吹く風ねっと

一生は未来の記憶を散りばめた一本の道。人生は未来の記憶をひろいながら歩く旅。

2008年10月

小学生の頃、
どこまでも広がる一面の田んぼの中に
友だちの家があった。

夏の暑い日、
友だちの家の庭に巣くっていた
アリジゴクを観察しに行ったり、
冬の寒い日、
グリコアーモンドチョコレートの懸賞賞品だった
「おしゃべり九官鳥」を見せてもらいに行ったり、
数々の思い出の中に
田んぼの中のその家は登場する。

小学生の終わる頃、
友だちが引っ越してしまい、
それ以来そこに通うことはなくなった。

それから何年か後、
その場所で国道のバイパス工事が始った。
道は街を作り、
街は人を呼ぶ。
当然のように一面の田んぼは消され、
多くの建物がその一帯を彩るようになった。
そしていつしか町名も変わってしまった。

先日、
久しぶりにその場所を訪ねてみたのだが、
かつて通った懐かしい友だちの家はすでになく、
その跡地には、
グルメ本にたびたび登場するような
洒落たパスタの店が建っていた。
ローマ字の「A」で始まるその店の名を、
なぜかぼくは
「アリジゴク」と読んでしまい、
妻にしこたま笑われたものだった。

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