吹く風ねっと

一生は未来の記憶を散りばめた一本の道。人生は未来の記憶をひろいながら歩く旅。

2011年01月

二人だけの
盛り上がらない
選挙戦が続いている。
選挙カーに
お目にかかることも
めったにない。
たまに見かける時は、
決まって
他の車の通行の
妨げになっている。
市の広報課の
「二月六日は市長選挙です」
という声も
あまり聞こえてはこない。
誰が当選するかが
わかっているから
市の広報課も
気合いが入らんのだろう。

青い空がどこまでも続いては
桜色に染まった風が吹いている。
昼もなければ夜もない。
暑くもなければ寒くもない。

そこでは子供たちが無邪気に遊ぶ。
その街は懐かしさに溢れている。
至る所に優しい香りが充ち満ちて
心地よい音楽が流れている。

ああ、かつてぼくのいた場所は
きっとそこだったに違いない。
なぜならそこにある中背の檜が
ぼくを見て笑ったんだから。

悲しみもなければ恨みもなく
ただ喜びだけがそこにはある。
ぼくの一生という時間をかけた旅は
かつていた場所への帰着となるだろう。

二十五年ほど前になるかな
その頃住んでいた団地の最上階から
飛び降り自殺を図った男がいた。
団地は十三階建てだったので
もちろん即死で、あたりには
血糊など体内の諸々が散らばっており
落ちた場所には塩が撒かれていた。
男は市外に住む人間で、その当時
団地に住んでいた人たちとは
縁もゆかりもなかった。それだけでも
充分迷惑な話だが、何と彼は今、その
付近を霊となって漂っているというのだ。
どれだけ人に迷惑をかけたらすむのだろう。
そういう奴だから、生きていた時にも
かなり人に迷惑をかけていたと思われる。
閻魔様は彼のような迷惑野郎に
どういう罰を下しているのだろう。
街の中を浮遊させるのは迷惑至極、
道路の脇に座らせるのも迷惑千万、
早くあの世に引き取って
二度とこの世に出さないでもらいたい。

『こんなにフケが落ちる』と謳ったのは
中原中也だったでしょうか。
今わたくしもその状態にありまして
ポロポロ、ポロポロ、ポロポロと
たくさんフケが落ちてくる。
ポロポロ、ポロポロ、ポロポロと
冬場はとくに酷いのです。
頭皮はおそらく乾燥肌で
痒くて痒くてたまらない。
痒さに任せて頭を掻けば
ポロポロ、ポロポロ、ポロポロと
たくさんフケが落ちてくる。
ポロポロ、ポロポロ、ポロポロと
黒ジャンパーで営業するので
白いフケが目立ってしまい
困っております、ポロポロと。

腰に力を入れながら
肩に力を入れながら
ぼくはいつも縦列を繰り返す

時に無理があっても
時に無茶であっても
一生懸命に縦列を繰り返す

この一列が歪まぬように
この一列を歪めぬように
祈りを込めて縦列を繰り返す

その過程に気を取られず
ただゴールだけを見据えて
人生の縦列を繰り返す

人の言うことをちゃんと聞かずに
空返事をする癖が、ここにきて
裏目に出てしてしまったようで、
人の言うことが
深く理解出来なくなっている。
仕事の時にこれが困る。
その日の仕事の内容を
いちおうメモしてはいるものの
別に聞き返すこともせず
そのまま発進してしまう。
単純な仕事の場合は
それでも事足るのだが、
複雑な仕事の場合に
その効果がてきめんに出てくる。
その件で指示者に何度も
電話をかけるものだから
けっこう呆れられている。

前にも増して、人の顔が憶えられなくなっている。
「お久しぶりです」などと挨拶を受けても
誰なのかわからないまま返しているし、
人との会話の中で、ある人の名前が出てきても
なかなか顔が思い出せないでいる。
生まれつきぼくは、そういう奴なんだろうか?
いつも「顔を憶えられない」と口走っているために、
その言霊が作用してしまっているのだろうか?
それともぼくの脳に何らかの障害があるのだろうか?

最近読んでいる本での解釈だと、
顔を憶えられない相手というのは
自分の人生に支障のない相手、つまりは
どうでもいい相手ということになるらしい。
そういえば、学生時代に嫌いだった奴の顔なんて
とうの昔に忘れてしまっているから、きっと彼らは
ぼくの人生にとってはどうでもいい相手なのだろう。
しかし、そう簡単に割り切れればいいのだが
実生活はなかなかそれを許してはくれない。

顔を思い出せないというのは
気持ちの中に残尿感があるようなもので
どうもすっきりしない。

本物のフェンダーストラトキャスターと
マーシャルのチューブアンプが欲しかった。
これさえ持っていればプロだと彼は思っていた。
とはいうものの、彼はギターリストになんか
なろうとは思っていなかった。
ジミー・ペイジやリッチー・ブラックモアの
テクニックにはとてもついて行けなかったのだから。
やるならパフォーマンスだけで充分だ。
というので、彼は形にこだわった。

