吹く風ねっと

一生は未来の記憶を散りばめた一本の道。人生は未来の記憶をひろいながら歩く旅。

2012年09月

川が逆に流れている
自然が逆に流れている
ぼくの古い記憶だと
右が山で左が海だから
川は当然右から左に
流れるはずなんだけど
そこからそこまでは
なぜか逆に流れている
左から右に流れている
それを肌で感じた魚たちは
川の中で戸惑っている
それを眺めていた鳥たちも
空の上で戸惑っている
川が逆に流れている
ほらね逆に流れている

今までやったことのないことを
何かひとつやってみよう。
やり続けてみよう。
そうすれば確実に
何かひとつが変わるから。

今日は仕事で郊外に行った。
そこではもう稲刈りをやっていた。
「もう」とは言ったものの
実は稲刈りをいつやるのかを
農業になじみのないぼくは知らない。

稲刈りはコンバインに乗ったおやじさんが
たった一人でやっていたのだが、
その運転のうまいこと、うまいこと。
まるで狭い工場内を縦横無尽に走る
フォークリフトのプロのように見えた。

考えてみると
田んぼや畑というのは工場なんだな。
周りの風景や田畑の緑にごまかされ
これまで気づかなかったけど、
ここは米や野菜を作る工場なんだ。

大昔、初めて田畑を見た人は
きっとその規模や整然とした姿に
驚いたことだろうが
そこを自然豊富な場所だとは思わず
大きな工場と思ったに違いない。

それはおそらく現代の人が初めて
自動車や家電を作る大手企業の工場を見て
びっくりする感情に似ていると思う。
案外『田園萌え』などという言葉が
その当時流行ったかもしれないな。

1,
髭を剃らないことを
休日の証しにしている。
だから休みの日に
髭を剃ることがあると
出勤するような気がして
どうも落ち着かない。

2,
休みの日はなぜか
寝不足におちいるのだ。
明日休みだから昼間まで
眠っていればいいやと
夜中にいろんなことを
やってしまうせいだ。で、
昼間まで眠っているのか
というとそうではなく
一睡もせずに起きている。
休みの日に眠らないから
仕事の日は眠たくてならない。

ぼくは車で斎場の前を通っている。
今日は葬式があるらしく、筋向かいの
駐車場にはマイクロバスが何台か
止まっている。もうしばらくすると
ナフタリンや膏薬のにおいのする
黒い一個師団がこの斎場から
出てくることだろう。
そしていつものごとく、通行している
車なんかおかまいなしに道を渡って、
次々とマイクロバスに
乗り込んでいくことだろう。
それに捕まるとやっかいなんだ。
黒い行進が行き過ぎるのに
かなりの時間がかかるんだから。

今日は決して運の良い日ではない。
なぜならこの道は工事で渋滞しているんだ。
そろそろ黒の師団が斎場から
出てくる頃じゃないだろうか。早く
ここを通り過ぎないと面倒なことになる。
ナフタリン臭が充満するこんな
黒い一日にあんたらはいったい
何の工事をやっているんだ。
イライラは募るばかりだ。

いつだったかボクらは不器用そうな
風采の上がらないヤツらに花をあげた。
どうしていいかわからないのか
ヤツらはそれを口に入れた。そして
笑顔で「ともだち」と言って握手を求めた。
以来ボクらとヤツらとの歴史が始まった。

ボクらとヤツらとの「ともだち」は深まり
ボクらはヤツらに物資を送ったりもした。
すべては順調だと思っていた。
ところがある日ヤツらは突然
その物資をたたき壊したり燃やしたりした。
それがボクらとヤツらとの歴史だった。

きっと何かの間違いだろうと思い
ヤツらとの「ともだち」を信じたのだった。
ところがヤツらはこちらの気持ちを
無視してボクらを罵倒しはじめた。
時には凶暴な行為にも及んだ。
それがボクらとヤツらとの歴史だった。

いいかげんにボクらも頭にきた。
結局ヤツらは『ともだち』という
ボクらが大切にしている言葉を
悪用してボクらを縛りつけ
操ろうとするペテン師だった。
それがボクらとヤツらとの歴史なんだ。

彼がむこうを向いているから
やつらは彼をもてあそぶ
彼は芯がある人だから
いつもそれなりにやっている

彼女がむこうを向いているから
やつらは彼女をもてあそぶ
彼女は感謝する人だから
いつも一目置かれている

やつらが彼らをもてあそぶと
運命がやつらをもてあそぶ
やつらは他に何も出来ないから
いつも下を向いている

結局はやられる方が強くて
やる方が弱いということだ
運命にもてあそばれて街に
座り込んでいるやつらを見てみろ

1,
秋晴れ
台車に積まれた
園児たちが
街の中を
歩いている

秋晴れ
風から放たれた
鳥たちが
街の中を
飛んでいる

2,
秋晴れ
自然な人間は
平方メートルを
動き回る

秋晴れ
自然な鳥は
立方メートルを
動き回る

秋晴れ
あらゆる生物が
運命の中を
動き回る

緊張感のないお腹に祝福を
基準値より高い血圧に祝福を
忌まわしい血糖値に祝福を
線の細い小便に祝福を
出の悪いうんちに祝福を
潜在する痛風に祝福を
すぐに凝ってしまう肩に祝福を
痛みの蓄積する腰に祝福を
ドロドロの血に祝福を
いつも不安な内蔵に祝福を
ここの血栓そこの血栓に祝福を
癌じゃないかと気にする心に祝福を
すぐにタバコに走る心に祝福を
疲れやすい体に祝福を
思い通りにいかない体に祝福を

さかなの小骨がのどに刺さると
それがいちいち気になって
人との会話もいやになる

さかなの小骨がのどに刺さると
それがいちいち気になって
仕事をする気も起こらない

さかなの小骨がのどに刺さると
それがいちいち気になって
夢を語るのもおっくうだ

さかなの小骨がのどに刺さると
それがいちいち気になって
明るい未来も暗くなる

さかなの小骨がのどに刺さると
それがいちいち気になって
なぜか取る気も失せてくる

さかなの小骨がのどに刺さると
それがいちいち気になって
取れた後でも気にかかる

この街を走るいろんな道は
どこもかしこも忙しい
毎日毎日忙しい
休む間もなく忙しい

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