吹く風ねっと

一生は未来の記憶を散りばめた一本の道。人生は未来の記憶をひろいながら歩く旅。

2003年09月

千葉には、優勝マジック1のチームを食う魔物が棲んでいるという。
95年の西武、99年のダイエー、02年の西武、マジック1で千葉に乗り込んでいったが、みなことごとく連敗し、千葉での胴上げは出来なかった。

さて、3連敗してマジック1のまま千葉に乗り込んだホークスも、前半この魔物に手こずった。
3-0のまま迎えた4回の裏、先発杉内が1アウトを取ったあと、この魔物に取り憑かれてしまった。
4連続2塁打、ここで同点。
さらに悪夢は続く。
何とかアウトを一つ増やしたものの、四球、内野安打で満塁となる。
ここでロッテは絶好調福浦。
杉内の甘い球を見逃さず、この回5本目の2塁打を放つ。
3-6と逆転されてしまった。

9月に入ってからの、数々の負け試合の記憶が蘇る。
ピッチャーが佐藤誠に交代した。
最近は勝ち試合の中継ぎとして活躍している佐藤だが、ここ数試合、彼はきちんと押さえているものの、後続のピッチャーがピリッとしない。

さて、その佐藤、4回はいつものように押さえた。
ところが5回に崩れた。
四球とヒットでノーアウト1,3塁のピンチを招いてしまったのだ。
ついに佐藤も魔物に取り憑かれたかに見えた。
何とか次の打者を三振に取ったものの、まだランナーはたまったままだ。
気の重い場面が続く。
その時である。
キャッチャー城島が一塁に牽制した。
これがストライクだった。
あえなく1塁ランナーはタッチアウト。
これで流れが変った。
何か重しが取れたような雰囲気になったのだ。
続くバッターは三振。
これでチェンジである。
このあと、ホークスの怒濤の攻撃が始まり1イニングで7得点して逆転に成功した。
そして次の7回途中、神戸で西武が負けたという情報が入った。
ここで優勝が決まった。
その情報で優勝のプレッシャーから解放されたホークスは、さらに追加点を入れ、そのまま勝ちを収めた。

今日の功労者は、何と言っても城島だろう。
何せ、彼が魔物を追い払ったのだから。
ゴリラが魔物に勝ったということだ。

以上が優勝を決めた日の、大まかなホークスの試合内容である。
さて、ぼくはその時何をしていたか。
家で氷結を飲みながら、テレビを見ていたのだ。
もちろん、秋山幸二解説のロッテVSダイエー緊急生中継を、である。
途中、友人から何度も電話やメールが入った。
4回にロッテから6点を取られた時は、「こら、しんた。ダイエーはどうなっとるんか!? 毎回毎回同じような試合をしやがって」というお叱りの電話だった。
別にぼくが悪いわけではないのだが、なぜか「すいません」と謝ってしまった。
また6回に逆転した時は、「おい、勝ったら飲みに行くぞ」という電話が入った。
が、ぼくは「もう飲みようけ、これ以上はいらん」と言って断った。
「じゃあ、おれがお前の家に行く」
「そうですか、ではお待ちしています」
そう言って電話を切った。
その後、優勝特番をハシゴしたあとに、この日記を書いているのだが、もう時間は2時半を過ぎている。
しかし、彼はまだ来ない。
いったい何をしているんだろうか?

ぼくがホークスで熱くなっている間に、季節は秋になっていた。
朝晩の冷え込みは、かなり応える。
とはいえ、ぼくは朝も晩も、仕事の日も休みの日も、いつもTシャツ一枚で過ごしている。
というより、Tシャツ以外の衣服は、すぐに取り出せない所にしまってあるから、着ることが出来ないと言ったほうがいいだろう。
ということで、そろそろ秋冬物を出さなくてはならないのだが、その作業が面倒だ。

季節の変わり目にはいつもそうなのだが、ぼくは衣服に関しては無頓着で、どんな服を持っているのかも、その一年前にどういう格好をしていたのかも忘れてしまっている。
たしか昨年VANのジャケットとかを買ったような記憶があるのだが、その記憶も曖昧である。