本物のフェンダーストラトキャスターと
マーシャルのチューブアンプが欲しかった。
これさえ持っていればプロだと彼は思っていた。
どうにかしてそれを手に入れようと
バイトバイトに明け暮れる毎日を彼は送っていた。
ところがなぜか髪型やファッションにお金をつぎ込んだ。
しゃべり方もロックンローラー風なキザなものになり
いつしか『三丁目のロックンローラー』と、彼は
皮肉を込めて呼ばれるようにはなった。だけど
肝心のフェンダーストラトやマーシャルアンプは
いつまで経っても手に入らなかった。

本物のフェンダーストラトキャスターと
マーシャルのチューブアンプが欲しかった。
これさえ持っていればプロだと彼は思っていた。
いつかは夢が叶うと思って頑張ってはいたが
結局どちらも手に入れることなく
彼は普通の会社に就職した。
面接時の履歴書の写真を見せてもらったが
そこには普通の髪型をして普通のスーツを着込んだ
彼がいた。その格好が気に入らなかったのか
何かふてくされているようにも見えた。
ただ目だけは妙にギラギラと輝いていて
「心はロックンローラーだぜ、ベイビー」
と叫んでいた。バーカ。

今の嫁さんと出会う前
ぼくには「この人となら」と思う人がいたのです。
相手の好意はちゃんとぼくに伝わっていたし、
ぼくの好意もちゃんと相手に伝わっていた
と思うのであります。
正式に付き合っていたわけではないけど
何回かデートもしている。
ドライブに誘ったこともあるし
祭りにも行ったこともあるし
飲みに行ったこともあるのです。

あれは夏祭りの時だったな、
急に彼女の態度がよそよそしくなったのです。
「どうしたのかな?」と思っていたら
彼女が結婚するという噂が流れてきた。
同じ職場にいい人が出来たというのです。
それはそれでショックだったのですが
そこにはさらにショッキングなことがありました。
何と彼女が結婚に到った理由のひとつに
ぼくに彼女が出来た
というのがあるというではないですか。

その頃ぼくに彼女なんていませんでした。
もし彼女と呼べる人がいたとするなら
それは彼女だったわけで、
他の女性とは会話こそすれども
ドライブも祭りも飲みに行くことも
一切なかった。つまりは彼女の勘違い、
というか誤解だったわけです。
あの頃はさすがに「何で?」と思いました。
勘違い、いや誤解を解こうと思ったし、
いっそ奪い取ろうかとも思いました。

しかし、相手の気持ちがすでに
こちらにないのがわかったので
そのまま流れに任せておくことにしました。
今になってみれば、
それでよかったと思います。
今ならその頃にはわからなかった
「何で?」の理由もわかりますからね。
それはそれは簡単な理由で
つまり彼女とぼくとの間には
「縁」というものがなかったのです。

もし無理をして奪い取ったとしても、
結局彼女とぼくは結ばれることはなく
回り回って、最終的には
今の状態に納まっていると思うのです。
それが縁なのだからです。
今そのことを思い出のひとつとして
客観的に見ることが出来るのも
そういう縁なのだからです。
それゆえに奪い取らなくてよかったと思う
今日この頃であります。

はい、学生時代によくやりましたです。
「クラスの女子の中で誰が一番きれいか?」
などというランク付けをね。
で、いつも一番は決まっている。
きれいな人の順位なんて整形でもしない限り
そうそう変わらんもんですよ。
そのことに気づいたぼくたち男子は
それでは面白くないというので
「女子の中で誰が一番性格が悪いか?」
というランク付けを始めたんです。
誰もが、生意気なことばかり言っている
あいつが当然選ばれると思ったものです。
ところがです。選ばれたのは、なんと
きれいランキング一位の彼女だったのです。
これはちょっと意外だったですね。
何でこういう結果になったのだろう。

今にして思えば、彼女はあまりにきれいすぎて
ぼくたち男子にとって彼女は
口を利くのも憚られるような存在だったのです。
つまり彼女と喋った人はあまりいなかったわけで
実は彼女の性格なんて、ぼくたち男子は
よく知らなかったのです。見た目だけで
勝手に冷たそうだと判断していたわけですね。

ま、そんなことよりも
あんなランク付けに必死になっていた
ぼくら男子の性格の方が悪かったのではないか。
と、今のぼくは考えるのであります。

彼らは本当によく
働いてくれるんですよ。
汚い場所でも
危ない場所でも
何も文句を言わずにね。
そういうわけなので
こちらも文句のつけようが
ないわけなんです。だけど
一点だけ我慢できない
ところがあるんです。
それが給金というか
賃金というやつで
彼らは何かあるたびに
ヤレ高騰だ、ソレ増税だ
と言って声高に騒ぎ
憎たらしいくらいに
値を吊り上げてくるんですよ。
いやはや・・・・

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