吹く風ねっと

一生は未来の記憶を散りばめた一本の道。人生は未来の記憶をひろいながら歩く旅。

2016年02月

ゲンキムシが駆けて行った
ゲンキムシが駆けて行った
美しくもなく可愛くもなく
よく見るとどこにでもいる
見た目雑な虫なんだけどね
夏に鳴き尽くすセミよりも
終日動きまわるアリよりも
もっとに元気に生きている
元気すぎて熱くなっている
ゲンキムシが駆けていった
ゲンキムシが駆けていった

昨今全国の都市の至るところで
巨大ネズミが目撃されています。
やつらはかわいいジェリーでも
愉快なミッキーでもありません。
目がかわいいからなどと言って
放っておいては絶対にだめです。
エサを与えるなど以ての外です。
ネコだってやられているのです。
イヌだって襲われているのです。
いずれ人間も襲われるでしょう。
もしもやつらの姿を見かけたら
躊躇しないで駆除、駆除、駆除!!
手段を選ばず駆除、駆除、駆除!!
しつこく攻撃をしかけなければ
やつらは滅びてくれないのです。

十年列車が走っているよ
十年列車が走っているよ

七年前にこの踏切の前で
足止めされてからずっと
長い長い踏切が開くのを
ぼくはここで待っている。

この道が踏切に続くのは
ちゃんと知っていたのに
どうしてぼくはこの道を
選んでしまったんだろう。

引返すことも出来たのに
遠回りだって出来たのに
ここに到るまでのぼくは
何を考えていたんだろう。

この列車が通過するまで
ぼくは君のいるその町に
行くことが出来ないんだ。
あと三年も行けないんだ

十年列車が走っているよ
十年列車が走っているよ

医者は体調の優れぬ患者が
思わず吐いた疲労の言葉を
大事件のように取り上げて
どんな流行の病と結びつけ
収益に変えようかと考える。
そして時間の経過とともに
思わず吐いた疲労の言葉は
医者の卓越した営業手腕で
一つの病気に格上げされる。
格上げされた疲労の言葉は
患者の心労へとつながって
大きな病気へと変ぼうする。

時々思うことがある。高校の頃
一度だけぼくは柔道の絞め技で
仮死状態に陥ったことがあるが、
あの時ぼくは落ちたのではなく
本当は死んだのではないのかと。
蘇生してこの世に戻ったのだと
疑いもせず思っているが、実は
蘇生出来なかったということだ。
そうであれば、その後のぼくの
歴史はあの世での出来事になる。
そう考えると合点のいくことが
それ以降のぼくの歴史にはある。

──採用されたのは十数名で
ぼくら中年もいるにはいるが
大半を若い青年が占めている。
ところが若いとはいうものの
彼らは初々しさに欠けていて
何の緊張感も持合せてはない。
新しい会社の社長講話よりも
新しい仕事の実地研修よりも
そこで働いている女子社員に
深く興味を抱いている様子で
彼女たちばかりながめている。
慣れない環境の中この仕事を
この歳でやっていけるのかと
憂慮しているぼくら中年とは
その姿勢といい考え方といい
確実に一線を画しているのだ。

「嫌だなこんな会社」早くも
ぼくは辞めたがっている──

たくさんの雨が降ったあとに
星の数が増えているのは雲が
地上に向けて水をまくように
空にも水をまいているからさ。
その水のひとつぶひとつぶが
空にとどまっては星に変わり
新たな輝きとなっているのさ。

この身体には百数個の疲労があるから
濡れた紙をひとつひとつ剥がすように
ゆっくりと慎重にじっくりと焦らずに
取り除いて行かなければならないのだ。
一気に取り除く方法がないことはない。
体内に走るすべての元気を断ち切って
異次元の元気を注入していくやり方だ。
だけど神さまはその考え方とやり方を
人間の本能に埋め込んでくれなかった。
やっぱり身体にある百数個の疲労には
濡れた紙をひとつひとつ剥がすように
ゆっくりと慎重にじっくりと焦らずに
取り除いて行くしか方法はないわけで
それが一番尊いことなんだと神さまは
疲労する人間の精神に埋め込んでいる。

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