手持ちの衣服にはそういう曖昧な記憶しかないのだが、確かにこれは持っていると言いきれるものもある。
一つはホークスのスタジャンである。
何年か前の年末に、限定何千枚ということで、福岡ドーム横のハリーズで売り出したものだ。
ぼくはテレビでそのスタジャンのことを知り、年が明けて早々ハリーズに買いに行った。
このスタジャンは5万円近くした。
もし、これが普通のスタジャンなら、絶対に買わないだろう。
というのは、ぼくは普段、衣食住の衣だけにはケチで、衣服関係にはあまりお金を遣わない方だからである。
しかし、ホークスがらみということになれば、話は別で、もはや値段は関係ない。
というより、ホークスという名前が付いただけで、それはもうぼくの中では衣服ではない、ということになってしまうのだ。
その日、スタジャンを手に入れたことで浮かれてしまい、そのスタジャンを着込んで、唐津方面までドライブ行ったのだった。
ということで、このスタジャンは今でも持っている。
しかし、手入れをしなかったため、袖の部分の皮革はもうボロボロである。

もう一つは、KORGのジャンバーである。
これは楽器メーカー『KORG』の営業の方から、もう20年も近く前にもらったものだ。
いまだに健在なのである。
何の変哲もない紺色のジャンバーで、左胸の部分と背中の部分に『Step Info Tomorrow's Music KORG』という刺繍が施してあるのだが、これが実に優れもので、生地が強く、けっこう着込んだのだが色落ちはしないし刺繍も解れていない。
おそらく、今後も破ったり燃やしたりしない限り着続けていくだろう。

さて、明日は休みである。
昨日も言ったように、福岡ドームが無料開放するということなので行ってみようかとも思ってみた。
しかし、行くとなれば車で行かなければならない。
ということは、ビールや酒が飲めない。
優勝が決まってビールや酒が飲めないとなれば、行った意味がない。
「さて、どうしようか?」と迷っていたところに吉報が入った。
地元テレビ局で緊急生放送するというのだ。
しかも解説は秋山幸二ではないか。
これは見逃す手はない。
ということで、明日は家で応援することにした。
野球が始まるまで、ゆっくり秋冬物を出すことにしますわい。

これは困ったことになった。
優勝は千葉に持ち越しである。
さて、千葉マリンスタジアムにどれだけの人が集まるのだろうか。
きっと、福岡ドームのような大観衆の中での胴上げ、とはいかないだろう。

それにしても大誤算である。
なぜ王監督は、後半戦まったくいいところがなく、前回投げた9月7日の西武戦では、ワンアウトも取れずに5失点で降板した寺原を、こんな大事な試合に使ったのだろう。
考えられることは、それまでに優勝を決めておき、寺原登板は優勝報告を兼ねたファンサービスだったのではないか、ということである。
しかし、事態が事態なのだ。
ローテーションを崩しても、斉藤なり和田なり杉内を持ってきて、勝ちに行くのが定石なのではないのだろうか

それにしても、寺原は情けない。
こんな大事な試合に投げさせてもらいながら、こんな無様な姿を露呈するなんて。
2回表、2アウトまで取りながら、たった一本のヒットで崩れてしまった。
なぜここで開き直れなかったのだろう。
あと一人アウトにすればヒットの一本ぐらいチャラになるというのに、そのヒットにこだわったのか、ストライクが取れなくなってしまい、あれよあれよという間に4失点。
あの引きつった顔は見ていられなかった。
素人目で見ても萎縮しているのがわかるくらいだから、相手チームから見たらいいカモくらいに思えたことだろう。

これでリズムを崩したホークスは、その裏に3点返したものの、その後は打線が繋がらず、さらに後続ピッチャーは次々と得点を許してしまう有様だった。

まあ、マジックは1と変らないのだが、西武との差は3、5ゲーム。
もし、このままホークスが優勝という呪縛にとらわれ負け続け、西武が前年の覇者という意地を見せて勝ち続けとしたら、それこそ『奇跡』と言われる大逆転優勝となるだろう。
そうならないためにも、ホークス選手のいい意味での開き直りを期待する。

