の頭の少し上には
諸事情が浮んでいて
いつも事を荒立てる

私の左膝の皿の上に
諸事情が居すわって
中々立ち上がれない

私の肩の右上辺りに
諸事情が乗っていて
彼らに賛同できない

私の後ろの長い影を
諸事情が踏みつけて
思うように進めない

雲を脱ぎ捨てた太陽が
体を焦がしにくるので
今日の夏は疲れます。

不快指数を上げる風が
肌にまとわりつくので
今日の夏は疲れます。

頭から流れる汗の粒が
角膜を覆って痛いので
今日の夏は疲れます。

街に漂う焼肉の臭いが
鼻の中にはびこるので
今日の夏は疲れます。

昼夜途絶えぬ蝉の声が
耳の中で鳴り響くので
今日の夏は疲れます。

冷房風が体にぶつかり
首の凝りをさそうので
今日の夏は疲れます。

兎にも角にも夏全体が
暑くまとわりつくので
今日の夏は疲れます。

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