詩風録

日記やエッセイを詩風に書いています。

傘をさすのが苦手なもんで

傘をさすのが苦手なもんで、
なるべく傘はささないことにしている。
そのせいで雨に濡れることもあるのだが、
さほど気にはならない。

昔からこんな調子だった。
傘をさす苦労に比べると楽なもんだと、
びしょ濡れで学校に行ったこともある。
もちろんクラス中の笑い者になったが、
それでも傘をさすよりはいいと思い、
みんなといっしょになって笑っていた。

そういえば最近は昔に比べると、
濡れることが少なくなったような気がする。
きっと空にいる神様がこんなぼくを見かねて、
降る頃合いを見計らってくれているのだろう。

可愛げ

いろんな人が完全とか完璧とかを
目指して頑張っているんだね。
それはそれで立派なことだから
その気持ちを切らしてはならない。
だけどね、あまり完全すぎると
あまり完璧すぎると、息苦しくて
可愛げを感じなくなるものだ。
日本という国は可愛げというものを
何よりも大切にする国だから
時には不完全さということも
必要になってくるんだ。
とはいえ完全完璧な不完全さを
演出してはならない。それでは
可愛げにならないからね。
自然な不完全さ、実はそれが
この国では武器になるんだよ。

言いそびれた言葉

そのことは黙っておきましょう。
そのことは黙っておきましょう。
今さらそんなことを言ったって
何が変わるわけではないですし。
もしかしたらあの頃すでにあの人は
気づいていたかも知れないですし。
こんなメモ書き程度のものでも
読んでいけばわかることですし。
もしかしたら口にすることで
迷惑がかかるかもしれないですし。
後ろ指さされるのは嫌ですし。
人間関係を壊すのも嫌ですし。
心のない言葉を吐くのは嫌ですし。
絶対に自分が許せませんし。
だから黙っておきましょう。
ずっと秘密にしておきましょう。
出来たら最後の就寝の場となる
お墓まで持って行きましょう。

風を集めて

中学校の裏手に
小高い丘があった。
人の入らないその丘は
草がぼうぼうと生えていて
蛇やムカデが棲んでいた。

空は滅多に晴れたことがなく
丘から下りてくる風が
小さな校庭に落ちていた。
ぼくらはその風を拾い集め
空に向けて蹴り飛ばした。

風は力なく飛んでいき
ゆっくりゆっくり空を舞い
再び校庭に落ちてきた。
ぼくらはそれを受けとめて
力を込めて蹴り返した。

胸やのどに痛みを覚えた
青臭坊主のぼくたちは
飽きずに風を拾い集め
空に向けて蹴り飛ばしては
毎日憂さを晴らしていた。

無精ヒゲ

休みの日になると決まって思うことがある。
『ヒゲを剃らんといかんなぁ・・』
例えば二連休の時などは二日続けてそう思っている。
つまり二日間ヒゲを剃らないということだ。
ちょっとの手間を惜しまずにやっておけば、
いらんことに心悩ますこともないし
仕事の日の朝は剃るヒゲの量が少なくてすむし
シェーバーにヒゲが引っかかることもないので
時間の短縮にも繋がるし、そのおかげで
朝の貴重な時間を有効に使うことが出来る。
剃り残しがあっても気になる長さではない。
等々と、色々いいことづくしなのだ。
しかし、休みの日にはそれをしない。
なぜか心と体がその手間を拒むのだ。

ふわありふわり

なんだかとっても落ち着いて
なんでもかんでもやれそうで
後ろを向かずに行けそうで

ほんとにいいことありそうで
どこへそこへと飛び出して
陰気な影をも拭い去り

 ふわありふわり どこへ行こう
 ふわありふわり なにをしよう

ぼくの影は短くて
石っころにつまずいて
小春日和のお昼時

不思議な風を追いまわし
疲れた足を振りまわし
大きなお池でひとやすみ

 ふわありふわり 気は浮かび
 ふわありふわり 灰の中

いちじくのジャム

いちじくのジャム、おいしいかい
いちじくのジャム、おいしいかい
ぼくもいっしょに食べたいんだけど
そうだね、いちじくのジャムだったね

遠くの方で誰か狙っているよ
ほら、黄金の目をして
いちじくのジャム、何にぬっているの
ほんとはぼくも食べたいんだけど

小春日和、何だか眠たいね
君の姿、ぼんやりだよ
いちじくのジャム、大好きだったね
ぼくもいっしょに食べたいんだけど

いちじくのジャム、おいしいかい
厚切りトーストにたっぷりぬってね
ああ、いちじくのジャム、いちじくの
ほんとにぼくも食べたいんだけど

ラバー・ソウル

何でこの世に生まれてきたかって?
簡単なことだよ、そんなこと。
ビートルズのラバー・ソウルという
レコードを買いたかったからさ。
ただそれだけなんだよ。
あとはそれを納得いくまで聞いて
次の人生に向かうんだ。

えっ、思想?哲学?宗教だって?
この人生に限って言えばそんなこと
どうでもいいことなんだよ。
ラバー・ソウルを買うことが出来、
そしてそれが人生の目的だと
位置づけることが出来たら
現世はそれで充分なんだよ。

晴れ時々笑う

晴時々笑う
夢に向かって笑う
希望を抱えて笑う
晴時々笑う

曇り時々笑う
くじけそうな時笑う
泣き出しそうな時笑う
曇り時々笑う

雨時々笑う
傘も持たずに笑う
背中を濡らして笑う
雨時々笑う

一日中笑う
それでもぼくは笑う
笑う、笑う、笑う
一日中笑う

日に日に新たに

いつも今日からが楽しいのであって
決して今日までが楽しいのではない。
これからのことを考えるとワクワクもするが
これまでのことを考えてもワクワクはしない。
だからいつまでも過去にこだわらずに
今からのことを考えていくんだ。と、
毎日毎日同じことを自分に言い聞かせている。
だけど、いつまで経ってもこの体の中に
住みついている若干老いがかった人が
そこに行き着いてくれようとはしない。
過去の住人になったらお終いなんだと
いったいいつになったらわかってくれるんだ。
とりあえずその人の影響の及ばない所だけでも
初期化して、そこに新たなデータを刷り込んで
そこだけに意識を持っていくことにしよう。
そうすれば中に住んでいる頑固な人だって
いつかはそこに行き着いてくれるはずだ。
日に日に新たにを実践してくれるはずだ。

この町

この町で生まれ
この町で育ち
この町で泣き
この町で悲しみ
この町で笑い
この町で喜び
この町で恋をし
この町でふられ
この町で夢を見
この町で裏切られ
この町を憎み
この町を旅立ち
この町を思い出す
この町を懐かしみ
この町を肯定し
この町に憧れ
この町に戻り
この町に働き
この町に住み
この町に生きている
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