ついでに書けば、今日の優勝を見込んで、ぼくの売場では『ホークス優勝記念特価セール』をするべく、商材を準備し、明日からの値段設定もしていた。
しかし、今日負けたため、そのセールも持ち越しとなり、レジの値段も元に戻さなくてはならなくなった。
明日は休みローテーションの関係で人が少ないのに、余計な仕事が増えたことになる。

まあ、そんな内輪のことはどうでもいいのだが、早く優勝してくれんかなあ。
あ、そういえば、今日負けたことで、次の優勝のチャンスは30日となるわけか。
ということは、ぼくの休みと合致あうわけだ。
そうだ。
時間が取れたら、福岡ドームに行ってみよう。
福岡ドームで優勝シーンが見られたら、今日の負けもチャラになるわけだし。

ということで、30日の日記はお休みするかも知れません。
悪しからず。

そういえば、昨日、またもやコンビニ強盗があった。
夕方、近くのショッピングセンターに買い物に行ったのだが、その時友人からメールが入った。
「今朝コンビニ強盗があったけど、あれはしんたの家の近くのコンビニか」というのだ。
ぼくはコンビニ強盗があったことも知らなかった。
このメールで初めて知ったしだいである。
家に帰ってさっそく夕刊を見てみると、ちゃんと事件のことが書いてあった。
“26日午前4時半ごろ、○○1丁目のコンビニで、サングラスに白マスク、帽子で顔を隠した男がアルバイト店員二人に果物ナイフを突き付け、「金を出せ」と脅した。店員一人が現金約3万円を渡すと、徒歩で逃げた。客はいなかった。”
確かにぼくの家の近くのコンビニである。
しかもほくはこのコンビニに、その日の朝8時頃西スポを買いに行ったのだ。
しかし、事件があったという雰囲気ではなかった。
いつも通り登校前の中学生や出勤前のサラリーマンでごった返していたし、店員も商品を並べるので一生懸命だった。
まさかその風景を見て、その3時間半前に強盗が入ったなんて誰も思わないだろう。
夕方、テレビのローカルニュースでは、その事件を扱っていたようだが、夕刊には1紙だけしか載っていなかった。
そのため、会社に行ってもその事件のことを知っている人は少なかったようだ。

それにしても、アルバイト2人は何か手の施しようがなかったのだろうか。
果物ナイフを突き付けられた時はどうしようもなかっただろうが、男は徒歩で逃げたというのだから、追いかけて行くことは出来たはずだ。
どうもこのへんが腑に落ちない。
アルバイトに勇気がなかったのか、それとも…。

昨日、この日記でぼくが期待した通りの展開にはならなかった。
ぼくはダイエーが勝ってのマジック1を期待したのだが、結果は西武が負けてのマジック1になってしまった。
マジック1には変わりないのだが、内容がいかん。
連日の延長戦、連日のサヨナラ負けである。
しかもどちらの試合も、その回の先頭打者のホームランなのだ。
打たれたのは、今シーズンの押さえの切り札である篠原と岡本だった。
確かに、1999年や2000年に優勝した時のペドラザのような絶対的な守護神ではないが、何とかここまで頑張ってきたのだ。
優勝をかけた試合くらいは、何とか踏ん張ってもらいたかった。
明日は寺原が先発なので、当然継投策で来るはずである。
相手は今日の西武戦で打線が復活した近鉄なのだ。
押さえがこんなことで、本当に明日の優勝はあり得るのだろうか。
理想は、デーゲームの西武が勝ち、ナイターのダイエーが勝っての優勝である。
西武が負けて優勝した、という図式だけはやめてもらいたいものである。

何となく気の抜けた試合だった。
今日は休みだったので、最初からダイエーVSオリックスを見ていたのだが、5回に3対3となってから、ぜんぜん試合が動かなかった。
投手戦ならそれなりに緊張感もあっただろう。
しかし、そうではなかった。
ダイエーは拙攻のオンパレード。
再三の得点チャンスに、打てないのだ。
満塁の場面が何回あったかは忘れたが、そのたびに凡退である。
一方のオリックスは打てない。
いや、打つには打っていたが、どう見ても点の入るような攻撃ではない。

