吹く風ねっと

一生は未来の記憶を散りばめた一本の道。人生は未来の記憶をひろいながら歩く旅。

2015年06月

人生のある時点からぼくは
寝つきがわるくなりまして
長い年月睡眠不足のままに
生きてきたのでありました。
もしかしたらそれが祟って
何の自覚も持たないままに
奇人変人と呼ばれる行動を
取っていたかもしれません。

そこで他人さまにご迷惑を
かけてはならぬと思い立ち
かつての寝付きを取り戻し
睡眠不足を解消するんだと
この人生を修正しています。
色んな仕事が残っていても
眠たい時には無理をせずに
ゴロンと横に寝転んでみる。
もし眠ったらしめたもので
翌朝は早起きするんだから
仕事はその時にすればいい。

眠たくなればすぐに寝よう。
そうすれば眠れないからと
寝酒に頼る必要もないんだ。
それが人間の持って生れた
純正の睡眠本能なんだから
無理せず勘を取りもどせる。
慌てない焦らない騒がない
そうして初老の体を労ろう。

崖の上から吹き下ろす風が
地面を激しく叩きつけては
勢いよく跳ね返ってきます。
風は崖の下に転がっている
子ねこが鳴いているような
ニャオ系の声を絶え間なく
ぼくの耳元に運んできます。
あまりに長い時間続くので
ぼくはこの高い崖の上から
離れられないでいるのです。
本物の猫がいるんだろうか
赤ん坊の声かもしれないな
地球の悲鳴ではなかろうか
もしかして宇宙人の警告か
などといらんことを考える。
それもこれも跳ね返り風が
悲しいニャオ系の声をこの
耳元に運んでくるからです。

ぼくら家族が住むこの家には
酷く好戦的で無慈悲で野蛮な
もう一つの家族が住んでいる。
ぼくらの姿を見つけるや否や
きゃーきゃーと奇声を上げて
はきもの片手に襲ってきたり
猛毒の液体を噴霧してきたり
時に凍死させようと試みたり
こちらの息の根を止めるまで
その手をゆるめず攻めてくる。
例えその場で取り逃がしても
通り道に罠を仕掛けてみたり
毒煙を撒いて住めなくしたり
とにかくぼくらを滅ぼそうと
手を替え品を替え攻めてくる。
しつこくしつこく攻めてくる。
ぼくら家族が住むこの家には
酷く好戦的で無慈悲で野蛮な
もう一つの家族が住んでいる。

そう遠くない 過去を乗り越えたら
そう遠くない 未来を語り合おう
そう遠くない 時間の中だから
そう遠くない 夢を語れるだろう

そう遠くない いまが来たなら
そう遠くない 過去の話をしよう
そう遠くない いまは昔の延長だから
そう遠くない 記憶をたどれるだろう

そう遠くない 未来が見えたら
そう遠くない いまの話をしよう
そう遠くない 未来を取り違えても
そう遠くない いまが繕ってくれるだろう

あの星地球に似ているんだけど
どちらのほうが大きいんだろう
どちらのほうが明るいんだろう
どちらのほうが暖かいんだろう
どんな色の空が見えるんだろう
どんな星が夜をおおうんだろう
どんな風が吹いているんだろう
どんな花が咲いているんだろう
どんな香りに包まれるんだろう

きっとそこにも人はいるだろう
どんな心を持っているんだろう
どんな夢を抱いているんだろう
どんな家に住んでいるんだろう
どんな生活をしているんだろう
どんな会話をしているんだろう
どんな歌を唱っているんだろう
何を信じて生きているんだろう
やっぱり愛する人なんだろうか

明るい日がさす建物にある
日影の窓をのぞいてごらん。
縦縞スーツに身をかためた
ハゲや白髪が見えるだろう。
ヤツらはそこの住人なんだ。
いかにも真面目そうだろう?
だけどハゲとか白髪とかは
真面目な人ではないんだよ。

互いの主張を日々繰り返し
味方についたり敵対したり
挙句の果てには大声上げて
罵り合ったり殴り合ったり
下手なケンカに明け暮れる。
実は、ハゲや白髪の住人は
そんな暇潰しをやりながら
予算を消化しているんだよ

ダダダダダと雨が降りだしました。
ゴロロロロと雷が鳴りだしました。
ピカカカカと稲妻が走っています。
これから嫁さんを迎えに行こうと
エンジンをかけたぼくにどうして
神仏はこの試練を与えるのだろう。
あまりにもあまりにもあまりにも
タイミングがよすぎるじゃないか。
もしかしたらぼくはいま「決死の
嫁さんお迎え行脚」なる修行でも
させられているのではなかろうか。
それはないでしょう神さま仏さま。
ダダダダダゴロロロロピカカカカ
前が全然見えないじゃないですか

あの位置から見ていたからぼくは
君を好きになったに違いないのだ。
もし別の位置から君を見ていたら
そうはならなかったかもしれない。
なぜならぼくは未だに君のことを
何も知らないでいるからだ。夢も
趣味も嗜好も考え方もその性格も
幸せの度合いも不幸せの度合いも
そこまでの君がたどってきた道も
そこから君がたどっていった道も
ぼくはなにも知ろうとしなかった。
だからなにも知らないままなのだ。

ただ知っているのはあの位置から
垣間見ていた君の姿と淡い影だけ。
恋に陥る運命的な出来事もなくて
特に話をするような仲でもなくて。
もしかしたら経験したことのない
奇妙な気持ちのたかぶりを恋だと
勘違いしていだけかもしれないな。
だからその出会いを恋の始まりと
呼んでいいかどうかがわからない。
始まりがないなら終わりもなくて
ゆえにゆえに正体のないこの恋は
今も尚くすぶってっているのです。

尖った明日がやって来るからぼくらは
身をまもる準備をしなければならない
例えそれが優しい明日だったとしても
来れば必ず衝撃の痛みを伴うんだから
それは針千本飲むよりも痛いんだから
油断することなく、気を抜くことなく
充分準備をしておかなければならない
尖った明日は必ずやってくるんだから
絶対、絶対、絶対やってくるんだから
とにかく準備をおこたってはならない

・・・・・・・・・・・・・・けど、どこで
聞き覚えたのかは知らないが
草野球をやっている小学生が
ぼくたちに向って生意気にも
「ヘイヘイヘーイ」だなんて
言うんだよね。当時のぼくは
一応大人の歳だったんだけど
まだまだ若かったんだろうね
これにカチンときてしまって
「いま言ったヤツ出てこい」
と大声で怒鳴り散らしたんだ
その小学生たち最初の頃こそ
ヘラヘラヘラヘラしてたけど
この声の勢いに押されたのか
ことの重大さに気づいたのか
だんだんだんだん泣きそうな
顔になってい・・・・・・・・・・・・・・

「神とか仏とかいうこの生命を
つかさどる『何ものか』は、
生きとし生けるものに差別なく
堅実な人生を授けている。
ところがその『何ものか』の
気まぐれなのか手違いなのか
時に宝くじ一等とか超万馬券とか
どう考えてもどう解釈しても
堅実な人生とはかけ離れたものを
ごく一部の人に授けることがある。

さて、そういうことを見聞きしても
ぼくはそのごく一部の人たちを
羨んだり妬んだりすることはしない。
なぜならぼくは自分のことをその
ごく一部の人だと思っているからだ。

ぼくは神や仏に堅実を願いながらも
心の奥底では常日頃
ごく一部の恩恵を望んでいる
ごく甘めな一般男子です」です。

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