あまりに退屈なので、途中何度も居眠りしていた。
しかし、目が覚めても試合は終わってない。
退屈な試合を繰り返している。

とうとう決着の着かないまま、延長戦へ突入した。
しかし、ダイエーはあいかわらず拙攻の山。
10回から12回まで、すべて得点圏にランナーを進めたのに、あと一本が出ない。
オリックスはあいかわらず点を入れるような攻撃をしてこない。

決着が着いたのは、12回裏のことだった。
YAWARAの婿の一発。
笑顔の似合わない婿が、精一杯の笑顔を振りまいていた。

今日の試合は、引き分けでもマジックが1になる試合だった。
とはいえ、どうしても負けてはならない、という試合でもなかった。
なぜなら、今日負けることによって、福岡ドーム胴上げの確率が高くなるのだから。
そういう意味で、ぼくも今日の負けは別に悔しくなかった。
勝ちがなくなった時点で、婿に「一発決めてくれ」と声援を送ったくらいだ。

が、問題は残った。
それは拙攻である。
ここにきて、こんな拙攻をしてどうなるんだ。
しかも、最下位確定のオリックス相手に。
これも優勝へのプレッシャーかとも思った。
「しかし、ダイエーの選手が、こんな拙攻ばかり繰り返していたら、プレッシャーのかかっていない西武に優勝を持って行かれるのではないか。
また、短期決戦である日本シリーズで、もしこんなプレッシャーがかかったらどうするんだろう」
などと余計な心配までしてしまった。

昔、西鉄が巨人に3連敗した後に4連勝して、優勝したことがあった。
これを当時の人は『奇跡』と呼んだ。
しかし今になって思えば、あれはしばらく日本一から遠ざかっていた巨人に、優勝へのプレッシャーがかかっていたからではないだろうか。
それを試合巧者の西鉄三原監督がうまく利用して、流れを持ってきたのかもしれない。
相手に逆転優勝されるほど、プレッシャーというのは重くのしかかるものである。

ところが、画面に映るダイエーベンチの表情を見ていると、どうもそうではないようにも見える。
選手は、凡退しても、悔しがりはするものの、落ち込んだ様子は見えないし、王監督は、満塁のチャンスを潰した時にも、笑みを浮かべている。
これを見て「もしかして計算ずく?」と思ったのは、ぼくだけではないだろう。

とにもかくにも、マジック2、あと2勝すれば優勝である。
ここまできたら、明日は勝って、なおかつ西武にも勝ってもらって、マジック1で福岡に帰ってきてもらいたい。
その上で、明後日、晴れて福岡ドームで、勝って胴上げしてほしいものである。

今日はホークスが快勝したので、スポーツニュースのハシゴをすることにした。
が、最後の『すぽると』で、力尽きて眠ってしまった。

目が覚めたのは、5時を過ぎだった。
4時間以上もテレビの前で寝ていたことになる。
それにしても寒い。
2週間ばかり前の熱帯夜が嘘のようである。

さて、目覚めてはみたものの、眠気は取れない。
目を開けているのがつらく、頭の中に膜が張っているように思える。
気力を振り絞ってパソコンの前に行こうとしたのだが、結局膜に負けてしまった。
そのまま布団の中に直行。
起床はいつも通りの7時半だった。

最近、どうも疲れがたまっているようだ。
肉体的には仕事から、精神的にはホークスの応援から、疲れがきているのだと思う。
休みの日にリフレッシュといきたのだが、休みの前の日についつい夜更かししてしまい、充分に睡眠を取ることが出来ない。
そのため、疲れを取るどころか、逆に疲れを増幅させている有様だ。

これではいかんと、ドリンクなどを飲んで疲労回復に努めているものの、例の糖尿病恐怖症でストレスをためながら飲んでいるので、一向に効いた気がしない。
というより効かない。
運動をすれば、筋肉疲労になるだろうし、その回復には時間がかかるだろう。
ああ、歳はとりたくないものだ。

ところで、実際のところ、この疲れはいつ頃から続いているのだろうか。
そういえば、ぼくは高校の頃から、いつも「きつい」だの「眠い」だの言っていた覚えがある。
何できつかったのかはわからない。
もしかしたら、その原因は腰痛にあるのかもしれない。
高校時代に腰を痛めたことがある。
柔道でやったのではない。
ソフトボールでだ。
外野から遠投した時に、腰がグキッと鳴った。
そこまで痛みはなかったのだが、それを軽く見ていたのがいけなかった。
無意識のうちに腰をかばうようになったのだ。
そのうち、体がだるくなったり、他の部分に痛みが出たりするようになった。
肉体的な疲労は、どうもその頃から続いているようだ。

ということは、この疲れは最低でも30年続いてることになる。
その間、疲れから解放されたことがあっただろうか?
・・・、ないなあ。
遊んだら遊んだで無理をするし、寝たら寝たで疲れるし、なかなか疲労とは無縁にはなれなかった。
おそらくこの先も疲れは取れないだろう。
そう考えると、気が重くなる。

今日の昼間、大阪から取引先の人が来た。
開口一番彼は言った。
「しんたさん、明日にも胴上げですね」
「胴上げ」、言うまでもなくダイエーホークスのことである。
「そうですね。あ、そういえば、阪神優勝おめでとうございます」
「ははは、ありがとうございます。で、しんたさんは優勝が決まったら中洲で飛び込みですか?」
「ホークスのファンは、そんなことしませんよ」
「でも、前回はやってましたやん」
「いや、今回は福岡ドームの屋根に登るんですよ。他に、福岡タワーパラグライダー隊とか、道頓堀ダイブ部隊も用意していますから」

彼は阪神の優勝が嬉しくてしかたない様子だった。
「何せ、18年ぶりの優勝ですからね。大阪は盛り上がってますわ」
「そうでしょうね。99年にホークスが優勝した時は、福岡の球団としては38年ぶりだったから、こちらもずいぶん盛り上がりましたからね」
「今年の阪神は強いですよ。100打点カルテットなんか目じゃない」
「そうですか。でも、ホークスは顔で勝ってますから」
「顔って、そんなの有りですか?」
「もちろん有りですよ。井口とか川崎とか、ホークスは男前揃いですよ」
「でも、野球は顔でするもんじゃありませんわ」
「いや、今阪神ファンでも、日本シリーズになったら、女性の大半は男前の多いホークスを応援するでしょう。そうなると、甲子園球場の半分以上がホークスファンになる。そういう人たちに後押しされて、ホークスが勝つんですよ」
「そんな、無茶苦茶ですわ」

「それはそうと、阪神グッズ売れてるでしょう?」
「売れるわけないじゃないですか。お客さんは、みんな冷ややかな目で阪神グッズを見てますよ」
「おかしいなあ、全国ではけっこう売れているのに」
「全国で売れても、福岡では売れません。目の毒だからさっさと持って帰って下さい」
「まあ、そう言わんと、日本シリーズが終わるまで置いといて下さいな」
「置いとったら、惨めになるだけでしょ?」
「そんなことはない。優勝は阪神ですよ」
「ああ、そうですか。いや、いいんですよ、優勝したって。どうぞ、優勝して下さい。うちは来年もありますから」
「・・・」

しばらく舌戦が続いた後、「日本シリーズが終わるまで、商売になりませんわ」と言って、彼は帰っていった。
「商売」って、いったい彼は何を売込みに来たんだろう?

こういう人を目の当たりにしているので、どうしてもぼくには「楽して金儲けしよう」という気が起こらない。
少なくてもいいから、地道が一番と思うようになったのである。

しかし、こういう地道な生活をしていても、希にいいことがある。
ここ何日か、『当り!!』が続いているのだ。
先月、携帯電話を替えたのだが、それに伴い、『ホークスTOWN』に改めて入会し直した。
ここはホークスの試合がある時は、イニング毎に試合経過を伝えてくれるので、iモードに入った当初から入会している。
今月の頭に、そのホークスTOWNからメールが届いた。
「『8月入会キャンペーン』におきまして抽選の結果しんた様が当選されました。賞品を送付致しますので折り返し、ご住所 お名前 年齢 ご連絡先電話番号をご記入の上メールでご返信下さい」
という内容だった。
ぼくは、そんなキャンペーンをやっていることすら知らなかったので、最初はいたずらメールかと思ったが、送信者を見るとちゃんとホークスTOWNのものだった。
そこで、さっそく住所等を書き込んで返信した。

賞品が送られてきたのは前の休みの日で、例の喜多方ラーメンが届くのを待っている時だった。
「ピンポーン」という音がした。
「来た!」と思って玄関に出てみると、「郵便局ですが、書留が届いています」と言う。
「書留? どこからだろう」と見てみると、ホークスTOWNからだった。
封筒を開くと、ハリーホーク付きの携帯ストラップが出てきた。
それを見ての第一声は、「こんなもん、いらんわい」だった。
ただでさえかさばる携帯なのに、ハリーホークなんかが付いていると、ポケットは膨らんでしまう。
ということで、このハリーホーク付きの携帯ストラップは人にあげることにした。

話は変るが、先週の健康診断前日まで、ぼくは毎日ココアを飲んでいた。
ところが、17日の日記に「オロナミンCとココアとカルピスを飲んでいる」と書いたのをパートさんが読んで、「それは糖分の取り過ぎよ」と言ってきた。
それ以来、糖分が妙に気になりだした。

そこで、「ココアを控えよう」ということになった。
なぜココアかというと、牛乳が入っているからである。
なぜ牛乳がだめかというと、太るからである。
なぜ太るのが嫌かというと、痩せたいからである。
ということで、代わりに飲み始めたのが、ジョージアのヨーロピアンブレンドだった。
なぜこれにしたかというと、『微糖』という表示に惹かれたからである。

さて、携帯ストラップが送ってきた翌日のことだった。
その日からぼくはジョージアを飲み出したのだが、自動販売機から缶を取り出してみると、驚いたことに缶の頭にキャップが付いているのだ。
「最近の缶コーヒーは変ったんだなあ」などと思いながら、そのキャップを取ってみた。
すると、そのキャップの裏に『当り』と書いた紙が入っていた。
その紙の下に何か入っている。
何だろうと紙を取ってみると、そこには女の子の形をした小さなフィギアが入っていた。
またしても「こんなもん、いらんわい」という言葉が、口をついて出た。
しかし、せっかく当たった物を捨てるのも気が引けるということで、これも人にあげることにした。

最初にも言ったが、ぼくはくじ運の弱い男である。
仮に当たったとしてもこの程度なのだ。
だから、「ついている」などとは思わなし、「よし、もっと上を狙ってやる!」なんて考えない。
ジョセフ・マーフィーやロバート・シュラーは、「そういう否定的な考えはだめだ」と言う。
確かにそうであるが、こと懸賞やギャンブルに関していえば、ぼくはそういう否定的な考えしか持てないのである。

ぼくはくじ運が弱い。
子供の頃よく食べていたホームランバーや、駄菓子屋にあったコリスガムのくじでは当たったことがあるのだが、雑誌などでやっている高価な品物の懸賞には一度も当たったことがない。
まあ、当たらないからやらない、やらないから当たらない、と言ったほうがいいだろう。
これは、ぼくのギャンブルや宝くじに対する姿勢と同じである。
友人の中にはそういうものに熱中している人もいて、景気のいい話をよく聞かされる。
宝くじなどを科学的に分析して、購入している人もいる。
しかし、そういう人の話を聞いても、ぼくには興味が持てないのだ。
夢が持てないとも言える。
つまりイメージがわかないのだ。
そういうものに当たった時の、自分の姿が心の中に描けない。

昔、ジョセフ・マーフィーやロバート・シュラーなどの書いた、いわゆるニューサイエンス本を読んでいたことがあるのだが、そこに『心眼に映像を描け』というようなことが書かれていた。
心に描いたものは必ず実現するというのだ。
「風邪を引くんじゃないか」と心配すると風邪を引くことがよくあるが、これを逆手にとって、いいことを想像するといいことが起こる。
さらに進めて、いいことが起きた時の自分の姿や生活を具体的に映像として心の中に描くと、この効果は倍増するというのだ。
確かにこの論法は当を得ている。
この方法で成功した人の話も、聞いたことがある。
自分でもやってみて、小さな成功を収めたこともある。

しかし、この対象が懸賞だとかギャンブルだとかいう場合、ぼくは心にその成功の姿を描けないのだ。
その根底には、「楽して儲けようなんて以ての外だ!」という意識がある。
ぼくの知人に、脱サラして移動のやきとり屋を始めた人がいる。
サラリーマン時代は月収20万円程度だったのが、そのやきとり屋を始めた最初の月に50万円稼いでしまった。
それも実労15日程度で、である。
それに気をよくした彼は、だんだん仕事を怠けるようになった。
さぼっていても、ちょっと働けばすぐに50万円稼げるとでも思ったのだろう。
しかし、現実はそれほど甘くない。
さぼってばかりいるから、いい場所が確保出来ない。
そのせいで月収はだんだん下がっていく。
それから彼の転落が始まった。
以降彼はまったく仕事をしなくなり、愛想を尽かした奥さんは家を出て行った。
そのせいで、精神状態がおかしくなってしまい、挙げ句の果てに病院に入院。
楽して金儲けしようとした男の顛末である。

先日、ローカルのバラエティ番組で、喜多方ラーメンの特集をやっていた。
喜多方のタクシー運転手お薦めのラーメン屋を食べ歩く企画だった。
三軒ほど紹介されたが、その中の一軒に地方発送やっている店があった。
久しく喜多方ラーメンを食べていないので、すぐに「買い」だと思ったぼくは、さっそく先方に電話した。

「もしもし」
「はい、○○食堂です」
懐かしい会津なまりだった。
25年前、ぼくが東京にいた時に、一番仲の良かった喜多方出身の友人から、いつも聞かされていたなまりである。
東北というよりも北関東方面のなまりに近いものがある。
「九州の方ですか?」
こちらもなまっているのかと思ったら、「今日はテレビを見たとかで、よく電話が入るもんで」と言う。

ラーメンは意外に早く届いた。
注文して2日目だった。
10年ほど前に喜多方に行ったことがあるのだが、えらく遠く感じたのを覚えている。
小倉から東京までが、新幹線で6時間(当時)。
東京から上野に行き、新幹線が発車するまで30分。
上野から郡山までが、新幹線で1時間半。
郡山で1時間の時間待ち。
郡山から喜多方までが、JR磐越西線で約2時間。
計11時間の長旅だった。
この時の印象から、喜多方は遠いところだと思っている。
それだけに、2日目の到着はかなり早く感じた。

ラーメンが届いたのは、先週の金曜日(18日)だった。
が、まだ食べていない。
ラーメンは生麺で、日持ちは10日間ほどだと言っていたので、早く食べないと腐らせてしまう。
とはいえ、毎日ラーメンというのも飽きてしまう。
しかたないから、冷凍室で保存することにしたのだが、美味しさが失われないかと心配している。

ぼくは基本的に喜多方ラーメンが好きである。
同じラーメンでも、こちらの豚骨味とはまったく違ったものだ。
このラーメンを食べる時は、汁物を食べているような錯覚を起こす。
鰹だしでスープを作っているというから、それもうなずける。
和風ラーメンと言ってもいいだろう。
喜多方に行った時食べたラーメンの味が忘れられず、デパートで東北物産展などをやっていると、つい多めにこの喜多方ラーメンを買ってしまう。
しかし、あの時の味とはほど遠いものがある。
もう一度、喜多方に行って、本場の味を味わってみたいのだが、遠いからなあ。
まあ、今回注文したラーメンがおいしければ、わざわざ喜多方まで足を運ばなくてすむ。
期待してみるか。

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